【追悼|総力特集】坂本龍一
芸術新潮 2023年5月号
(毎月25日発売)
発売日 | 2023/04/25 |
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JANコード | 4910033050537 |
定価 | 1,500円(税込) |
【追悼|総力特集】坂本龍一
第1章 坂本龍一を聴く I 到達点
『async』から『12』へ
12のスケッチ
「ポストモダン・ミュージック」から
「音楽そのもの」へ
文 浅田 彰
坂本さんへ、12人からの手紙
(1)けがれなき「もの」としての音 李禹煥
(2)坂本龍一の指 村上 龍
(3)雨音と太陽 カールステン・ニコライ
(4)水の呼吸 宮永愛子
第2章 坂本龍一を聴く II 歩み
12作品を今あらためて聴く
文 佐々木 敦
坂本さんへ、12人からの手紙
(5)なにものかへの回帰 宇佐見りん
(6)即興演奏のパートナー 大友良英
第3章 坂本龍一を見る
高谷史郎責任編集
グラフ インスタレーション・アート
坂本龍一のアートを高谷史郎が徹底解説
論考 配信者という芸術家像のはじまり
――音楽の共有地(コモンズ)を求めて
文 松井 茂
坂本さんへ、12人からの手紙
(7)僕の履歴書みたいな。 田中 泯
(8)世界とつながっている 島袋道浩
(9)忘却の花 アピチャッポン・ウィーラセタクン
(10)霧が好きだった彼のために 中谷芙二子
第4章 坂本龍一を読む
12の言葉
文 小崎哲哉
坂本さんへ、12人からの手紙
(11)一億年前の森の中で 岡﨑乾二郎
(12)創造放射者 大竹伸朗
これからの坂本龍一
◆ Art News exhibition ◆
怖くて、優しくて、身近なアート
エドワード・ゴーリー
文 河村錠一郎
末盛千枝子 絵本の仕事と家族の肖像
\連載完結記念!/
江口寿史インタビュー
ジャニーズの美形男子を描いて思ったこと
◆ Review ◆
- 須藤美沙『ACT (Artists Contemporary TOKAS) Vol.5 引き寄せられた気配』展より
- エマ・ウェブスター
- 近藤恵介・冨井大裕/杜昆(ドゥクン)
◆ Regular Features ◆
◇ 巻頭 ◇
国宝クラス仏をさがせ!〈29〉
七寺 阿弥陀三尊及び二天像
Goods & Shop
時と光の美術館〈73〉
ディオール
◇ 連載 ◇
定形外郵便〈106〉
文 堀江敏幸
国宝クラス仏をさがせ!
解説篇〈29〉
選・解説 瀨谷貴之
山下裕二の
新・今月の隠し球〈16〉
鈴木明日香(下)
幻々夢譚〈5〉
絵・文 と金
大人のための印象派講座〈20〉
批評家たちの役割
文 三浦 篤
中野京子
名画に見る悪の系譜〈11〉
スリ
千住博の往復書簡〈58〉
宛先 室瀬和美 様
福井江太郎の
駝鳥がゆく!!〈2〉
訪問先 山口つばさ さん
千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈100〉
◇ PICK UP ◇
movie 野崎 歓
book 諏訪 敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈34〉小田原のどか
exhibition 全国展覧会情報
次号予告
▼芸術新潮特別企画
時と光の美術館
パテック フィリップSPECIAL〈9〉
文字盤の背後にある革新
NFTアートカレッジ〈2〉Adam by GMO
NFTアートが繋ぐ
コミュニケーションを楽しむ
春のアートスポット
バックスキンビールと、
ウクライナの国民的画家。
その組合せに秘められた想い。
美術品の「公明正大」な鑑定評価のために
連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈54〉
興福寺《十大弟子立像》
ART CAFÉ
GALLERY'S PLAZA
最新号PICK UP
坂本さんの特集ができるまで
1950年に創刊し、通巻では880号を超える「芸術新潮」の長い歴史の中で、音楽家をメインの特集で取り上げたのは、たった一度だけでした。2006年5月号の武満徹特集です。ふたり目は坂本龍一さんしかいない、と考えるようになったのは、2017年にリリースされた坂本さんのソロアルバム『async』を聴いてからでした。多様なジャンルを横断しつつ1作ごとに新たなチャレンジを続けてきた坂本さんが、みずから「あまりに好きすぎて、誰にも聴かせたくない」と言うアルバムは、音楽とノイズが入り混じる先鋭的なものでありながら、でもとても心地よい、凄い作品でした。「なんでもできる音楽家」が、ついに「自分にしかできない音楽」にたどり着いたようにも感じられました。
以来、どこかのタイミングで坂本龍一特集を組みたい、と考え始めたものの、2021年1月に、坂本さんは2度目のがんとの闘病生活に入ったことを公表しました。そして翌年6月、「新潮」誌(2022年7月号)で始まった連載「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」を読んで、呆然としました。坂本さんが語るご自身の病状は、私がなんとなく想像していたより、はるかに厳しいものだったからです。
そこでまずは、坂本さんのこれまでのアルバムをリリース順に並べてみました。デビューアルバム『千のナイフ』から、YMOや映画サントラにコラボ作品等も含めて、1枚ずつこつこつと聴き続けました。その上で、特集企画書を書き上げました。昨年10月、坂本さんからのOKが出て、本特集はスタートしました。どのような内容の特集にするのか、こちらからの提案のひとつひとつに、坂本さんは真摯に向き合ってくださいました。
そして、編集作業もいよいよ大詰めを迎えていた4月2日、坂本さんの訃報が報じられました。いつかはこの日が来る、と覚悟はしていたものの、やはりショックは大きく、1週間ほどは眠りの浅い日々が続きました。いったん書き上がった原稿を、訃報を受けて、筆者に訂正してもらうという作業も辛いものでした。が、筆者の皆様からいただいた原稿は、どれも本当に素晴らしく、坂本龍一というアーティストのさまざまな側面に光を当て、唯一無二の表現者であり続けたその姿をくっきりと浮かび上がらせています。
大竹伸朗さんは、本誌の表紙のために、新作をつくってくださいました。主に指による「千切り絵」の手法でつくられた、渾身のポートレイトです。
ご冥福をお祈りしながら、この特集を、天上の坂本さんに捧げたいと思います。
この号の誌面
編集長から
追悼|総力特集 坂本龍一
図らずも追悼の2字を冠することとなりましたが、企画をスタートさせたのは昨秋のこと。すでにご病気は重く、どのような可能性もあり得ることは判っていました。しかし、2017年に発表された『async』の、新たな、大いなる達成から受けた感動は忘れ難く、これが誌面にご本人の声を反映させられる最後のチャンスだろうという思いもあって、特集を作らせていただきたい旨を申し入れました。ご体調の問題からインタビューこそ実現しませんでしたが、坂本さんは提案の一つ一つに真摯に向き合って下さいました。特集は「聴く」「見る」「読む」の3部構成。「聴く」では盟友・浅田彰氏がその音楽史的意義と到達点を、「見る」では近年数多く手がけたインスタレーションについて共同制作者である高谷史郎氏が徹底解説。「読む」では小崎哲哉氏の案内で、最後まで社会に向けた発言を続けた坂本さんの言葉に分け入ります。唯一無二の表現者の活動を、しっかりと受け止める総力特集です。
芸術新潮編集長 高山れおな
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