中学一年の時に図書室でたまたま読んで、夢中になって繰り返し読みました。勝手に漫画化したり。読む時々でここが好き、これがグッと来る、ここで泣きそう、と毎回新鮮な感情がありました。今も大好きです。
武本
中学一年の時に図書室でたまたま読んで、夢中になって繰り返し読みました。勝手に漫画化したり。読む時々でここが好き、これがグッと来る、ここで泣きそう、と毎回新鮮な感情がありました。今も大好きです。
武本
私が子供の頃過ごした家には備え付けの大きなオーブンがありました。家もまだ新築で新婚だったころは母もケーキを焼いたりしたそうですが、私が物心ついた頃はもう家事と育児に追われ、温まるのに時間がかかるあの大きなオーブンは、使われなくなりました。もうあの家からは引っ越してしまいましたが一度くらい動いているのを見てみたかったなあと思います。それから、母の実家では、塩と味噌を甕に入れていました。母の姉である私の伯母はふくよかな人で、手も大きくてふかふかで、その手で握ってくれるおにぎりに、その甕の塩や味噌を塗って食べさせてくれました。みかげがおばあちゃんと暮らしたキッチンをぴかぴかに磨く場面でいつも、ついに使うことがなかったあの大きなオーブンや母の実家の台所、甕に入った味噌と塩、そして大きなおにぎりを思い出します。
たま
キッチン、は何度も何度も読み直した作品です。その度に新しいフレーズが胸にささって、新しい作品を読んでいる気持ちになりました。問題集でもなんでも繰り返しが苦手な私に、繰り返しの尊さを教えてくれた作品でもあります。思えば日常は当たり前の繰り返し。私の居心地のいい場所もいまでは台所(キッチン、ほど格好よくない)です。
じゃっく
私が『キッチン』を初めて読んだのは3年前の大学1年生の冬です。友達が待ち合わせに遅れるとのことで、時間を潰すためにたまたま本屋で見つけた『キッチン』を読みました。読み始めたら止まらなくて、いつの間にか読み終わっていた事を思い出します。そのくらい作品に引き込まれ、遅れて来た友達にすぐにオススメしました。
それ以来、『キッチン』は私のお気に入りで、大学の卒業論文の題材にも選んだほどです。
『キッチン』は少し悲しくて寂しいのに、心が暖まる、そんな不思議な作品だと感じています。これからも私の中で大切な作品として存在することでしょう。
卒論の覇者
『キッチン』を初めて読んだのは中学生。その時の私は思春期特有の周りとうまくいかない感じ、なじめない辛さに悩む中学生だった。そんな時お年玉で初めて買ったハードカバーの本がキッチンだ。キッチンの中にでてくる、えりこさんという強烈な美人を想像してみたり、みかげが寝転ぶ彼女の実家の小さな台所を想像した。小説を何度読んでも文章が映像になって出てくる不思議なお話だった。カバーがすりきれてちょっとボロボロになったキッチンは今も私の手元にある。もし私に娘が生まれたら、その子がもしも私に似て不器用な性格だったらこの本を渡したい。私達は生きているかぎり、食べたり恋をしたり憎んだり泣いたり、すりへったりするんだよ、それは生きてるからできるんだよ。そんなあたりまえのことを教えてもらったきがします。キッチンは私にとってそんな本です。
miwako
えり子さんの言葉
「本当にひとり立ちしたい人は、なにかを育てるといいのよね。子供とかさ、鉢植えとかね。そうすると、自分の限界がわかるのよ。そこからがはじまりなのよ。」
子供を産んで、育てている真っ最中の私は、今からがはじまりなのだ。
えりこ
『キッチン』を通して初めてばななさんの作品に出会ったのは、今から27年前の10歳の頃でした。普段自分も使っている言葉で書かれた文章なのに、全く違う所から世界を覗いているような、静かで暖かくて切なくて、ずっと本の世界に浸っていたいような不思議な気持ちになりました。「なんだかわからないけど、好きだ!」と強く思い、『キッチン』の装丁を図画工作の模写の課題に選んだりしていたのを思い出します(周りからは、それ何の絵?とキョトンとされましたが)。
それからずっと、ばななさんの作品は私の人生に無くてはならないものになっています。あの時、『キッチン』と出会えて良かったです。
fromプリー
ばななさんの作品に寄り添ってもらえる人生の始まりです。
妙な反発心から、その存在を知って気になりつつも手に取らず、数年を経ての出会いでした。
引きこもり脱却の一人暮らしの地に、「みかげ」で家探しをした現在です。
chag
私の『キッチン』の思い出も、担当編集者さんと全く同じでびっくりしました。世界中にたくさんそういう人がいたことにも励まされましたし、これからもたくさんそういう人を生んでいくことを思うと本当に素晴らしい、きらめく作品だと思いました。
それらの思いと共に中学校の図書館司書になり、たくさんの本に囲まれた生活をしましたが、その図書館にも『キッチン』はあり、存在だけで励まされていました。
最近は読み返していないので、これをきっかけに読み返すことにします。
30年おめでとうございます。
これからも愛されますように。
リンゴスター
「キッチン」をはじめて読んだのは小学生のときで、面白く読み、影響されてカツ丼を食べたのを覚えています。
21歳のとき、どうしてもまた読みたくなって本屋さんにいきました。たくさんの悲しみと疲れで押し潰されそうで毎日死にたいと思っている時期でした。
手に入れて読んだそれは身近な人を亡くすということも、誰かを愛するということも知らなかった頃とは印象がまるで違いました。人生と小説が響きあい、新しい世界を開いたような感覚でした。
それから毎日のように読みました。実際に紅茶をのみカツ丼を食べ、心には一文一文が染み渡って、悲しみや愛や疲れにゆっくり効いていき、「キッチン」によって私は元気になっていきました。
重ねた時の分だけ変わっていく「キッチン」をまた時がたったら読み返して、いくつになってもカツ丼を食べたいと思います。
にもの