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【特集】養老孟司の目

芸術新潮 2022年11月号

(毎月25日発売)

1,500円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2022/10/25

発売日 2022/10/25
JANコード 4910033051121
定価 1,500円(税込)
●目 次


【特集】養老孟司の目

紀行
佐渡で地球の呼吸を感じる

養老対談
1 ヨシタケシンスケ
幸せになろうなんて思わなくて、いいのです。
2 山下裕二
若冲・応挙から“超絶技巧”まで、昆虫ニホン美術史
3 坂口恭平
意識の芽生え、意識のゆくえ

略年譜
養老記
先生のつぶやきアンソロジー 共著者リスト付

養老孟司解剖之図
イラストレーション 伊野孝行

怒らない人の怒りのツボ
構成・文 足立真穂

三つの死の風景
お墓と虫塚――三人称の死
個別の関係性――二人称の死
恐れてもしょうがない――一人称の死



◆ 第2特集 ◆

新出! 歌麿の大作“春画”軸
文 樋口一貴

◆ Art News interview ◆

沢田研二のとてつもない衣装をつくった男
早川タケジインタビュー

◆ Art News exhibition ◆

パリ・オペラ座に魅せられた画家たち

きっかけは奇跡の奈良美智
地域とアートの交わり方 in 青森

俊英・亀井ブラザーズと明治洋画ネットワーク

◆ Review ◆

  • 玉井力三
  • 多和田有希「見るは触れる 日本の新進作家 vol.19」より
  • 村上華子
  • 福田美蘭「日本の中のマネ 出会い、120年のイメージ」展より



◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

国宝クラス仏をさがせ!〈23〉
個人蔵 聖観音菩薩立像

Goods & Shop

時と光の美術館〈67〉
ミキモト

◇ 連載 ◇

定形外郵便〈100〉
文 堀江敏幸

国宝クラス仏をさがせ!
解説篇〈23〉
選・解説 瀨谷貴之

大人のための印象派講座〈15〉
「ユダヤ」問題は印象派に何をもたらすのか
文 三浦 篤

中野京子
名画に見る悪の系譜〈6〉
旅のリスク

ジャニー喜多川が創ったもの〈6〉
文 立川輪太郎

山下裕二の
新・今月の隠し球〈11〉
光宗 薫(上)

千住博の往復書簡〈52〉
宛先 奥田 小由女 様

千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈95〉

◇ PICK UP ◇

movie 野崎 歓
book 諏訪 敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈29〉小田原のどか
exhibition 全国展覧会情報

次号予告

▼芸術新潮特別企画

はじめてのNFTアート〈9〉
Adam byGMO
日本から世界、そして仮想空間へ
吉川壽一のSYOワールド

上原美術館で出会う「無冠の仏像」の魅力

三越伊勢丹が国立ミュージアムとコラボレーション!
愛でたいギフト

日本から「世界基準」を発信する
京都の老舗ギャラリー大雅堂
50年の歩みと展望

連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈51〉
十輪院《石仏龕》

ART CAFÉ
Gallery's Plaza

最新号PICK UP

 本特集の取材のため、養老先生と佐渡島に向かったのは6月初旬のことでした。先生にとっては27年ぶりという佐渡島。天然杉の森や能舞台、たらい舟が浮かぶ海辺など様々な場所を訪れました。

 驚いたのは、島に着いてすぐ、先生が車窓から森を眺めて「この森にはシカやイノシシはいないですね」と気づかれたこと(なぜ気づいたのかは、ぜひ本誌でご確認を)。他にも、「標高が高くないのに、高山植物がある」と不思議そうに考えこんだり、「この虫は、鎌倉では赤いけど佐渡だと黄色いんですね」と目を輝かせて虫を採ったり。いつも目の前にある景色や生き物たちと夢中で向き合い、丁寧に観察されている先生のお姿が印象的でした。同じ景色を眺めていても、私は「木々が鬱蒼と茂っているなあ」と思うばかりだったので、先生の目にはこれほどたくさんのものが見えているのか!とびっくりしたのです。

 私たちはつい、「自然が豊か」「自然がまったくない」というように、環境を抽象的な言葉でひとくくりに表現してしまいがち。でもそこには、様々な生き物たちの複雑で面白いディテールがたくさんあるということを、今回の取材で学びました。佐渡では、そんな養老先生の「生き物をつぶさに見る目」にフォーカスできたのではないかと思っています。

 さらに、養老先生と、ヨシタケシンスケさんや山下裕二さん、坂口恭平さんという豪華メンバーとの対談や、先生へのロングインタビューを通して、先生流の世間とのつき合い方や、虫や植物の「形」をみる目、そして人間の意識や、死について考えていることなどをたっぷりと伺いました。養老先生の頭の中を覗き見できるような本特集、ぜひご覧ください。

芸術新潮 2022年11月号
撮影:青木登(本誌)

この号の誌面

編集長から

養老孟司の“いま”を解剖する

 養老孟司特集を組むきっかけは、ちょうど1年前、京都の細見美術館で開催された「虫めづる日本の美 養老孟司×細見コレクション」展だ。“虫屋”としての養老がキュレーションしたこの展示を、本誌では1月号でレポートしたが、養老先生が開き、見せてくれる世界の面白さを改めて痛感、これはもうこの人を特集するしかない(!)となったのである。
 特集の柱は3本の対談だ。現在の日本でたぶんいちばん人気のある絵本作家・ヨシタケシンスケ、養老先生のゾウムシに対してチョウを専門にする虫屋美術史家・山下裕二、そして年は親子ほど離れているがやたら気が合う「いのっちの電話」の坂口恭平――この個性派3氏を相手に、養老先生がいま見ているもの、考えていることについてじっくり語り合った。
 第2特集は歌麿の新出の“春画”軸の話題。普通の床の間では掛けられないほどの大作の肉筆春画を、いったいどのように楽しんだのかを大胆推理する。

芸術新潮編集長 高山れおな

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