ホーム > 書籍詳細:「弱くても勝てます」 開成高校野球部のセオリー

独創的な監督と下手でも生真面目に野球に取り組む、超進学校の選手たち。思わず爆笑、読んで納得のとびきり面白いノンフィクション!

  • 受賞第23回 ミズノスポーツライター賞 優秀賞
  • テレビ化弱くても勝てます ~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~(2014年4月放映)
  • 100冊新潮文庫の100冊

「弱くても勝てます」 開成高校野球部のセオリー

高橋秀実/著

539円(税込)

本の仕様

発売日:2014/03/01

読み仮名 ヨワクテモカテマスカイセイコウコウヤキュウブノセオリー
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫、電子書籍
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-133555-1
C-CODE 0195
整理番号 た-86-5
ジャンル スポーツ
定価 539円
電子書籍 価格 539円
電子書籍 配信開始日 2019/01/25

甲子園も夢じゃない!? 平成17年夏、東大合格者数日本一で有名な開成高校の野球部が、東東京予選ベスト16に勝ち進んだ。グラウンドでの練習は週1日、エラーでも空振りでもかまわない、勝負にこだわりドサクサに紛れて勝つ……。監督の独創的なセオリーと、下手を自覚しながら生真面目に野球に取り組む選手たちの日々。思わず爆笑、読んで納得の傑作ノンフィクション!

どういう本?

一行に出会う 僕の場合は苦手ではないけど下手なんです。(本書16ぺージ)

著者プロフィール

高橋秀実 タカハシ・ヒデミネ

1961(昭和36)年横浜市生れ。東京外国語大学モンゴル語学科卒業。テレビ番組制作会社を経て、ノンフィクション作家。『ご先祖様はどちら様』で第10回小林秀雄賞、『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』で第23回ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。他の著書に『TOKYO外国人裁判』『ゴングまであと30秒』『素晴らしきラジオ体操』『からくり民主主義』『はい、泳げません』『趣味は何ですか?』『おすもうさん』『男は邪魔!』『損したくないニッポン人』『不明解日本語辞典』『やせれば美人』『人生はマナーでできている』『日本男子♂余れるところ』『定年入門』『悩む人 人生相談のフィロソフィー』など。

書評

“嵐”を呼ぶ物語

大矢博子

 エキサイティングな歴史小説、胸キュン恋愛小説、そしてスポーツノンフィクション。何の共通点もないバラバラのセレクトに見えるかもしれない。
 だが、ある層の人々は、このラインナップを一目見ただけで大きな共通点にすぐ気付くだろう。
 そう、人気グループ「嵐」のメンバーの主演で映像化された三作なのである! うふふ。
 私は四十五年来のジャニーズファンで、本の情報サイト「Book Bang」でジャニーズ出演作品の原作本を紹介する「ジャニ読みブックガイド」というコラムを連載している。その中から嵐に絞って選んだのがこの三作だ。

和田竜『忍びの国』  和田竜忍びの国』は、2017年に大野智主演で映画化。織田氏と伊賀国衆の戦いである天正伊賀の乱を題材にしたもので、無門という忍びを大野くんが演じている。私が初めて本書を読んだのは映画化の話が出る前だが、にもかかわらず「これ実写化するなら無門は絶対大野くんでしょ!」と思った。それほどぴったりだった。
 無門は、普段はまったくやる気が見られない。口数も少ないし、他の忍びとの競争意識もない。他の人が働いていても自分の仕事が終わったらとっとと帰りたがる。妻に頭があがらず、家に入れてもらえなかったりもする。ところがいざ事が起きると、抜群の身体能力を見せる。
 これがもう、普段はやる気なさげに見えるのに曲が始まるとキレッキレのダンスと抜群の歌でファンを魅了する大野くんそのものなのだ。さらに、本文中の無門の喋り言葉はまさに「大野くんの喋り方」で、ほんとびっくりするから、大野担は是非読んで。

越谷オサム『陽だまりの彼女』  越谷オサム陽だまりの彼女』は2013年に映画化。主人公の奥田浩介を演じたのは松本潤である。
 浩介は仕事先で中学時代の同級生・渡来真緒に再会。ふたりは付き合い始め、結婚を考えるが、実は真緒にはある秘密があったのだ――というベタ甘で胸キュンで切ない恋愛小説である。浩介はごく平凡な普通の優しい青年だ。
 それまでの松潤は、「ごくせん」や「花より男子」などの俺様キャラの印象が強かったので、この普通の青年・浩介には違和感があった。だが映画を見ると、「うわっ、松潤ってこういう表情もできるのか!」と驚きの連続だったのである。何これ嘘でしょ。俺様どこ行った。可愛い……尊い……。
 ただ、映画と原作ではラストの展開が違う。かなり違う。決定的に違う。映画は映画でいいのだが、原作は寂しいんだけどクスっと笑えるような、とても余韻のあるエンディングなのだ。松潤担の皆さんにはぜひ原作のラストシーンを松潤で想像しながら読んでほしい。最後のセリフを悲しげに微笑みながら口にする松潤の顔が浮かぶぞ!

高橋秀実『「弱くても勝てます」 開成高校野球部のセオリー』  映像化されると聞いて驚いたのが、高橋秀実『「弱くても勝てます」 開成高校野球部のセオリー』だった。超進学校・開成高校の野球部が甲子園の予選で勝ち進んだ、その背景を追ったノンフィクションである。関係者のインタビューで構成されているノンフィクションをドラマ化ってどうやって?
 2014年に日本テレビで放送された「弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望」では、母校である進学校に教師として赴任し、へっぽこ野球部を率いることになった主人公・田茂青志を二宮和也が演じている。登場人物の設定もストーリーも完全にドラマオリジナルだ。
 じゃあどこが「原作」なのか。インタビューに答えた関係者の言葉を、実にうまいこと登場人物のセリフに割り振っているのだ。「練習は実験の場」とか「守備は文系、バッティングは理系」とか、ドラマに登場した印象的なセリフはこれが元ネタだったのかと膝を打った。
 原作の中にはっきりとしたモデルがいるのはニノの他に中島裕翔くんが演じた白尾で……おっと残念、紙幅がなくなった。三作すべて「ジャニ読みブックガイド」で詳しく取り上げているので、あとはそちらでどうぞ。

(おおや・ひろこ 書評家)
波 2019年8月号より

目次

1回 エラーの伝統
2回 理屈で守る
3回 みんな何かを待っている
4回 結果としての甲子園
5回 仮説の検証のフィードバック
6回 必要十分なプライド
7回 ドサクサコミュニケーション
8回 「は」ではなく「が」の勝負
9回 ややもすると甲子園
謝辞
野の球を追って 桑田真澄

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