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【特集】「十二国記」絵師
山田章博の世界

芸術新潮 2022年6月号

(毎月25日発売)

1,500円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2022/05/25

発売日 2022/05/25
JANコード 4910033050629
定価 1,500円(税込)
●目 次


【特集】「十二国記」絵師 
山田章博の世界


グラフ
「十二国記」イラスト傑作選

「十二国記」イラストについて
小野不由美への十問十答

山田章博のHow to Draw
「芸術新潮」6月号表紙ができるまで密着取材

初めて読む人のための「十二国記」ガイド

山田章博の What a Wonderful World!
解説編 文 堺 三保
II
グラフ編

魅惑の幻影絵師を語る
出渕裕インタビュー


山田章博インタビュー
僕の絵は作品でも表現でもない
愛すべき、子供っぽいものです

小説「装画・挿絵」のアート史

「十二国記」INFORMATION



◆ Art News repoprt ◆

福井江太郎が感じた
ヴァン クリーフ&アーペルのまなざし

◆ Art News exhibition ◆

“たまたま生まれた景色”から始まった
桶田俊二&聖子夫妻のアート病

カラーフィールド
大画面に溢れる色の声

民衆版画が写し取った
戦後日本のリアルとファンタジー


◆ Art News interview ◆

村上春樹インタビュー
「和田誠レコード・コレクション」を
村上春樹ライブラリーが収蔵するまで

◆ Review ◆

  • マリオン・ペック
  • サミュエル・ボレンドルフ
    「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2022」より
  • 崔在銀
  • クリスティン・モルギン

◆ Global News ◆

  • London「ラーナ・ビーガム:まだらの光」展
  • New York「ジャン=ミシェル・バスキア:アートと物体」展
  • Firenze「ドナテッロ ルネサンス」展
  • Berlin「ベイルートと黄金の1960年代:脆弱性のマニフェスト」展



◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

国宝クラス仏をさがせ!〈18〉
大安寺 伝楊柳観音立像

Goods & Shop

時と光の美術館〈62〉
コウジ タクマ

◇ 連載 ◇

定形外郵便〈95〉
文 堀江敏幸

国宝クラス仏をさがせ!
解説篇〈18〉
選・解説 瀨谷貴之

山下裕二の
新・今月の隠し球〈6〉
佐藤裕一郎(下)

新連載 中野京子
名画に見る悪の系譜〈1〉
異形としてあらわれる悪

新連載
ジャニー喜多川が創ったもの〈1〉
文 立川輪太郎

大人のための印象派講座〈11〉
印象派を支えた友情と支援
バジールとカイユボット
文 三浦 篤

千住博の往復書簡〈47〉
宛先 堂島こどもアワード受賞者 様[前編]

海外アートStudy最前線〈76〉
文 前橋重二

◇ PICK UP ◇

movie 野崎 歓
book 諏訪 敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈24〉小田原のどか
exhibition 全国展覧会情報

次号予告

▼芸術新潮特別企画

はじめてのNFTアート〈4〉
Adam byGMO
坂東 工
NFTアートの「創世記」を紡ぐ

時と光の美術館
パテック フィリップSPECIAL〈5〉
輝ける生命を描く

ART CAFÉ SPECIAL
ART CAFÉ
Gallery's Plaza

「千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗」は今月は休載します。

最新号PICK UP

「装画・挿絵」のすばらしき世界

 小野不由美さんの「十二国記」シリーズ、そのエピソード0にあたる『魔性の子』が刊行されてから、30年が経ちました。30年前から現在まで、「十二国記」の壮大な世界を端麗なイラストで飾ってきたのが、山田章博さんです。「芸術新潮」6月号は、マンガ家であり、イラストレーターとしても超売れっ子の山田章博さんの画業にスポットを当てる特集を組みました。

 山田さんは、本特集のインタビューの中で、自分が描いているものは「『作品』でもないし、もっと子供っぽく、ちゃちなもの」と語っています。「御大層にアートっぽいことを言うようになったら、もうおしまいだと思っています」とも。しかし一方で、「それは僕の中では、愛すべきものなんですけどね」と、必ずしも卑下しているわけではないようにも感じられます。

 この言葉で思い出したのが、2015年に亡くなった生賴おおらい範義さんの文章でした。小松左京や平井和正をはじめとして1500点以上の装画を手がけ、「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」のポスターをハリウッドから発注されたほどの超大物イラストレーターです。彼はこう記しています。「私はおよそ二十五年の間、真正なる画家になろうと努めながら、いまだに半可通な絵描きにとどまる者であり、生活者としてはイラストレーターなる適切な訳語もない言葉で呼ばれて、うしろめたさと恥ずかしさを覚える者である」(『生賴範義 イラストレーション』徳間書店、1980年)。東京藝大で油画を専攻して小磯良平に学び、しかし「もう学校で教わることはない」と3年で中退している生賴は、装画の仕事をはっきりと卑下していたようです。

 装画は、注文に応じて描かれるもので、その本の内容を絵で表し、読者の注目を集める、という明確な目的を持っています。実用的な用途に供されるものだから、これは芸術ではない、という論理だと思われます。

 しかし、本当にそうでしょうか?

 不朽の名画として伝えられている作品をいくつか思い浮かべてみると、たとえばレオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》は、修道院の食堂に描かれています。注文に応じて描かれた作品で、明確に宗教的な目的を持った絵画です。葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》は、「冨嶽三十六景」という版画集の中の1枚で、これも版元の注文に応じて制作されています。

 画家が用途のはっきりしない絵を自発的に描いて、それが「芸術」ともてはやされるようになったのは、おそらくは近代以降のことで、実はそう長い歴史があるわけではないように思われるのです。

 本特集では、「小説『装画・挿絵』のアート史」と題した記事で、8人の卓越したイラストレーターを紹介しています。彼らの絵がどれほど魅力にあふれているか、ぜひ雑誌を手にとってご確認ください。そして、職人的にすばらしく良質な絵を描いている方々に、もっと日が当てられますように、と願います。

この号の誌面

編集長から

「十二国記」絵師 山田章博の魅力が全開

 小野不由美の大人気シリーズ「十二国記」。中華風の架空世界と現代日本という二つの時空を行き来しながら紡がれる物語は、すでに30年にわたって書き継がれています。山田章博はこの壮大なファンタジーを、華麗なイラストレーションによって視覚化し続けてきました。特集では、まずは「十二国記」絵師としての山田にフォーカスし、ヒロインの陽子をモティーフにした表紙絵を描きおろす現場に密着。さらに、マンガ家としてキャリアをスタートさせ、装画や挿絵、アニメやゲームのキャラクターデザインへと、縦横無尽に活躍の場を広げてきた画業の全容を追いました。
 Art Newsでは、村上春樹インタビューが必読。故・和田誠のレコード・コレクションが、早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)に収蔵されるまでのいきさつをうかがいました。絵は出てきませんし、タイプは全く異なりますが、こちらも卓越したイラストレーターが主人公の記事というわけです。

芸術新潮編集長 高山れおな

山田章博「芸術新潮」2022年6月号 表紙作画風景

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「暮らし」はアートであるをキャッチフレーズにあらゆる事象を「芸術」という観点から検証し、表現する「芸術新潮」。1950年に創刊され、歴史と文化を見続けてきたハイクオリティなアートマガジン。歴史的な芸術作品から、建築、古美術、現代アートまで、あらゆる「美しきもの」を独自の切り口で紹介しています。