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【湊 かなえ『母性』刊行記念インタビュー】

波 2012年11月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/10/27

発売日 2012/10/27
JANコード 4910068231123
定価 105円(税込)

【湊 かなえ『母性』刊行記念インタビュー】
湊 かなえ/これまでにない「母と娘」を

小川国夫『俺たちが十九の時―小川国夫初期作品集―』
長谷川郁夫/小川国夫のヘミングウェイ時代

北 杜夫『見知らぬ国へ』
なだいなだ/想定以上に強かった──「トーマス・マン」と「茂吉の日記」を結ぶ線

【渡辺淳一『老いかたレッスン』刊行記念インタビュー】
渡辺淳一/老後こそ、外に出よう

瀬尾まいこ『あと少し、もう少し』
三浦しをん/思いと言葉は襷のように

蜂谷 涼『修羅ゆく舟』
瀧井朝世/二人の女の、対照的な愛し方

【宮部みゆき『ソロモンの偽証』完結記念座談会】
大森 望×杉江松恋×吉田伸子/早くも「宮部みゆき最高傑作」の声。読書のプロはこの大作をどう読んだか。

小田雅久仁『本にだって雄と雌があります』
内澤旬子/書痴が夢見る一冊の楽園

藤野眞功『憂国始末』
吉野 仁/武道から「宇宙」に迫る

石岡琉衣『白き隣人』
東 雅夫/突き抜けたキャラクターに呆然慄然

ミハイル・シーシキン『手紙』(新潮クレスト・ブックス)
沼野充義/時空を超えて呼び交わす声

[田口ランディ『サンカーラ―この世の断片をたぐり寄せて―』刊行記念特集]
今福龍太/「わたし」の内奥を探る旅
【インタビュー】田口ランディ/沈黙と対話──サンカーラ、ダイアローグ

佐々木 敦『批評時空間』
古川日出男/感動と混乱に辿り着く批評

山口正介『江分利満家の崩壊』
嵐山光三郎/父の戒めどおりの暴露作

陳 冠中『しあわせ中国―盛世2013年―』
辻 康吾/現代中国を感得するための一書──文学と歴史の狭間で

【NHK_PR1号『中の人などいない@NHK広報のツイートはなぜユルい?』刊行記念対談】
糸井重里×NHK_PR1号/せっかくの一四〇文字だからできること

中曽根康弘『中曽根康弘が語る戦後日本外交』
渡邉昭夫/戦後日本外交の生き字引

菅野朋子『韓国窃盗ビジネスを追え―狙われる日本の「国宝」―』
奥野修司/韓国の魑魅魍魎に挑んだ著者の執念

野口東秀『中国 真の権力エリート―軍、諜報・治安機関―』
伊藤 正/中国の本質を理解する一冊

高 英起『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』
松尾貴史/「脱北の町」から届いた、ポップなリポート

高橋みどり『私の好きな料理の本』
高山なおみ/見渡す人

三國清三『家庭料理の裏技50―ミクニが教えるレシピ集―』
伊久美亜紀/僭越ながら全国の家庭を代表して御礼申し上げます。

津原泰水『爛漫たる爛漫―クロニクル・アラウンド・ザ・クロック―』(新潮文庫)
北原尚彦/新たな年代記の開幕

令丈ヒロ子『茶子と三人の男子たち―S力人情商店街1―』(新潮文庫)
藤 麻理亜/空想する楽しさを思い出した

八木雄二『神を哲学した中世―ヨーロッパ精神の源流―』(新潮選書)
村井則夫/中世哲学への特色ある入門書

梶原しげる『ひっかかる日本語』(新潮新書)
梶原しげる/「だ抜き」言葉の無責任

コラム
三橋曉の海外エンタ三つ巴
考える人─歩くことで豊かな世界を

連載
斎藤明美/高峰秀子の言葉 第16回
吉田篤弘/ソラシド 第4回
桜木紫乃/モノトーン 第9回
梨木香歩/冬虫夏草 続・家守綺譚 第6回
三山 喬/トスキナの唄 流浪のキネマ屋・古海卓二伝 第9回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第32回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第11回
鹿島田真希/少女のための秘密の聖書 第2回
津村節子/時のなごり 第14回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、湊かなえさんです。新作『母性』はインタビューでも語っておられる通り作家になる前から書きたいと願っていた物語で、担当編集者は作品にかける思いを綴った便箋四枚に及ぶ直筆のお手紙をいただいたそうです。女性にとって母性とは――その深遠なテーマを象徴する装画の題材に選んだのは手作りのベビードレス。イギリス製のアンティークの、洗礼式用ドレスをイメージして描かれています。
◇『原発依存の精神構造』を上梓した精神科医・斎藤環さんのトークイベントが行われます。お相手は九月号に同書の書評を寄稿していただいた哲学者の國分功一郎氏。十一月二日(金)18時半から、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店の七階喫茶コーナーにて。お問い合わせは03-5456-2111(渋谷店)までお願いいたします。
◇丸谷才一さんが逝去されました。小誌にも長年にわたり対談、書評、エッセイなど様々な形でご協力をいただきました。改めてそれらを読み返してみると、丸谷さんが一貫して抱いていた日本の小説に対しての問題意識が窺われ、興味深いものがあります。「例えばこうした金銭感覚ね、それが現代の日本の小説では一体に失われているように思うな。……この人間は財布の中に幾ら金を持っているのかわからないことが多いね、日本の小説は」(一九七三年十二月号、開高健氏との対談「現代小説の可能性」)、「日本の小説家が書く小説が、どうしてあんなに社会性がなくなるのか……何をやって暮らしを立てているのかわからない主人公を描いた。……それじゃあダメなんで、作中人物はきちんとした職業をもたなければいけないというのが、初めから僕の基本方針だったのです」(二〇一一年十一月号『持ち重りする薔薇の花』刊行記念インタビュー)。古今東西の文学に精通した丸谷さんの作品の登場人物には、常に読者を吸引する強烈なリアリティが宿っていました。ご冥福を謹んでお祈り申し上げます。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。