【特集】聖なる物語を求めて　シャガールと巡る旅

　シャガールは「愛と夢と幻想の画家」という仮面をかぶっていたと、生前の画家を知る美術史家メイヤー・シャピロは語った。ユダヤ系ロシア人として生まれたシャガールは、ユダヤ人ゆえの過酷な経験もしつつ、終生その描く絵には、ユダヤ人社会の中でも特異なイディッシュ語圏の信仰と文化が秘かに息づいていた。たとえば代表作《七本指の自画像》は、全力で物事にあたることを言うイディッシュ語表現「七つのものを全部使う」に対応している。今月の特集はシャガールの甘い仮面を外し、ユダヤ性が顕著な宗教画・神話画に注目。フランスはランスの大聖堂のステンドグラスからイスラエル国会議事堂の壁画まで、あなたの知らないシャガールを現地取材でお目にかける。
　小特集は写真家・川内倫子氏が捉えた出雲の遷宮と、フォトジャーナリスト・藤田庄市氏が報告する震災後の飯舘村の信仰。ホンマタカシ氏が古今の写真技法に実地で挑む新連載も今月より始動。