【特集】鏑木清方 語りはじめる美人画
芸術新潮 2022年4月号
(毎月25日発売)
発売日 | 2022/03/25 |
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JANコード | 4910033050421 |
定価 | 1,500円(税込) |
【特集】鏑木清方 語りはじめる美人画
明治よ永久に 絵筆の絶唱
築地明石町
――開化の風が吹くところ
MAP
鏑木清方 揺籃の地
イラストレーション:溝口イタル
早わかり年譜
1 戯作者の父と、芝居好きの母
2 一家離散! 16歳で大黒柱に
[相関図]最後の江戸人たちと文芸界の友人たち
3 22歳、鏡花と出会う
4 いざ、文展! 展覧会で大作に挑む
[相関図]さまざまな美術団体と仲間たち
5 《築地明石町》から卓上芸術へ
6 鎌倉へ――「専ら市民の風懐に遊ぶ」
第一章
文芸的な、あまりに文芸的な美人画
文 篠原 聰
第二章
清方ギャラリー
絵でたどる「こしかたの記」
明治・大正のカラーグラビア
口絵のなかのヒロインたち
選・文 坂本 葵
美人画の花ひらく
会場芸術という舞台
清方好みの美人
文 角田拓朗
ひそやかな絵画体験
卓上芸術という絵ものがたり
危うし! 卓上芸術
再説『註文帳画譜』の謎
文 前橋重二
第三章
清方先生の鎌倉暮らし
インタビュー
孫が語る「新・こしかたの記」
兄 根本章雄/妹 根本信子
清方デザインの着物拝見!
鎌倉市鏑木清方記念美術館へ
清方の着物、着たくなる着物
文 加門七海
第四章
羽ばたく弟子たち
師・清方から受け継いだもの
文 今西彩子
展覧会案内
◆ Art News exhibition ◆
エリイに聞け! \世界初/Chim↑Pom大回顧展
◆ Art News exhibition&book◆
特別対談
岡田准一×上田義彦
写真という“奇跡”について
◆ Art News exhibition ◆
柳宗悦が愛した仏画たち
文 白土慎太郎
◆ Art News exhibition&book◆
指田菜穂子
明治・大正の文学と世相を解く、超絶コラージュ絵画
◆ Review ◆
アントワン・ダガタ
「人間の才能 生みだすことと生きること」展より
キャサリン・ブラッドフォード/今坂庸二朗
◆ Global News ◆
- New York「ヒュー・ヘイデン:イバラの茂み」展
- Brescia「芸術における女性 ティツィアーノからボルディーニまで」展
- London「フランシス・ベーコン:人間と獣」展
- Berlin「カール・マルクスと資本主義」展
◆ Regular Features ◆
◇ 巻頭 ◇
国宝クラス仏をさがせ!〈16〉
六波羅蜜寺 地蔵菩薩立像
Goods & Shop
時と光の美術館〈60〉
杢目金屋
◇ 連載 ◇
定形外郵便〈93〉
文 堀江敏幸
国宝クラス仏をさがせ!
解説篇〈16〉
選・解説 瀨谷貴之
山下裕二の
新・今月の隠し球〈4〉
藤沢康人(下)
海外アートStudy最前線〈74〉
文 前橋重二
大人のための印象派講座〈9〉
知られざる「お金」の問題
文 三浦 篤
千住博の往復書簡〈45〉
宛先 十文字 美信 様
千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈89〉
◇ PICK UP ◇
movie 野崎 歓
book 諏訪 敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈22〉小田原のどか
exhibition 全国展覧会情報
次号予告
▼芸術新潮特別企画
歌舞伎座の快人〈4〉
十五代目片岡仁左衛門之巻
遊牧民のくらしから生まれた美
山田五郎が覗いた!
上質なアート保管を提供する「寺田倉庫」の内側
はじめてのNFTアート〈2〉
Adam byGMO
クリエイターが語る、出品から感じた可能性
光の中でつながり響く
ポーラ美術館の贅沢すぎるお蔵出し
KAJIMA彫刻コンクールに見る、彫刻・建築・空間の有意義な出会い
絵と言葉のチカラ展
第1回の受賞&入選作が決定!
ART CAFÉ
Gallery's Plaza
最新号PICK UP
鏑木清方の代表作6作品を“精読”
2018年の《築地明石町》の再発見、また現在、東京国立近代美術館で開催中の「没後50年 鏑木清方展」を機に、小誌でも鏑木清方の特集ができないかと思っていたときに教えてもらったのが、「美人画研究会」という若手研究者たちによる研究会の存在でした。清方の研究を中心に意欲的に活動をしているとの由。
そうして、そのメンバーのひとり、東海大学の篠原聰先生の論文「鏑木清方と《曲亭馬琴》 第一回文部省美術展覧会の落選画に関する一考察」(2011年)にたどり着きました。清方のこだわりをとことん追う詳細な作品分析も面白いのですが、結びに記されていた、「本作品(=《曲亭馬琴》)の中心的主題は小説の営みそのもの、稗史小説を創造する人間の営みそのものであると考えられる」という一文にはとりわけハッとさせられました。
清方の絵はしばしば物語る絵画と評されてきました。そのとおり、《曲亭馬琴》には歴史小説の趣きがあるし、《一葉女史の墓》に漂うのは濃密な幻想小説の香り。《三遊亭円朝像》は伝記作品、《朝夕安居》は随筆で、《築地明石町》はまさに一篇の詩ではありませんか! ただ、清方の絵が「物語る」のは、単に出発点が挿絵画家であったから、また文学好きであったからというだけではありません。そのことに、篠原先生の先の一文を読んではっきりと気づかされたのでした。
というわけで、清方と文学との関係をもっと掘り下げるべく、本特集では篠原先生に“美人”を描いた6作品の“精読”をお願いしました。選ばれたのは《曲亭馬琴》《一葉女史の墓》《刺青の女》《築地明石町》《讃春》《一葉》です。そこから浮かび上がってきたのは、対象に注がれた清方のあたたかなまなざし。その源泉となる画家の生い立ちや文学との出会いも解説していただいています。
6作品中、《刺青の女》以外の5作品は「没後50年 鏑木清方展」の出品作でもあります。本特集と展覧会、どうぞ両者あわせてお楽しみください。
【展覧会情報】
没後50年 鏑木清方展
2022年3月18日~5月8日 東京国立近代美術館
5月27日~7月10日 京都国立近代美術館
特設サイト
*掲載の会場写真は報道内覧会で許可を得て撮影しています。撮影:筒口直弘(新潮社)
この号の誌面
編集長から
今も鮮やかな色と言葉 鏑木清方を読み直す
二〇一九年の秋、鏑木清方の《築地明石町》が国の所蔵に帰し、じつに四十四年ぶりに一般公開された時の衝撃は忘れられません。代表作だけに、行方不明だった間も、同作の写真は小誌を含めさまざまな媒体に掲載され続けていたわけですが……いっ、色が全然違うじゃないか! 半世紀前の写真を基にした印刷図版は大なり小なりくすんだ感じだったのに、実物はまさに昨日描かれたかのような輝きを放っていたのです。特集「鏑木清方 語りはじめる美人画」では、没後五十年になる巨匠の魅力に改めて迫ります。自身も随筆の名手だった清方の文学との関わり、失われた明治への思いの深まりを、現在の研究水準を踏まえつつ掘り下げます。孫の根本章雄さん・信子さんのご兄妹には、素顔の祖父について語り合っていただきました。
Art NewsではChim↑Pomの大回顧展をフィーチャー。昨年解散したV6の仲間たちの姿を撮影した写真をめぐる、岡田准一と上田義彦の対談も必読です。
芸術新潮編集長 高山れおな
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