大特集　ヴェネツィア　海の都の美をめぐる

　今月のヴェネツィア特集には、名物のゴンドラはほとんど登場しません。カーニヴァルもなし。グルメ情報もなし。ただただ美術作品だけで、約80頁を埋め尽くす大特集であります。ティツィアーノ、ティントレットら、西洋絵画のひとつの頂点を極めた16世紀ヴェネツィア派はもちろん、ゴシックからバロックに至る各時代の美術の粋が、彼の地の寺院や邸館を、所狭しと飾っている。案内役の美術史家・宮下規久朗さんによれば、ヴェネツィア絵画は描かれた環境とよく調和し、現地で見てこそ真価が実感できるとのこと。ありそうでなかったこのヴェネツィア美術完全ガイドを手に（地図付きです）、旅立たれてはいかが。
　小特集は「新股間若衆」。昨年大反響を呼んだ第1弾に引き続き、女と違って禁断の出っ張りのある男のヌードを表現することの困難と解決策を、木下直之さんが真面目に考えます。千宗屋さんによる近江のイケメン仏巡礼も、見ごたえありですよ。