【特集】秘められたミュシャ
パリで咲かせた華、スラヴに見つけた星
芸術新潮 2017年3月号
(毎月25日発売)
発売日 | 2017/02/25 |
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JANコード | 4910033050377 |
定価 | 1,466円(税込) |
【特集】
秘められたミュシャ
パリで咲かせた華、スラヴに見つけた星
◆ special features ◆
Part1 Mucha in Czech
時代の寵児から“国民画家”へ
よみとき《スラヴ叙事詩》
Prologue
Column
国境を超えて広がる《スラヴ叙事詩》の舞台
Chronology of Mucha
禍い転じて華となす
ミュシャの波乱万丈人生
イラストレーション 東海林巨樹
テク炸裂、想い爆発
《スラヴ叙事詩》から
見えてくるミュシャ
解説 本橋弥生
The era of “Slav epic”
ムハをめぐる複数の文脈
プラハ、スラヴ、そしてフリーメイソン
文 阿部賢一
Local Guide
ミュシャを追いかけて
プラハ歩きとモラヴィアめぐり
Part2 Mucha in Paris
アール・ヌーヴォーの極み王子
乱れ咲きのパリ時代
ミュシャが演出した
“目覚めたつもりの夢”
文 鹿島茂
パリのミュシャ
文 はしもとゆうこ
1 挿絵でしのいだ下積み時代
2 運命の女神、サラ・ベルナール
3 お菓子から鉄道まで 売れる!広告デザイン
4 パリ万博で世界デビュー!
5 空間デザインも宝飾品もお手のもの
6 これで描けます、本人公認素材集
7 油彩で見せた象徴主義画家の顔
展覧会案内
◆ special feature ◆
第2特集
塩谷定好
山陰を見つめた「写真の神様」
命を捉える
文 蔦谷典子
明暗を支配すること
文・写真 藤野可織
◆ art news ◆
◇ exhibition ◇
エリザベス・ペイトン
「私はクールベと同じ家族」
愛らしくて、いやらしい。
川野美華
柔肌色の夢幻
◇ review ◇
「ガラス絵 幻惑の200年史」展
石塚元太良
青柳龍太
「石の街うつのみや」展
◇ global news ◇
Val-d'Oise「ステファン・ティデ:砂漠」展
Copenhagen「日本から学ぶ」展
London「ラジカルアイ:モダニスト写真 サー・エルトン・ジョン・コレクションから」展
New York「マリリン・ミンター:プリティ/ダーティ」展
◆ regular features ◆
◇巻頭◇
FLOWER
日々の花〈23〉
平澤まりこ
文 市村美佳子
PHOTO
作家が覗いたレンズ〈35〉
前田司郎
選・文 森岡督行
GOODS & SHOP
◇ 連載 ◇
海外アート
Study最前線〈22〉
文 前橋重二
定形外郵便〈34〉
文 堀江敏幸
換骨奪胎
ホンマタカシの
映像リテラシー〈21〉〈完〉
写真の確かさと、不確かさ
伊藤まさこの
小さい美術館めぐり
時々おやつ
〈21〉中谷宇吉郎 雪の科学館
もう一杯だけ呑んで帰ろう。〈34〉
文・写真 角田光代+河野丈洋
千 宗屋の
飲みたい茶碗、
点てたい茶碗〈33〉
TONY & INOCCHI
マンガ展評
ちくちく美術部〈22〉
◇ PICK UP ◇
movie 野崎歓
book 諏訪敦
recommend 編集部のおすすめ!
成相肇の やっかい もっかい てんらんかい〈11〉
exhibition 全国展覧会情報
次号予告
◇ 芸術新潮特別企画 ◇
佐賀県立美術館 池田学展
東京アート2017
アートフェア東京2017/日動画廊/ギャルリーためなが/永善堂画廊/加島美術/靖山画廊/至峰堂画廊/エキジビション・スペースAPJ/パークホテル東京/ファーバーカステル 東京ミッドタウン/思文閣銀座/東京 アート アンティーク 2017/TERRADA ART VILLAGE/たばこと塩の博物館/美術展カレンダー
継活のススメ〈3〉
加島美術が教える
所蔵品の「正しい残し方」
連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈18〉
東大寺南大門仁王像
ART CAFÉ SPECIAL
ART CAFÉ
最新号PICK UP
《スラヴ叙事詩》は生で観てこそ!
(そして予習復習には芸新を♥)
3月8日にいよいよ国立新美術館で開幕する「ミュシャ展」(6月5日まで)。おなじみパリでの優美で装飾的な作品にくわえ、祖国チェコで描いた渾身作《スラヴ叙事詩》がチェコ国外では初の全20点公開とあって、すでに話題沸騰、開幕を待ち望んでいる方も多いかと思います。
芸術新潮3月号ではこの奇跡の来日にあわせて、ミュシャを特集。一足お先に、雪のちらつく11月のプラハで《スラヴ叙事詩》をたっぷりと撮り下ろしてきました。誌面では全20点はもちろん、会場ではなかなかじっくり観られないであろう細部もあわせて掲載しているのですが、ここで、こっそりぶっちゃけてしまうと、やっぱり《スラヴ叙事詩》は一度は生で観てほしい!のです。
取材班も、事前に画集類ではさんざん見ていたものの、展示室に一歩足を踏み入れると、作品の印象がまるで違うことに愕然。カンヴァスが発光しているかのように、あたりは神聖な空気に包まれ、一気に画面へと引き込まれます。薄塗りの画面に展開される、少々意外なタッチにハッとしたり、ミュシャの本領ともいえる装飾的な描写にうっとりしたり……全20点を見終えるころには、それはそれはクタクタになるほどの絵画体験なのでした。帰国後、印刷会社のプリンティング・ディレクターに「印刷所泣かせ」認定をいただいた、淡く透明感ある色調も、やっぱり実物で観てほしいのですよね……。
と、《スラヴ叙事詩》は体感してこそと力説してしまいましたが、描かれた場面を理解しているのとそうでないのでは、その味わいは雲泥の差。本特集では《スラヴ叙事詩》の場面解説はもちろん、パリ時代の作品も少々珍しいものも含めてご紹介。展覧会を最大限に満喫するために、ぜひ弊誌をお供にどうぞ!
この号の誌面
編集長から
ミュシャの渾身の作、
全点来日に立ち会う前に
ミュシャの超大作《スラヴ叙事詩》全20点が来日する。全点展示はチェコ国外では初のこと。ミュシャといえば、優美な女性像を描いたポスターや装飾パネルが有名で、アール・ヌーヴォーの画家というイメージが強い。だが後年、彼はパリを離れ、故国チェコに戻った。そして約16年もの年月をかけて《スラヴ叙事詩》を完成させる。スラヴ民族の苦難の歴史をたどり、団結の夢を描いたこの作品は、歴史的背景を知ると俄然おもしろく鑑賞できる。そこで今月号では、プラハでの撮り下ろし写真をダイナミックに見せながら、全20点を解説。パリ時代の仕事にも改めて着目し、集大成ともいえる《スラヴ叙事詩》完成までの道のり、本作に賭けた画家の情熱に迫る。
第2特集は塩谷定好。大正末から昭和初期にかけて「芸術写真」のムーヴメントが興った。その代表的な写真家であった塩谷に、植田正治も神様のような存在だったと憧れている。生涯、山陰を撮り続けた塩谷の軌跡を追う。
芸術新潮編集長 吉田晃子
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雑誌から生まれた本
芸術新潮とは?
「暮らし」はアートであるをキャッチフレーズにあらゆる事象を「芸術」という観点から検証し、表現する「芸術新潮」。1950年に創刊され、歴史と文化を見続けてきたハイクオリティなアートマガジン。歴史的な芸術作品から、建築、古美術、現代アートまで、あらゆる「美しきもの」を独自の切り口で紹介しています。