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[鹿島田真希『ハルモニア』刊行記念特集]

波 2013年10月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2013/09/27

発売日 2013/09/27
JANコード 4910068231031
定価 105円(税込)

[鹿島田真希『ハルモニア』刊行記念特集]
長野まゆみ/音を見よ
佐々木 敦/天才と凡人の音楽(ハルモニア)

新川和江『千度呼べば』
和合亮一/夜明けの野火そのものをあなたに贈りたい気持ちには理由がある

北國浩二『ペルソナの鎖』
福井健太/“子供たちを襲う狂気”の連鎖

[松家仁之『沈むフランシス』刊行記念特集]
【インタビュー】松家仁之/感覚をことばで表現すること
山田太一/精巧なロマンチシズム

東山彰良『ブラックライダー』
大森 望/世界水準の黙示録エンターテインメント

[松原耕二『ハードトーク』刊行記念特集]
松原耕二/インタビューの魅力と魔力
乙武洋匡/小説にこめた現役ニュースキャスターの覚悟

ジェフリー・アーチャー『死もまた我等なり―クリフトン年代記 第2部―〔上・下〕』(新潮文庫)
山口 香/波乱万丈を演出する運命の振り子

吉田篤弘『うかんむりのこども』
古屋美登里/なんとも愉快な体

高山なおみ『明日もいち日、ぶじ日記』
スイセイ/うちのこと

藤井直敬『拡張する脳』
石黒 浩/研究者としての生き方

堀川大樹『クマムシ博士の「最強生物」学講座―私が愛した生きものたち―』
堀川大樹/常識破りな生物たちの知られざる世界

熊田忠雄『世界は球の如し―日本人世界一周物語―』
熊田忠雄/「ツベルクリン検査」と「世界一周」の関係

読売新聞政治部『安倍晋三 逆転復活の300日』
永原 伸/課題と負債抱えての「黄金の3年」

福田里香『おやこで作ろう こどもお菓子部』
高橋郁代『おやこで作ろう こどもお花部』
いがらしろみ/眺めて楽しみ、作って楽しみ、食べて楽しむ。

黒岩 徹『危機の女王 エリザベスII世』(新潮選書)
小池 滋/肩の荷が重い「女王」という仕事

久松達央『キレイゴトぬきの農業論』(新潮新書)
久松達央/農家は「可哀想な人」ではない

[山本周五郎と私]
恩田 陸/名前と運命

[とんぼの本 創刊30周年フェア]
私の好きなとんぼの本
伊藤まさこ/川瀬敏郎/中谷美紀/中村好文/原田マハ
nakaban/とんぼのマークができるまで
【座談会】辻山良雄×中村邦夫×幅 允孝/とんぼの本会議
新刊紹介

コラム
考える人─五輪を引き寄せたスピーチの力
三橋曉の海外エンタ三つ巴

小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞 決定発表

連載
【新連載】藤野千夜/D菩薩峠 漫研夏合宿 第1夜
堀本裕樹、穂村 弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第2回
【短期集中連載エッセイ】海堂 尊/スチャラカ三都物語 第3回
嵐山光三郎/芭蕉という修羅 第7回
斎藤明美/高峰秀子の言葉 第27回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第22回
池上 彰/超訳 日本国憲法 第7回
石原千秋/漱石と日本の近代 第4回
吉田篤弘/ソラシド 第15回
久間十義/デス・エンジェル 第3回
鹿島田真希/少女のための秘密の聖書 第13回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第43回
津村節子/時のなごり 第25回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は鹿島田真希さん。新刊『ハルモニア』は特集で紹介されているように音楽を主題にして、全篇に音楽の要素が鏤められた長篇小説です。音楽大学に通う主人公と「きみ」の二人が奏でる恋愛は思うように調和しませんが、やがて主人公は「きみが、音楽を観念でしか考えられない音楽の魂であるとするならば、ぼくは音楽を実生活の中から見つけようとする音楽の肉体だ」との思いを抱くようになります。揮毫していただいた言葉の背後の楽譜も、佐々木敦氏が言うように「譜面の読める(書ける?)小説家」である鹿島田さんの自筆です。正教徒である鹿島田さんが選曲されたのは、アレクサンドル・アルハンゲルスキーという作曲家によるロシア正教会の聖歌だそうです。
◇これまでに百冊を超える料理本を世に送り出してきた「フードスタイリスト」の高橋みどりさん。小社からも古今東西の食に関する名著72冊を、その中に登場する美味至極な料理のレシピも添えて紹介した『私の好きな料理の本』が好評発売中ですが、十月十九日(土)に名古屋市で高橋さんのトークショーが行われます。場所は名古屋テレビ塔2F、時間は午後一時から。申し込み方法などの詳細は、主催者のブックマークナゴヤのホームページをご覧ください。http://bookmark-ngy.com/
◇池上彰さん、内田樹さん、磯田道史さん、故・児玉清さんなど、当代切っての愛書家の方たちが自らの書棚にまつわる思い出を読書体験も交えて綴ったアンソロジー『私の本棚』が、先月発売後まもなく版を重ねました。「蔵書のメタボ現象が現出しました」(池上さん)「本の重さを思い知ったのは建売住宅の底が抜けたときである」(井上ひさしさん)「私もじきにこの家を出なければならないだろう。すべては、本のせいだ」(西川美和さん)等々、生活空間の中で最も愛するスペースゆえの苦悩の言葉が並んでおり、同病の身として読みながら何度も微笑が浮かぶ一冊でした。

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。