【特集】《貴婦人と一角獣》に秘められた恋
編集長から
《貴婦人と一角獣》に
秘められた恋
秘められた恋
リルケの『マルテの手記』にも福井晴敏の『機動戦士ガンダムUC』にも、そのタピスリーは登場する。パリにおける中世美術の殿堂、クリュニー美術館の目玉作品にして、同館の改修を機に現在日本で展観中の《貴婦人と一角獣》。1500年頃に織られたこの世界的名品には、昔も今も物語の紡ぎ手を触発する何かがあるのだろう。花園の中で貴婦人と一角獣が織りなす6点組のその図柄は、これまで五感の寓意とされてきたのだが、今月の特集は最新の学説をもとに、まったくあらたな物語を浮かびあがらせる。ここでは、贅をこらしたこのタピスリーが、ある男性からある女性への捧げ物であったとだけ言っておこう。本作と並び世界三大タピスリーと称すべき《一角獣狩り》《アンジェの黙示録》も掲載、それらを愛でた中世フランス貴族の衣食住もご紹介する。
小特集は写真家・梅佳代さんの最新作を含む名作選、歌人・穂村弘さんとの対談も盛り上がりました。
芸術新潮編集長 米谷一志
バックナンバー
雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。
雑誌から生まれた本
芸術新潮とは?
「暮らし」はアートであるをキャッチフレーズにあらゆる事象を「芸術」という観点から検証し、表現する「芸術新潮」。1950年に創刊され、歴史と文化を見続けてきたハイクオリティなアートマガジン。歴史的な芸術作品から、建築、古美術、現代アートまで、あらゆる「美しきもの」を独自の切り口で紹介しています。