新潮社

吉本ばなな『キッチン』刊行30周年 『キッチン』と私 思い出・エピソード大募集

私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う──

あなたと『キッチン』をめぐる物語をお寄せください。
吉本ばななは、皮膚やかたちではなく、
はじめから人のこころを見ているような気がする。
糸井重里
あんなに澄んだ小説は、あとにも先にも出会ったことがない。
出てくる人みんな、一生懸命生きていて、こちらまで照らされる。
綿矢りさ
ただ生きている。
それだけの事を、こんなにも褒めてくれるのは、
この物語だけだと思う。
木村文乃

16才の時、家にも学校にも言葉が通じる人がいなくて一人ぼっちだった時に出会いました。みかげや雄一が本当にどこかに生きているようで、自分もこういう風に生きたいな、生きていればこの人たちにいつか会えるかもしれない。まだ知らない気の合う誰かに会えるかもしれない。人生って、明日何が起こるのか全くわからないということが希望そのものだと、ガツーンと思いました。ばななさん、30年前のあのとき希望をくれてありがとうございます。

PON

当時、小学生だった私は、一行目を読んだだけでスルッと『キッチン』の世界に入り込みました。それから何度も読み返してきました。『キッチン』に出会ってから「自分が自分からズレている感じ」がした時には、ばななさんの小説を手に取ります。
ばななさんの本とカツ丼が大好きです。

しましま

キッチンが出たころ、私は中学生でした。
決して毎日楽しい、とは思えてなかった日常の中で、キッチンは心のよりどころでした。
なんでこの本を読むと心がしっかりするんだろう?
いやになる毎日だけど、明日も学校行こうっておもえるんだろう?
その頃から不思議に思っていました。
いまでもなぜだかわかりません。
カツ丼のくだりは、思い浮かんだ場面ごとおぼえています。ぼろぼろになりながら届けたカツ丼、ホカホカのカツ丼。私も食べてみたい。
30年経った今でも思い出すとなぜだか泣いてしまう。そんな大切な本です。

ばななんば

中学校に行けず、親とも話せず、ご飯も食べずに部屋のベッドでずっと空を見てた、本当にひとりぼっちだった14歳の時に、たまたま母の本棚で見つけた『キッチン』を読んだときの衝撃。
悲しみで動かなくなった心に新鮮な水がぐんぐんと染み渡るようでした。
ああ、ここにこの人たちが生きているなら!そう思って私も生き延びれました。
大袈裟でなく、本当に。
世界中で唯一、心を分かり合える人がここにいる、あの時の私は本当にそう思っていました。
あれから26年、『キッチン』を始めばななさんの本は全て、いつだってどんなときだって側にいてくれた私の大切な親友です。
ばななさん本当に本当にありがとう。
健康で長生きしてずっと書き続けて下さい。ずっと読み続けます。

まさみ

初めて読んだのは中学生だったでしょうか、しんしんと心に積もるような優しさと切なさに、一気に読んでしまったことを覚えています。
時は流れ、現在二児の母となり、つい先日娘が病気のため入院しまして現在も隣で付き添い入院の最中です。子育ての忙しさからゆっくり本を読む機会も無く、久しぶりに入院生活の合間にでもと持ってきた文庫本が『キッチン』でした。娘の病気というのは、なんとも重く苦しい気持ちが常にあって、でもキッチンを読んでそんな気持ちも今が一番辛いだけではないとしんどくも救われました。この本があって良かったと思っていたところ、ちょうどキッチン30周年の企画。何かの縁を感じて感想を送らせて頂きます。素敵な物語をありがとう。きっと、これからも絶望しては希望をもち、そしてたまに救われながら、なんとか楽しく生きていけると思えます。

shiimo

30年前、私は独身OLでした。たまたま後輩から図書券をもらった事があり、「これで、吉本ばななの『キッチン』を手に入れるよ~」と意気込んで言うと、「それって吉本興行の新人ですか?お笑いの人?」と真顔で聞かれました。まだ、ばななさんが伝説!になる前の事でした。
それからいろいろありましたが、今では娘がOLでばななさんのファンです。

ゆきまる

この小説を読んで本が好きになりました。本が好きになるきっかけを作ってくださってありがとうございます。

naminokanata@yukkomzn

久々に会った人に「最近、”キッチン”を読んでみたんです。主人公のみかげで○○さん(私)のこと思い出しましたよ。」と言われて気になって読んでみたのが”キッチン”との出会いでした。
言われた時はあらすじしか知らなくて「え、台所が好きな人って思われてる?」なんて笑ってたけど
実際に自分でも読んでみて、みかげの仕事(料理)に対する向き合い方なんかがとても共感できて、あとからじわじわと嬉しくなりました。
今でも勝手に、みかげは大切な友人のように思っています。

えむこ

あまり小説は読まないのですが、一時期、吉本ばななさんの小説をよく読んでいました。持病で入院していたときです。心に寄り添ってくれるような感覚がありました。
中でも、『キッチン』の始めの冷蔵庫のエピソードと、カツ丼のエピソードが忘れられなく、いつも心のどこかにあります。カツ丼屋さんを見ると、『キッチン』を思い出します。一番好きな小説です。

バオバブ

キッチンに出会ったのは大学生の時で、当時はどんどん新しい本を読むことが楽しい時期だったので、素敵な作家さんと出会えてよかった、新刊をチェックしようと思ってたぐらいでした。
卒業して実家に帰り社会人生活を始めると同時に母の闘病生活が始まり、気が付くと吉本ばななさんの本を枕元に積み上げて、毎日数冊読んでは寝るという日々になっていました。救われました。キッチンの本もぼろぼろになってしまったけど、数年前に姑を見送った時も結局読んでました。どうしようもない不安に寄り添ってもらってありがたかったです。ありがとうございました。こんな風に直接お礼が伝えられる日がくるとは、とても素晴らしいのですが、それに値する自分なのかと問うと恥ずかしいです。
今からもばななさんの本を読んで、時々背筋をのばして生きていきたいと思っています。

みいつる

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