【特集】藤田嗣治と5人の妻(おんな)たち
芸術新潮 2018年8月号
(毎月25日発売)
発売日 | 2018/07/25 |
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JANコード | 4910033050889 |
定価 | 1,466円(税込) |
【特集】
藤田嗣治と5人の妻たち
Prologue
妻たちを通して振り返る画家の軌跡
解説 林洋子
妻たちとたどる藤田画伯のキャリアマップ
1 とみ 真夏の恋で結ばれた、同い年の才媛
2 フェルナンド フランスへの同化を誘った女性画家
3 ユキ 絶頂期をともにした“トロフィー・ワイフ”
4 マドレーヌ 中南米遊歴の果て、日本に散った薄幸のミューズ
5 君代 花も嵐も踏み越えて添い遂げた、最後の妻
奈良美智がカメラでたどる
フジタの愛した場所
撮影・文 奈良美智
君代夫人が遺した「藤田嗣治資料」拝見!
解説 古田亮
1949-50 ニューヨーク日記の波乱万丈
世界の巨匠たちが撮った!
Foujitaポートレイト傑作選
あり得たかもしれない
天才漫画家・藤田嗣治
「本のしごと」展をめぐって
文 鹿島茂
COLUMN
猫派画伯の犬ものがたり
戦争画への階段、壁画に挑んだ30年代
編集部のおすすめ! 藤田嗣治を知る本
幻の挿絵本? 版画原版見つかる
文 富田芳和
展覧会案内
◆ 第二特集 ◆
徳川家の栄光と文化のニューウェイヴを映し出す
名古屋城本丸御殿
復元完成
◆ 特別対談 ◆
『ホンマタカシの換骨奪胎』刊行記念 同級生対談
ホンマタカシ×原田マハ
ふたりの“換骨奪胎”
◆ Art News report ◆
一八九八年の普段着のふたり
――西郷どん像とバルザック像の奇縁にまつわる一考察
文 木下直之
◆ Art News book ◆
現役営業中!
元妓楼旅館が語るもの
撮影 関根虎洸
◆ Art News exhibition ◆
アマゾンの聖獣たちがやってきた!
ブラジル先住民の天と地をつなぐ椅子
選・コメント ミロコマチコ
◆ Review ◆
- ゴードン・マッタ =クラーク
- 菱田雄介/江上茂雄/沖潤子
◆ Global News ◆
- Venezia「第16回国際建築展 ヴェネツィア・ビエンナーレ2018」ヴァチカン・チャペル
- Aix-en-Provence「プロヴァンスのニコラ・ド・スタール」展
- London「ザ・ロンドン・オープン2018」展
- New York「メアリー・コース:光の追求」展
◆ Regular Features ◆
◇ 巻頭 ◇
ちょっといいで書?〈16〉
ストリートで見つけた気になる字
選・文 中澤希水
Goods & Shop
時と光の美術館〈16〉
ブルガリ
◇ 連載 ◇
海外アートStudy最前線〈39〉
文 前橋重二
定形外郵便〈51〉
文 堀江敏幸
中野京子が読み解く
画家とモデル〈5〉
シャガールと《誕生日》
新連載
千住博の往復書簡〈1〉
宛先 隈研吾様
フィリップ・ワイズベッカーの
郷土玩具
十二支めぐり〈11〉[戌]
千 宗屋の
飲みたい茶碗、
点てたい茶碗〈49〉
◇ PICK UP ◇
movie 野崎歓
book 諏訪敦
recommend 編集部のおすすめ!
成相肇の やっかい もっかい てんらんかい〈28〉
exhibition 全国展覧会情報
次号予告
▼芸術新潮特別企画
志摩観光ホテルで出会う
藤田嗣治 幻の大作
ギャルリーためなが
爲永清司会長が語る、素顔の藤田嗣治
名古屋・愛知のとっておきアートスポット
ポーラ美術館
平野薫が解きほぐす三つの都市の記憶の糸
新潟の「水」「土」の境界領域で考える
ART CAFÉ SPECIAL
ART CAFÉ
最新号PICK UP
新たな切り口で迫る藤田嗣治
藤田嗣治は、美術史上、初めてヨーロッパで認められた日本人といって良いかもしれません。
にもかかわらず、その画業が体系的に理解・研究されるようになったのは、比較的、近年のこと。その背景には、さまざまな事情があったようですが、2000年前後から徐々に状況は変わり、生誕120年にあたる2006年には、東京・京都・広島で本格的な回顧展が開催されました。「芸術新潮」では、その折に「藤田嗣治の真実」と題する特集を組んでいます。
あれから12年――没後50年となる今年、東京・京都で再び大回顧展が開かれます。そこで、弊誌でも満を持して、新たな特集を企画しました。
今回のタイトルは「藤田嗣治と5人の妻たち」。
藤田の画風の変わり目と、パートナー・チェンジのタイミングが、みごと重なっていることに着目。とみ、フェルナンド、ユキ、マドレーヌ、君代という、日本人2人・フランス人3人の女性たちとのかかわりを通じて、「乳白色」の裸婦、宗教画や戦争画、子供や猫の絵といった作品群が、どのように生み出されていったのかを読み解きます。
ちなみに、下に掲げた《自画像》では、背景の壁に架かった女性像にもご注目ください。これは3番目の妻ユキの横顔。つまり、この絵は藤田と妻のダブル・ポートレイトなのです。彼女は1920年代、パリでの全盛期をともにした女性で、その抜けるような肌の白さから、藤田が与えた愛称が「ユキ」でした。彼女はこの名を気に入って、別れたあとも使い続けました。
誌面では、こうしたエピソードを交え、各時代の代表作から、君代夫人の手元に残されていた写真や手紙、日記といった貴重な資料、藤田が熱心に取り組んでいたブック・デザインや挿絵の仕事なども展開。現代美術家・奈良美智氏が現地で撮り下ろした、藤田の最後のアトリエや、設計や内装まで全てを手がけた礼拝堂の写真も必見です。
没後50年 藤田嗣治展
7月31日~10月8日 東京都美術館
【巡回】10月19日~12月16日 京都国立近代美術館
この号の誌面
編集長から
藤田嗣治と5人の妻(おんな)たち
没後50年を記念して、過去最大規模の藤田嗣治展が開催されるのを機に、改めて彼の画業を回顧。作風やモティーフが時とともに変化するのは画家として当然のことだが、藤田の場合、その転換が妻交代のタイミングと重なっている。パリでの模索期、彼の代名詞とも言える「乳白色」の裸婦像の登場、エキゾチックなモティーフへの傾倒、戦争画の時代、子どもを描くことへの執心などなど、その移り変わりを5人の妻たち―鴇田とみ、フェルナンド、ユキ、マドレーヌ、堀内君代―から解き明かしてみると、これまで気づかなかった画家の顔が見えてきた。2009年に亡くなった君代夫人のもとには、写真や日記帳、書簡など約6000件もの資料が残されており、目下、東京藝術大学による調査が進行中。その最新動向もお伝えする。
また、奈良美智が藤田晩年の安息の地を訪ねる。奈良自身による写真とエッセイで綴る、現代の美術家が見た巨星の姿にも注目してほしい。
芸術新潮編集長 吉田晃子
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