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【特集】美人画 past and present

芸術新潮 2020年3月号

(毎月25日発売)

1,500円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2020/02/25

発売日 2020/02/25
JANコード 4910033050308
定価 1,500円(税込)

お知らせ / 新型コロナウイルス対策により、弊誌でご紹介しました以下のイベントは、中止・延期となりました。ご注意ください。

3月号 P119~P141掲載
アートフェア東京2020(3月19日~22日開催を中止)

3月号 P7「Goods & Shop」掲載
The Food Film Festival Tokyo 2020(4月17日~19日予定を中止)

●目 次

【特集】美人画 past and present

巻頭グラフ
百年佳人 from 1908 to 2020

│第1部│
池永康晟と美人画リターンズ

制作ドキュメント
そのひとを撮る、そのひとを描く

グラフ
池永康晟 花迷宮セレクション

インタヴュー
「萌え絵の場所を絵画に奪還したい」
池永康晟の今までとこれから

美人画絵師対談
江口寿史×池永康晟
「無敵の10代」と「22歳のやさしさ」と僕らの絵について

  • 山下裕二の“隠し球”美人画絵師10傑
  • 温故知新のセンス系 蒼野甘夏+島崎良平
  • 新進から大御所、直球から変化球まで
    宮崎優+森本純+森本草介+石黒賢一郎
  • デビュー3年、とっておきの“隠し球” 尾崎慶子
  • 独自の絵肌でとらえる、ありのままの存在感 及川聡子+倉田明佳
  • 女性を描くということ 諏訪敦

│第2部│
鏑木清方と美人画黄金時代ゴールデンエイジ

鏑木清方の美人画
―築地明石町を中心に―
文 今西彩子

美人画クロニクル
春章・歌麿から戦後まで
文 児島薫

展覧会案内



◆ Art News exhibition ◆

死者たちのスイートホーム
厨子ジーシガーミを知っていますか?

◆ Art News exhibition ◆

森村泰昌の静かなる熱狂

◆ Review ◆

東京朝鮮中高級学校美術部/城田圭介
鰭崎英朋「もうひとつの歌川派?!」展より
千田泰広/小野友三

◆ Global News ◆

  • Napoli「ナポリ、ナポリ 溶岩と磁器と音楽」展
  • Paris「ユイスマンス ドガからグリューネヴァルトまで、フランチェスコ・ヴェッツォーリの目で」展
  • New York「JR:年代記」展
  • London「トロイ:神話と現実」展



◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

御贔屓 御馳走帖〈3〉
選・文 森川裕之

Goods & Shop

時と光の美術館〈35〉
SPECIAL
パルミジャーニ・フルリエ

◇ 連載 ◇

リ・アルティジャーニ
ルネッサンス画家職人伝〈23〉
ヤマザキマリ とり・みき

定形外郵便〈68〉
文 堀江敏幸

あの人と食器棚〈2〉
伊藤まさこ
fog linen workオーナー 関根由美子

千住博の往復書簡〈20〉
宛先 池坊専好様

千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈65〉

海外アートStudy最前線〈51〉
文 前橋重二

◇ PICK UP ◇

movie 野崎歓
book 諏訪敦
recommend 編集部のおすすめ!
藤田一人の展声人語〈5〉
exhibition 全国展覧会情報

次号予告

▼芸術新潮特別企画

アートフェア東京2020
見どころガイド
日動画廊/ギャルリーためなが/繭山龍泉堂/靖雅堂 夏目美術店/至峰堂画廊/靖山画廊/ギャラリーオリム
Gallery's Plaza 特別篇

連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈35〉
向源寺(渡岸寺観音堂)
《十一面観音立像》

ART CAFÉ

最新号PICK UP

美人画の過去と現在の比較から見えてくるもの

「美人画 past and present」と銘打った今特集には主人公が2人います。
pastの主役は、近代日本画を代表する画家であり、美人画の第一人者として現在にいたるも高い人気を誇る鏑木清方かぶらききよかた。presentの主役は、一目見たら忘れられない独特の絵肌で、近年の美人画ブームを牽引する池永康晟いけながやすなり

美人画という言葉は、描き手に複雑な思いも抱かせるようです。清方は若き日、自らの作品を「社会画」であると主張していた時期があります。美人画という呼称では、美人の容姿を描くことだけを目的としていると受け取られかねないのを嫌ったのでしょう。なるほど、清方の絵には紛れもなく美人が描かれてはいますが、それにとどまらず、すがすがしい自然の美や、失われてしまったある時代の情緒が色濃く反映していることもたしかです。清方の没後、半世紀近くを閲した現在だからこそ、作品の社会画的な側面がよりはっきりと見えてくるような気がします。

池永もやはり、自分が描いているのは美人画ではなく、本当は人物画なのだと言っています。池永が描く美人は、清方のそれよりもずっと現代的でなまなましいために、現在のところは、より女性美に偏した表現であるように受け取られるに違いありません。しかし、清方の絵の見え方の変化を考え合わせるならば、池永の絵もまた将来、現時点でのそれとは大きく異なる受け取られ方をするのではないか、そんな思いもわいてきます。

清方については、鎌倉市鏑木清方記念美術館の今西彩子さんに、清新な清方論をお寄せいただきました。一方の池永についは、ご本人にみっちりとお話をうかがいました。このロングインタヴュー、現在の社会にあって1人の若者が画家になるとはどういうことかについて、なかなかユニークなビルドゥングスロマンになっています。

彼ら2人の他にも、多くの美人画絵師たちが登場します。美人画というジャンルのありようがシンプルなだけに、過去と現在との対比から見えてくる差異・変容はいっそ鮮やかで、いろいろなことを考えさせられました。その奥行きをたっぷりとお楽しみください。

この号の誌面

編集長から

「美人画」新時代 ブーム到来に注目

 行方不明になっていた鏑木清方かぶらききよかたの傑作《築地明石町》が、昨秋44年ぶりに一般公開されて話題になった。清方と言えば美人画の第一人者。浮世絵に始まり、彼と上村松園うえむらしょうえんによって頂点をきわめたその人気ジャンルも、この50年来は衰退したものと認識されてきた。ところが近年、新世代の画家たちの台頭によりブームが再燃。それを牽引するのが池永康晟いけながやすなりだ。花模様のうねりを背景に、10年かけて研究した独特の肌色の女性たちがなまめかしく目を奪う。そんな池永の創作現場に突撃し、ロングインタビューと数々の作品から魅力をひもとく。かわいい女の子を描かせたら随一のマンガ家・江口寿史との対談では、女性を描く者同士の悩みも噴出。さらに山下裕二の案内で、現代の美人画の作家たちにも注目する。
 美人画は“時代を映す鏡”でもある。そのさまを総覧すべく、近世から戦後まで、流行や世相による移り変わりも追跡。今にしびれ、昔に驚く、清艶な絵画世界をお楽しみください。

芸術新潮編集長 吉田晃子

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「暮らし」はアートであるをキャッチフレーズにあらゆる事象を「芸術」という観点から検証し、表現する「芸術新潮」。1950年に創刊され、歴史と文化を見続けてきたハイクオリティなアートマガジン。歴史的な芸術作品から、建築、古美術、現代アートまで、あらゆる「美しきもの」を独自の切り口で紹介しています。