【特集】「ベルサイユのばら」の真実
芸術新潮 2022年9月号
(毎月25日発売)
発売日 | 2022/08/24 |
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JANコード | 4910033050926 |
定価 | 1,500円(税込) |
【特集】「ベルサイユのばら」の真実
La Rose de Versailles
早わかり ベルばら年代記
革命と絵画
「ベルばら」時代の巨匠たち
解説 鈴木杜幾子
- I
- 「ルイ大王の世紀」が終わり、ロココの宴が始まる
- II
- 逸楽と啓蒙、または最愛王とポンパドゥール夫人
- III
- 嬌声のかなた、新時代の足音が聞こえる
- IV
- 革命派vs王党派 動乱を生き抜いたそれぞれの道
オルレアン公夜話
ルイ十六世を悩ませたボンクラ・プリンス
文 鹿島 茂
「ベルばら展」宝塚歌劇の展示品 \ほぼ/全点解説
宝塚歌劇の『ベルばら』は何故かくも愛されたか
文 松島奈巳
Interview
池田理代子
「オスカルは私の分身のようなもの」
知りたかった、あの人の過去、あの人のその後……
新旧ファンの胸震わせる、エピソード編
オスカルの姪ル・ルーが大活躍!
ベルサイユのばら外伝
展覧会案内
◆ Art News exhibition ◆
なぜ、どのように、そして
異性装のニッポン
◆ Art News report ◆
“祈り”という希望
「ヴィラ ドゥ のぞみ」に宿る使者
反ユダヤ主義!? 作品撤去も!!
揺れる国際展「ドクメンタ15」
文 かないみき
◆ Review ◆
- 「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」展より
- 東北画は可能か?/ライアン・ガンダー
◆ Regular Features ◆
◇ 巻頭 ◇
国宝クラス仏をさがせ!〈21〉
伝香寺 地蔵菩薩立像
Goods & Shop
時と光の美術館〈65〉
ピアジェ
◇ 連載 ◇
定形外郵便〈98〉
文 堀江敏幸
国宝クラス仏をさがせ!
解説篇〈21〉
選・解説 瀨谷貴之
大人のための印象派講座〈13〉
画商たちの戦略
デュラン=リュエルを中心に
文 三浦 篤
中野京子
名画に見る悪の系譜〈4〉
見得を切る
ジャニー喜多川が創ったもの〈4〉
文 立川輪太郎
山下裕二の
新・今月の隠し球〈9〉
西野壮平(上)
千住博の往復書簡〈50〉
宛先 品川惠保 様
千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈93〉
◇ PICK UP ◇
movie 野崎 歓
book 諏訪 敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈27〉小田原のどか
exhibition 全国展覧会情報
次号予告
▼芸術新潮特別企画
時と光の美術館
パテック フィリップSPECIAL〈6〉
旅への憧れ
王妃が愛した時計、ブレゲ
ヴァン クリーフ&アーペル
25の奇跡のダイヤモンド
はじめてのNFTアート〈7〉
Adam byGMO
NFTアート出品が教えてくれたこと
北の大地に30年
六花亭アートヴィレッジ
熊谷守一が結んだ親戚づきあい
文化でつなぐ都市間連携
ピカソ「青の時代」のミステリー
――科学調査で深層に迫る
連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈50〉
新薬師寺 本堂《薬師如来坐像》
ART CAFÉ SPECIAL
ART CAFÉ
Gallery's Plaza
最新号PICK UP
少女漫画の歴史を塗り変えた名作と、改めて向き合う
「ベルサイユのばら」(通称「ベルばら」)は、フランス革命期に生きた対照的な2人の女性――男装の麗人オスカルと、悲劇の王妃マリー・アントワネット――を主人公にした歴史ロマン漫画です。
今年連載開始50周年を迎える本作は、当初から熱狂的な支持を集め、親から子へと読み継がれてきました。歴代の愛読者たちに、宝塚歌劇の舞台やTVアニメ版のファンも含めれば、まさに“国民的名作”と言って過言ではないでしょう。
(「フランス革命史は『ベルばら』で学んだ」という人の、なんと多いこと!)
編集子はリアル世代で、マーガレットコミックスを擦り切れるほど読み、随所の決め台詞も頭に入っていましたが、今回の特集を担当するにあたって全編を読み返してみました。そして改めて、作者・池田理代子先生の偉大さに心を撃ち抜かれました。
高校の課題図書として読んだシュテファン・ツヴァイクの『マリー・アントワネット』が着想源。以来、池田先生は構想をあたため、わずか24歳で、この大作を描き始められたのでした。「歴史ものは少女漫画らしくない」という理由で、編集部から、なかなかOKが出なかったにもかかわらず……。そして、当時の池田先生はヨーロッパに行ったことがなく、インターネットもない時代でしたから、資料集めには、そうとうなご苦労があったことでしょう!
本特集を機に、あこがれの池田先生に、インタビューさせていただくことができました。想像どおり、華やかで美しく、眩いお方でした。当時のこと、現在のこと、これからのこと……。さまざまなエピソードを語っていただきましたので、ぜひ、小誌をご覧ください。
また、漫画本編のご紹介以外にも、「芸新」ならではの視点で「ベルばらの真実」を追求しています。
美術史家・鈴木杜幾子氏の解説による「革命と絵画」では、マリー・アントワネットのお抱え画家ながら革命を生き延びたヴィジェ=ルブランと、革命ではロベスピエールに与し、後にナポレオンの首席画家となるダヴィッドを中心に、美術と社会が密接であった時代をひもときます。
そして、フランス文学者・鹿島茂氏による「オルレアン公夜話」では、「ベルばら」にも登場した悪役(?)オルレアン公の実像が明らかに。
「ベルばら」ファンの方にも、これから読んでみたいという方にも、さらにフランス革命期の美術史・社会史に興味のある方にも、ぜひ手にとっていただきたい、永久保存版大特集です。
この号の誌面
編集長から
誕生から半世紀 ベルばらを読み直す
「ベルばら」をほぼリアルタイムで読んだり、アニメを観たりしていた時には、オスカルもマリー・アントワネットもずいぶん年上で、特にオスカルは知的で成熟した人間のように思っていましたが、久しぶりに読み返すとこんなに直情径行の人だったかとびっくり。いや、それ以上にびっくりしたのは、ツヴァイクの『マリー・アントワネット』を原典とした王妃の一代記とオスカルという架空人物の成長物語を一枚に織り上げたストーリーテリングの見事さですが。特集〈「ベルサイユのばら」の真実〉では、この不朽の名作を名場面で振り返りつつ、主人公たちが見た同時代の美術も紹介します。ヴァトー、シャルダンからダヴィッド、ヴィジェ=ルブランまで、じつはこれほど美術の動きと政治の動きがシンクロしていた時代は稀なのです。
Art Newsでは、「装いの力 異性装の日本史」展を紹介。単なる偶然ではありますが、オスカルが主役の特集号にぴったりの興味深い内容です。
芸術新潮編集長 高山れおな
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