【特集】杉本博司と日本の神々
芸術新潮 2022年1月号
(毎月25日発売)
発売日 | 2021/12/25 |
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JANコード | 4910033050124 |
定価 | 1,500円(税込) |
【特集】杉本博司と日本の神々
- 巻頭グラフ
- 神体顕現――滝から海へ
- 鹿島のカミは春日のカミ
- かくかく鹿々 春日の神とつながるご縁
- ようこそ、カミ鳴りわたる広間へ
- 社を造る、像を迎える
- 威徳寺再訪
前田青邨・白洲正子旧蔵、十一面観音のふるさとへ
- I
- 私の内なる神々
- II
- 神仏習合の頃
- III
- 春日神との邂逅
- IV
- 題字な話
影老絵日記――杉本博司クロニクル
空前絶後の“遺作”プロジェクト
江之浦測候所は
日々是増殖
江之浦測候所MAP
令和4年、春日のカミが江之浦測候所に降臨する
春日大社宮司
花山院弘匡×杉本博司
日本的霊性をめぐる対話
オブザーバー 瀨谷貴之
“書家”杉本博司を知っていますか?
COLUMN
人は如何にして悟るか、または空中戦と大燈国師
杉本コレクション
神道美術12選
選・解説 瀨谷貴之
展覧会案内
◆ 第2特集 ◆
養老孟司×横山寛多
ムシのいい話
◆ Art News exhibition ◆
ショーメ×日本の伝統美
ものづくりの声を聴く
文 本間恵子
横尾忠則とマルセル・デュシャンの原郷
文 平芳幸浩
◆ Review ◆
- 篁 牛人/岸 裕真
- ジョナサン・ハマー/鈴鹿哲生
◆ Global News ◆
- Paris「異邦人ピカソ」展
- Berlin「H.R.ギーガー&ミレ・リー」展
- London「北斎:万物絵本大全図」展
- New York「越境するシュルレアリスム」展
◆ Regular Features ◆
◇ 巻頭 ◇
国宝クラス仏をさがせ!〈13〉
高幡不動尊 不動三尊像
Goods & Shop
時と光の美術館〈57〉
ブチェラッティ
◇ 連載 ◇
国宝クラス仏をさがせ!
解説篇〈13〉
選・解説 瀨谷貴之
新連載
山下裕二の
新・今月の隠し球〈1〉
大西茅布(上)
海外アートStudy最前線〈71〉
文 前橋重二
定形外郵便〈90〉
文 堀江敏幸
大人のための印象派講座〈7〉
女性画家として生きることI
モリゾとカサットの場合
文 三浦 篤
画家・中園孔二を追って。〈4〉
絵のマグマ
取材・文 村岡俊也
千住博の往復書簡〈42〉
新春特別編
お相手 酒井邦嘉 様
科学と芸術の接点を探ろう
千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈86〉
◇ PICK UP ◇
movie 野崎 歓
book 諏訪 敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈19〉小田原のどか
exhibition 全国展覧会情報
次号予告
▼芸術新潮特別企画
歌舞伎座の快人〈3〉
二代目中村獅童 小川陽喜之巻
霊気を彫り出す彫刻家、大森暁生の25年間の軌跡
連載 唯一無二の美〈4〉
女神アスタルテの像 浮彫護符
レンゾ・ピアノに捧げた
キンベル美術館のピクチャーレール
連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈46〉
法隆寺 百済観音堂《百済観音像》
ART CAFÉ SPECIAL
Gallery's Plaza
ART CAFÉ
最新号PICK UP
春日の神様は行かせてくれない
新春号の巻頭特集は、現代美術作家・杉本博司と神奈川県立金沢文庫のコラボ展「春日神霊の旅―杉本博司 常陸から大和へ」を機としたもの。杉本氏は、古美術コレクターとして多数の“春日物”の名品を所蔵し、小田原市郊外で運営するアートサイト・江之浦測候所には鎮守のお社として春日社を建立。それも社殿を建てただけではなく、2022年3月には奈良の春日大社から御霊分けまでしていただくという。
杉本氏はもう2年近くずっと日本にいる。ん? それってあたりまえなのではというのは普通の人の場合で、美術作家としての杉本氏の拠点はニューヨークであり、そのニューヨークにさえじっとすることなく、世界中を飛びめぐるのがここ四半世紀の日常だった。22歳で渡米して以来一度もなかったほどの日本での長期滞在の原因はもちろんコロナだが、どうもそれだけではないなと感じたのは、杉本氏が久々のニューヨークへまさに飛ぼうとしていたタイミングで「オミクロン株」なるあらたなウイルスが登場したからだ。
じつは春日の神様には、お気に入りの人間の海外渡航を邪魔した前歴がある。お釈迦様を慕う明恵上人がインドへ向かおうとするのを、神託によって2回も差し止めたのだ。杉本氏は、肖像画や夢日記の断簡も持つ大の明恵ファンでもある。少なくとも「春日神霊の旅」展と春日社のご遷座を終えるまでは日本を離れることまかりならぬ――春日神のご意志は明白であろう。逆に言えば、この特集を読み、この展覧会(2022年1月29日~3月21日 神奈川県立金沢文庫)を鑑賞するなら、かなり高い確率で春日の神のご加護が得られる、ような気がする。どうぞ良いお年をお迎えください!
この号の誌面
編集長から
杉本・養老・山下 “影老”たちの競演
このごろ、いや数年前から、頭にこびりついて離れない標語がある。「日々是口実」。最初に目にしたのは、現代美術家・杉本博司が小田原市の郊外に開設したアートサイト・江之浦測候所の茶室「雨聴天」の床に掛かる掛軸だった。もちろん禅語の「日々是好日」のもじりだが、デュシャンピアン(=マルセル・デュシャンの信奉者)としての自己の本質を軽妙的確に捉えつつ、お前もやってみろと誘いかけてくるような気配もある。特集「杉本博司と日本の神々」では、杉本が自ら“遺作”と位置づける江之浦測候所と、そこへの春日社の勧請を機とした「春日神霊の旅―杉本博司 常陸から大和へ」展をフィーチャー。3月には小社から『杉本博司自伝 影老日記』(またもやダジャレ)も刊行される予定だ。
第二特集では、虫愛ずる影老・養老孟司が年下の虫友と虫談義に耽る。初老耽美派を自称する山下裕二による新連載「山下裕二の新・今月の隠し球」もスタート。賑々しい新春号となった。
芸術新潮編集長 高山れおな
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