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小さく暮らす─25m²のゆたかな生活─

大木奈ハル子/著

1,980円(税込)

発売日:2026/09/16

  • 書籍
  • 電子書籍あり

10年間で引越5回。わが家が狭くなるたびに、暮らしに心地よい風が吹くようになった。

85m²→50m²→30m²→25m²。住み替えるたびに、暮らしの満足度は大きくなっていった。本当に大切なものがわかったから。長年出番を待ち続けるだけの「2軍」の道具たちにグッバイ、でも趣味のあれこれは最優先で「1軍」ベンチ入り。転勤や取り壊し、病気だって何のその。誰でもできる快適な暮らしのコツを写真満載でご紹介。

目次

はじめに

PARTI スタートは85平米のマンション
ロスジェネ世代、職歴なしの「お気楽者」が現実を見るまで
出会い系サイトで玉の輿と勘違い
低収入の慎重派と、バブルの残り香漂う浪費家
85平米のマンションですれ違いの新婚生活
1度目の引っ越し。事故物件でゼロからのリスタート
50平米、ものが減って、生活にゆとりが生じた
事故物件を100万円でリフォーム

PARTII 夫の転勤で始まった都会暮らし
そんな矢先、夫にまさかの東京出向辞令
30平米の「テトリス」で見つけた、広さより大切なもの
断捨離で「好きなもの」に囲まれる部屋に
さらにひとまわり小さい部屋に引っ越し
予算50万円、12畳の「箱」から始まった家づくり
掃除機をかけない家で育った私なりの掃除術
苦手を克服するよりも、向き合わない努力をしよう

PARTIII 大木奈流「小さく暮らすには?」
狭い家で大切なのは、家具を持たない判断と、大きいサイズを選ぶ勇気
荷物は収納スペースに入る分だけ
服を減らしておしゃれ度アップした夫のおはなし
CDを減らしたら、音楽がもっと好きになった
壁をキャンバスに。狭い空間でも機嫌よく過ごせるインテリア
わが家が収納アイテムに缶を使うワケ
服よりかさばる? 靴やバッグなどの服飾雑貨たちも厳選する
名もなき家事を一掃する「お揃い」の魔法
パンツもタオルも全部1種類をまとめ買い
キッチンでいらなかったもの
コンパクトな台所で選んだもの・手放したもの
ロイヤルコペンハーゲンを普段使いして、お金をかけずに贅沢な毎日
保存食と防災グッズは「わが家流」で備える
節約の大敵「サブスク」で節約が“捗る”納得の理由

PARTIV 夫の病気
ある日突然、ステージ4のスキルス胃がんと告知された夫
還暦のフォレスト・ガンプと「買い出しチャレンジ」
看病しないのが前向きな闘病のコツ
入院費用の節約まで楽しむ、入院の達人となった夫

PARTV 新たな決断! 30平米→25平米1Kに住み替える!!
新居選びの条件2つ「病院が近いこと」「駅が近いこと」
新居選びの本音:本当はもう少し広い家で暮らしたかった
家選びの極意は、スマホと現地偵察
ワンルームのリフォームが500万円!? 予算オーバーで方向転換
リフォームは「やらない決断」からスタート
徹底した「対症療法」で水回りに挑む
「絶対これがいい」ではなく「まあこれでいいか」で進めたDIY
目指したのは「整える」より「好きで満たす」こと
一生モノという考えを捨てれば、小さな暮らしは楽しくなる

大木奈じゃ〜なる
(1)「いわくつき物件」を賢く買って、豊かに暮らす
(2)中高年でも小さな暮らしでもペットを諦めない方法
(3)モノを増やしたくない私が、陶芸を始めて、我慢するのは違うと気付いた話
(4)わが家の食あれこれ──お手軽だけどささやかな贅沢

おわりに

書誌情報

読み仮名 チイサククラスニジュウゴヘイベイノユタカナセイカツ
装幀 中川学/題字、大木奈ハル子/写真、新潮社写真部/写真、大野リサ/デザイン
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判変型
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-357191-9
C-CODE 0077
定価 1,980円
電子書籍 価格 1,980円
電子書籍 配信開始日 2026/09/16

書評

人生の心づもりが変わってくる

原田ひ香

 昔、まだ三十代の時に、ある経済評論家の方が「知り合いの女性が会社員からフリーランスになる時、なけなしの貯金をはたいて、蒲田にワンルームマンションを買った」という話を書いていました。当時、六百二十万円。フリーのライターになった彼女は収入が激減し、年収百万円生活に。でも、家賃がいらないという安心感は大きく、精神的には安定していたそうです。さらに、それから一年後、結婚することになったのですが、さすがにワンルームに二人は住めない。どうしたのか、というと、なんと同じマンションの隣の部屋が空いていたのでそこを買い、ベランダの仕切りをとって行き来できるようにした、ということでした。
 本書を読んですぐに思い出したのはその話で、というのは、私はとても元気をもらったからでした。そんなふうに暮らせるんだ、そんなふうに生きられるんだ、と気持ちが軽くなったのです。
 東京で一人暮らしするなら普通の部屋でも家賃八万以上? いや、もっとするかな。でも、会社からある程度近くに住まないといけないよね? わあ、お給料の大半はなくなっちゃう……それから結婚したら新築マンションをペアローンで買わなくちゃ、え? 今年の都内新築マンションの平均価格は一億円を超した……!?
 というふうに「普通」を追求していたら、不安しかなくなってしまう。そんなあなたに詳しく「こういう住み方もあるよ? あんな生き方もあるよ?」といろんな方法を手渡してくれるのが本書だと思います。これを知っているのと知らないのとでは、その後の人生の心づもりが変わってきます。ぜひ、これからどうやって生きていこう、と考えている若い方に読んで欲しい。東京で不動産を買う、ということの基本的知識も学べます。
 二十三区内の利便のいい場所で駅近、でも、小さい部屋に住むか、逆に郊外の広い家、自然の中で住むかというのは完全に好みの問題ですし、年齢によっても変わるでしょう。でも、利便性の高いところなら、家やキッチンが狭くても、
──街全体を自分の「リビング」として使いこなせばいい。と考えるのは素晴らしいアプローチだと思います。
 いや、今、都内はどこも高いし、港区なんて無理無理……と思っても、不動産屋のアプリに「港区 マンション 築年数不問」と設定して、毎日チェックしていたら、思いがけない掘り出し物に出会い、週末、内見に行くことになるかも……。
 また、大木奈ハル子さんの家づくり、部屋作りでいいな、と思ったのは、こういう「狭い部屋」「少ない物」で暮らしています、という方は何もない、殺風景なインテリアになりがち。白木の家具、白いベッド、黒い服がほんの少しだけ部屋に置いてある……無印良品の店先ですか? というような。それはそれでもちろん素敵なんですが(私も迷ったら無印に行きます)、ちょっと画一的というか……でも、大木奈さんの部屋はかわいいクッキー缶を収納アイテムに使っていたり、フィギュアや漫画の原画を飾っていたり、とてもチャーミング。物の少ない生活でも、好きな物に囲まれていてもいいのね、と安心させてくれます。
 節約大好き人間としては、野菜は外食だと高いのに、肉とお米は外食の方が安いという「主食はテイクアウト、野菜は冷蔵庫」という提案が、なるほど、と膝を打つ思いでした。

 実は、私はずっと前から著者の大木奈ハル子さんを存じ上げています。たぶん、六、七年前、SNSでバズっているのを見て、ブログを読み、小さくてちょっと古いけど、都心の素敵なお部屋で暮らしている方として認識しました。その後、「マツコの知らない世界」で朝のモーニングセットの人として出ていらした時には「あ、あれー? この人知ってるー!」と喜びのあまり声が出てしまったほど。そう、実はかなりファンなのです。
 その大木奈さんが本を出されると聞いて最初から興味津々でした。そして、やっぱり、期待は裏切られなかった。今回は、その人生をじっくり読ませていただいたのも嬉しいことでした。
 お部屋の作り方はもちろん、ペットの飼い方、(モーニングをはじめとした)外食、マカロンのサブスク……人生を楽しまれることに貪欲な方だなあと読みながらつくづく思いました。
 人生はいろいろある。つらいことも。だけど、楽しいこともいっぱい! そのパワーが本からあふれています。
 私たちは自由。いつからでも始められる。
 そんな気持ちを改めて教えてくれた一冊となりました。

(はらだ・ひか 小説家)

波 2026年10月号より
単行本刊行時掲載

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著者プロフィール

大木奈ハル子

オオキナ・ハルコ

50代の主婦でライター。「ちいさ暮らしナビゲーター」、「チェーン店モーニング愛好家」として活動。東京都中央区の狭くて古いボロマンション在住のミニマリストで、夫と介助犬こうちゃんと同居中。趣味はチェーン店の朝メニュー食べ歩き、特技は節約とDIY。日本聴導犬協会の子犬預かりボランティア活動中。著書に『台所図鑑』(共著・大和書房)。テレビ出演は『マツコの知らない世界』『THE TIME,』(ともにTBS系)、『あさイチ』(NHK)、『朝メシまで。』(テレビ朝日系)など。東洋経済オンラインアワード2023 「クリエイティブ賞」受賞。「Ameba LIFE AWARD Vol.4」(2024年)受賞。

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