【特集】松本零士の大宇宙と幻想美女
芸術新潮 2025年7月号
(毎月25日発売)
発売日 | 2025/06/25 |
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JANコード | 4910033050759 |
定価 | 1,500円(税込) |
【特集】松本零士の大宇宙と幻想美女
グラフ「松本零士」創作の宇宙
時空を超える
“零次元宇宙”のキャラクターたち
松本零士はどこが革新的だったのか?
解説 表 智之
- 大宇宙だけじゃない! 松本零士傑作選
-
「定規を使うと絵が冷たくなる」
――元アシスタントの回想
インタビュー 板橋克己 -
省略された横顔のすばらしさ!
――美人画の名手が語る
インタビュー 江口寿史
本人証言で辿る、波乱のその人生
発掘! 27年前の仕事場訪問
19歳の松本と手塚治虫逃亡事件
猫のミーくんが中心だった松本家
インタビュー 松本摩紀子(長女、零時社社長)
こんなに「重い」マンガ原稿は、初めてだった
文 森重良太(元担当編集者)
松本メカに乗れる!
隅田川を行く3隻の“時空船”
展覧会案内
◆ 第2特集 ◆
岡﨑乾二郎 造形の冒険
世界の理を探すために
◆ Art News exhibition ◆
大正時代を駆け抜けたアート・アクティビスト
望月桂を遠望する
堀川理万子が追いかける戦争体験者の記憶
◆ Art News report ◆
ショパールの想いが秘められた
カンヌ国際映画祭のパルム・ドール
- ◆ Review ◆
- 楢橋朝子
- 宮川達也「Reborn―いのちを織りなすアーティストたち―」展より
- 佐藤直樹
- タラ・ドノヴァン
◆ Regular Features ◆
◇ 巻頭 ◇
Goods & Shop
時と光の美術館〈99〉
アイ・ミニアチュール
とんぼの手帖〈19〉
教皇vs巨人
◇ 連載 ◇
定形外郵便〈132〉
文 堀江敏幸
新連載
ウホッ! いいアート〈1〉
ホモエロティックへの招待
文 入江敦彦
千住 博の
知となり肉となり〈24〉
忘れ得ぬ人々 2
山下裕二の
新・今月の隠し球〈41〉
稲田侑峰(上)
福井江太郎の
駝鳥がゆく!!〈28〉
中川晃教さん
◇ PICK UP ◇
- movie 佐々木敦
- book 諏訪 敦
- recommend 編集部のおすすめ!
- ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈60〉
小田原のどか - exhibition 全国展覧会情報
ART CAFÉ
GALLERY'S PLAZA
次号予告
▼芸術新潮特別企画
ART SPOT Special
箱根ガラスの森美術館
アートとお金のはなし〈1〉
文・徳光健治
supported by GMOクリック証券
連載 美に魅せられて
アジア文化芸術協会〈67〉
法隆寺《行信僧都坐像》
最新号PICK UP
「FOCUS」密着取材から27年、
「芸術新潮」で松本零士を特集する

ここに掲げた写真を撮らせていただいたのは、1998年の3月。写真週刊誌「FOCUS」で、松本零士先生に密着取材をした時の写真です。撮影とインタビューのため仕事場にうかがって、驚きました。先生こだわりの不思議なモノが、続々と登場してきたのです。
まず玄関を入るとすぐに目に飛び込んできたのは、飛行機のシートでした。ビジネスクラスの座席を9万5000円で購入されたそうです。ガレージには、クラシックカーが2台と、当時はまだ珍しかった電動アシスト自転車がありました。そして極めつきは、庭に置かれたSLの巨大な動輪! 3.5トンもあって、ご本人いわく「置いたっきり動かせません」。JRからサイン会を頼まれ、「“SLの動輪をくれたらやる”と冗談で言ったら、本当に持ってきてくれたんです」。
今回の松本零士特集では、この時に撮影させていただいた写真もたっぷりとご紹介します。
取材当時、松本先生は60歳になったばかりでした。ちょうど映画「銀河鉄道999 エターナル・ファンタジー」が公開されるタイミングで、先生はプロモーションのために日本中を駆け巡っていました。名古屋→大阪→鳥取→福岡と回り、夜10時過ぎに羽田着の飛行機でいったん東京に戻ったものの、翌朝9時半の飛行機で、今度は札幌へ。その3日後には東京で映画の完成披露試写会の舞台挨拶に立ち、翌日はまた名古屋→岐阜と移動していました。この頃、先生は「Web新潮」で「ニーベルングの指環(3)ジークフリート」の連載をスタートさせており、その精力的な仕事ぶりは本当に驚異的でした。
あれから27年を経て、「芸術新潮」で松本先生の特集を組むことになりました。編集パートナーは、『ニーベルングの指環』の担当者として、足かけ15年にわたり先生とがっぷり四つに組んで仕事をしてきた編集者・ライターの森重良太さん。
松本零士という稀有なマンガ家の魅力をしっかりと伝える、濃密な特集ができあがったと自負しています。
この号の誌面
編集長から
大宇宙と幻想美女――
マンガ家・松本零士を
大特集します
白い煙を曳きながら、無限の宇宙を往く蒸気機関車。星の海を映す窓辺に凭って、未来の夢想に耽る少年――松本零士の読者であれば誰もが知るこのイメージは、夜行列車に乗り、小倉から東京まで24時間かけて上京した19歳の松本零士の姿そのものだ。違うのは、件の少年の向かいに座るやさしくも神秘的な美女が、松本の妄想の中にしか存在しなかったことだが。
松本零士の過去最大規模の個展が開催中だ。『銀河鉄道999』をはじめとする宇宙モノの美麗原画の数々に加え、最初の大ヒット作『男おいどん』、長く描き継がれた「戦場まんがシリーズ」、じつは松本のベストに挙げる人も少なくない猫モノの名作『トラジマのミーめ』など、幅広いラインナップに松本の多才ぶりを改めて痛感させられる。「零士メーター」「零次元宇宙」「松本美女」など、名前を冠した表現スタイルが複数存在することにもうかがえる、圧倒的なオリジナリティと稀有な詩情。その魅力を、たっぷりとお届けする。
芸術新潮編集長 高山れおな
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