新潮社

吉本ばなな『キッチン』刊行30周年 『キッチン』と私 思い出・エピソード大募集

私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う──

あなたと『キッチン』をめぐる物語をお寄せください。
吉本ばななは、皮膚やかたちではなく、
はじめから人のこころを見ているような気がする。
糸井重里
あんなに澄んだ小説は、あとにも先にも出会ったことがない。
出てくる人みんな、一生懸命生きていて、こちらまで照らされる。
綿矢りさ
ただ生きている。
それだけの事を、こんなにも褒めてくれるのは、
この物語だけだと思う。
木村文乃

2018年3月1日
久しぶりにばななさんのTwitterを見にきて見つけた『キッチン』と私
偶然にもおとついの夜『キッチン』が読みたくなって、みかげちゃん えり子さんの言葉にハッとしたり、プラスのエネルギーをもらったりして『キッチン』を感じていたところでした。
『キッチン』の単行本が刊行されて30年になるんですね。
私の愛本『キッチン』も同じ年数そばにいてくれて、おとついの夜のように会いたいなぁと思ったら大好きな親友に会いに行くように、しあわせな気持ちでページを開いています。
生涯『キッチン』と私のその関係は変わらないと思うし、出逢えて良かったなぁと心から感謝しています。
あらためて、ありがとうございます。
『キッチン』大好きです。

美由紀

ありがとう。ありがとう。ありがとう。
感謝しかありません。
この世に居場所がない様な気がして、
いつも呼吸が浅くて苦しかった私に、ゆっくり深呼吸できる場所を与えてくださって、本当にありがとうございます。

みかぽん

「ひとりで、そんなにどんどんやせて、熱が出るまで頭を悩ませてはいけない。そんなひまがあったらワタシを呼び出しなさいよ。」この言葉に何度、救われたことでしょう。
呼び出すように手を伸ばした一冊の本、それが「キッチン」でした。
大切なひとが悲しんでいるときに、伝えたい言葉が、たくさん詰まっています。
遊びに行こう。

むー

「キッチン」を初めて読んだのは、イトーヨーカドーの本屋。学生服でした。装丁に引かれて手に取り、読み始めてしばらくしたら涙が溢れてきてそのまま表題作を読み切ってしまい、次の日も通って全編読み終えた後、腫れた眼をこすりながらその本を買いました。本を読んで身体が震えるほど泣いたのはあの時が初めてです。20年以上、幾つもの引っ越しの折も傍らにあり、何か心を決めなくてはならない時には私はいつも、カツ丼を食べました。役者をやっていた時のオーディションの自由課題で、えり子さんの思い出、一番悲しいやつ。からの文章を暗唱した事があります。これを書きながら諳じてみたら、まだ半分くらい覚えていました。寒さ。パイナップルの葉が頬に触れる感じ。「今は 吐きそうなくらいわかる。」今は手元にないのですが、「キッチン」の冒頭の一文を思い出すと、今でも心が強くなります。

こすずめ

私が初めて、ばなな先生の作品と出会ったのが《キッチン》でした。
読めば読むほど、心の中に大小のシャボンのように様々な思いが浮かんでは弾け、浮かんでは弾けました。
孤独ということは淋しいことだとばかり考えていた私には、それだけではない向き合うために必要なものだと教えてくれたのもこの作品です。
パワフルでありながら、純文学のような趣きを持つ《キッチン》は私の大切な友達です。

茶っきー

読書好きな母が若い頃『キッチン』を購入し、『ムーンライトシャドウ』が印象に残っていると話してくれた影響で中学生の時に『キッチン』を手に取った。学校の朝読書の時間や部屋で一人でいるときに読んで、涙したり幾度となくあたたかい気持ちにしてくれた作品。春から社会人になる今も自分の中の気持ちを変えるきっかけになってくれる大切な本

nana

多くの人がそうであるように私も「キッチン」を何度も読みました。そこから吉本ばななさんの書くすべての小説を読んでいて、それぞれの物語に救われるような経験をしてきました。どの小説も私にとっては大切で、どの登場人物も大好きな人達です。でも「キッチン」については「ここがばなな小説の始まりなんだ」という特別な気持ちがあります。大切な人を亡くすことや、今この瞬間に生きるということ、人は、人の小さな考えを超える大きなものに守られているということ、でも人は結局ひとりだということなど、今もばななさんの小説から伝わってくるエッセンスが詰まっていますね。そして、読むたびに必ずカツ丼を食べてしまう!

らにしみず

『キッチン』前と後では、大げさですが、世界観が変わりました。季節が移り替わるさまや身の回りのものをすべて「キッチン」という透明なフィルターを通して見ているような感覚を得た、という表現が近いでしょうか。

ネリ

生まれてはじめて憧れた歳上の男性は国語教師でした。彼が授業中「最近デビューした吉本ばななの小説が素晴らしい」と力説したのをきっかけに、お小遣いを握りしめて本屋さんに買いにいきました。大好きな先生を想いながら、何度も何度も「キッチン」を読みました。その先生は翌年遠くの地へ赴任することになり、それを知ったわたしは職員室に駆け込んで泣いてしまいました。何も言えずにただ涙をこぼすわたしに、先生は周囲の冷やかしさえ気にせずに、新しい電話番号をくれました。わたしは彼に電話をかけるようになり、ばななさんの小説の感想を中心に会話は続きました。いつの間にか彼に電話はしなくなってしまいましたが、ばななさんの小説を読む習慣だけは続いています。わたしは転んでばかりの人生を送っていますが、その節々でばななさんの小説に助けてもらっています。
いまでも「キッチン」を読むと泣いてしまいます。どうもありがとうございます。

Sawako

『キッチン』のキッチンの夜を、たまに思い出します。ひとりでうずくまって、大切にぼーっとする瞬間。

さばみそ

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