第41回 川端康成文学賞
主催・公益財団法人 川端康成記念会 後援・株式会社 新潮社 発表誌:「新潮」
第41回 川端康成文学賞 受賞作品
レールの向こう
「新潮」 平成26年5月号
受賞のことば
妻の病気をきっかけにして作品が生まれたとは、申しわけない作家根性というべきかとも思うが、ただ、文学の後輩の急死への追悼とかかわらせることで、単なる私的感傷を避けえたという自負がある。そして、この作品で川端康成賞をいただけるということを、なんともありがたく、また申し訳が立ったかとも思う。妻と真久田正さんの霊へ、思いは深い。
この賞の候補にあがること三度目であるが、前の二作よりよくできたという満足感もあるので、ここまで待ってよかったとも思う。すれすれの齢八十九歳。行く先にたぶん最高の手土産になろうか。
選考委員の皆さんと「新潮」編集部にあつくお礼を申し上げます。
〔大城立裕氏略歴〕
一九二五年、沖縄生まれ。上海の東亜同文書院大学予科に入学(終戦による大学閉鎖のため中退)。一九六七年、『カクテル・パーティー』で沖縄初の芥川賞作家となり、戦後の沖縄文学を牽引する。著書に『小説琉球処分』『日の果てから』『普天間よ』等。
第41回 川端康成文学賞 候補作品
形見 | 川上弘美 | |
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東天紅 | 玄侑宗久 | |
手摺りを伝って | 松浦寿輝 | |
レールの向こう | 大城立裕 | 「新潮」 平成26年5月号 |
彼岸花 | 小山田浩子 | |
消えた蜜蜂 | 平野啓一郎 |
過去の受賞作品
- 清心館小伝
- 私の批評
- 反対方向行き
- 旅のない