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波 2007年7月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2007/06/29

発売日 2007/06/29
JANコード 4910068230775
定価 105円(税込)

特集[四方田犬彦『先生とわたし』刊行記念]
【対談】巽 孝之×四方田犬彦/師弟とはなにか
[桜庭一樹『青年のための読書クラブ』刊行記念]
加藤幸子/読書という秘境
【インタビュー】桜庭一樹/文学少女たちの100年間
[イビチャ・オシム『日本人よ!』刊行記念]
星野智幸/オシムは、言葉のファンタジスタ
長束恭行/新・オシム語録

野中 柊『プリズム』
榎本正樹/鏡像的関係から光学的関係へ

小手鞠るい『好き、だからこそ』
永田 萠/恋にご無沙汰のあなたへ

乙川優三郎『露の玉垣』
【インタビュー】乙川優三郎/名もない家臣の気概と苦悩

桂 望実『明日この手を放しても』
北上次郎/ぶつかりあう関係だからこそ

ジェイ・ルービン編『芥川龍之介短篇集』
柴田元幸/悦ばしい「逆輸入」

天満ふさこ『「星座」になった人―芥川龍之介次男・多加志の青春―』
重松 清/「多加志さん」への熱い思い

喜早 哲『日本の美しい歌―ダークダックスの半世紀―』
喜早 哲/手をさしのべて下さった方々

重松 清『くちぶえ番長』(新潮文庫)
大島真寿美/失われた物語が輝かせるものとは――

山本直人『売れないのは誰のせい?―最新マーケティング入門―』(新潮新書)
山本直人/コンビニという戦場

山本博文『お殿様たちの出世―江戸幕府老中への道―』(新潮選書)
山本博文/出世を望んだ殿様たち

小川 忠『テロと救済の原理主義』(新潮選書)
松本健一/裏返しの近代主義

コラム
新潮文庫の海外エンタテインメント
「考える人」―吉田秀和とアンナー・ビルスマ

連載
【新連載】池谷伊佐夫/古本つれづれ草
北原亞以子/父の戦地 第10回
木田 元/反哲学入門 第14回
大平 健/治療するとカワイクなります。 第12回
宮城谷昌光/古城の風景 第49回 石脇城
日高敏隆/猫の目草-夏型と春型
保阪正康/即位と崩御 第7回
佐野洋子/シズコさん 第19回
赤川次郎/ドイツ、オーストリア旅物語 第28回
花村萬月/百万遍 流転旋転 第7回
安住洋子/日無坂 第7回

・編集室だより ・新潮社の新刊案内 ・編集長から ・カット:水上多摩江

編集長から

 今月の表紙の筆蹟は、サッカー日本代表監督のイビチャ・オシム氏。オシム監督が代表監督に就任したのが、昨年の七月。それと前後して多数の“オシム関連本”が出版されていますが、彼が著者となっているのは、六月二十九日に刊行される『日本人よ!』が初めてとなります。この本は、一九二ページすべてがいわゆる「オシム語録」であり、日本人へのメッセージなのです。先日のキリンカップで優勝し、波に乗る日本代表は、七月から始まるアジアカップで三連覇を果たすことができるのか、そしてオシム監督が目指すサッカーをどこまで実現できるのか、そのカギは本書だけに隠されています。
 浅田次郎氏の幕末時代小説『憑神』(単行本・新潮文庫)を原作にした映画「憑神」(東映系)が全国ロードショー公開中です。文武に秀でながら出世の道をはずれ、とことん運に見放された貧乏侍・別所彦四郎を演じるのは、妻夫木聡さん。貧乏神を演じる西田敏行さんなど豪華キャストに、監督は、大ベストセラー『鉄道員』を映画化した降旗康男さん。映画のほうも大ヒット間違いなしの豪華メンバーですが、文庫本も現在五十万部を突破、ベストセラー街道を驀進中です。
 また、この『憑神』、秋に舞台化されることも決定しています。主演は歌舞伎俳優の中村橋之助さん。九月に東京・新橋演舞場、十月に大阪・大阪松竹座で上演されます。
 先月号で著者の孔枝泳氏と訳者の蓮池薫氏の対談を掲載した、『私たちの幸せな時間』を原作にした韓国映画「私たちの幸せな時間」の公開が、七月十四日に決定しました。三人を殺した死刑囚と三回自殺未遂をした元人気女性歌手の哀絶なラブストーリーを描くカン・ドンウォン主演の話題の映画です。ただいま、新潮社のホームページでは、訳者の蓮池薫氏のブログ「My Back Page」を開設しています。
 今月号から、池谷伊佐夫さんの「古本つれづれ草」の連載が始まります。池谷さんは、一九五一年生まれのイラストレーター。『東京古書店グラフィティ』『三都古書店グラフィティ』『書物の達人』『神保町の蟲―新東京古書店グラフィティ』などの著作があり、古書通、古書店通としても知られています。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。