病弱な若だんなが、妖たちの力を借り、お江戸に起きる事件を解決! "21世紀で一番売れてる"新潮文庫の時代小説シリーズ「しゃばけ」が、電子書籍ですべて読めるようになりました。
長く続くシリーズなので「どこから読んでいいのかわからない」という方。ご安心ください。「しゃばけ」シリーズは、どこから読んでも楽しめるように一話完結で書かれています。
それでも手っ取り早くしゃばけの魅力を知りたい、という方には、2作目『ぬしさまへ』、あるいは3作目『ねこのばば』から読んでみるのもおすすめです。1作目『しゃばけ』は長編ですが、この二作は短編集なので、さまざまなお話が楽しめるのです。
スピンオフ作『えどさがし』には主要キャラの魅力が満載で、より"しゃばけ沼"にハマりたい人にはうってつけ!
聡明で優しい若だんなに、彼を大事にお守りする仁吉&佐助、そして個性豊かで愉快な妖たち。彼らの活躍を読んでいると、心がほっこり癒されます。巣ごもりの日々にはもってこいの作品を、家にいながらにして購入できる電子書籍でぜひ楽しんでみませんか。
電子書店へは以下のURLからどうぞ!
https://www.shinchosha.co.jp/news/article/2318/
作家、群ようこさんを作ったのは、こんな本たちだった! 忘れられない本とその思い出が綴られた、群さんの原点ともいうべき名ブックエッセイ『鞄に本だけつめこんで』が新装版で登場しました。
幸田文のエッセイから想起する、父との日々。梶井基次郎を読むたびに去来する、愛猫への感謝と懺悔。不良になりたかった少女時代に出会った、坂口安吾。志賀直哉に興奮してしまった授業中。なぜか数学の先生が教えてくれた印象的な一冊――ほかにも谷崎、川端、林芙美子、三島などの名作全24冊が、群さんの人生の風景とともに紹介されます。
思わず吹き出してしまったり、しんみり考えさせられたり。群さんが本とすごした悲喜こもごもの日々に思わず共感してしまうこと請け合いです。そしてきっと、あなたにとっての忘れられない一冊も、思い出とともに呼び起こされることでしょう。
新装版で加わった、あの数学の先生との後日譚も記されている「二〇二〇年のあとがき」は、旧版のファンなら特に必読です! イラストレーターのshimizuさんによるかわいい扉絵もあわせてお楽しみください。
河盛好蔵(1902-2000)といえば、小林秀雄(1902-1983)、河上徹太郎(1902-1980)らと並ぶ大教養人で、特に河盛は、フランスに特徴的なモラリスト(非連続の短文で人生の哲理を表現した教養人)の紹介や評論で名をはせました。
その河盛の空前のベストセラーとなった本書『人とつき合う法』は昭和33(1958)年、に刊行されました。「週刊朝日」連載開始時、編集部は読者について高校生を念頭においてほしいとの注文だったようですが、本書「あとがき」によれば、「そういうことには全くこだわらず」一般の社会人に向けて書いたといいます。もっといえば、「貧しい人生経験のすべてを投じて、いわば体当りになって」書いた、河盛自身の「内的自叙伝」とあります。
本書冒頭「イヤなやつ」の章には、「他人の幸福よりも不幸を喜ぶ根性の悪さ」があり、「自分はできるだけ怠けて、人を働かせ、その功を自分だけでひとり占めしたいというズルさと欲の深さ」があり、「権力者にはなるべく逆らわないで、時としては進んでその権力に媚びようとするいやしさ」があり、「絶えず世のなかの動きを眺めていて、できるだけバスに乗りおくれまいとする、こすっからいところ」があり、「他人にはきびしくて、自分には寛大な、エゴイストの部分が非常に多」く、「ケチで、勘定高くて、他人の不幸にはそ知らぬ顔をし、自分の不幸は十倍ぐらい誇張して、いつも不平不満でいる」という「イヤなやつ」の条件をことごとく具えているのが自分自身であり、「こんなことを、あけすけに書いた方が、かえって得になるとひそかに計算している」という自己省察の披瀝があります。
この自己規定から出発して、「人とつき合う」ことの難しさ、楽しさ、失敗、感動を紹介したのが本書です。河盛自身の経験に加えて博覧強記の教養から、漱石、荷風、鏡花、太宰らをはじめ、キケロ、ゲーテ、モンテーニュ、ヴォルテール、ベルグソン、ヴァレリー、モーリヤック、チェーホフ、ドストエフスキー、トルストイらの行跡名言をとりまぜて、易しく、わかりやすく、人づき合いの要諦を書き留めています。
新装復刊に際し、編集部で注釈を施しました。
解説は、哲学者で『嫌われる勇気』の著者であるアドラー心理学の大家、岸見一郎。本書の本質的な意義、位置づけを明解に解説しています。
入学、入社、転職、結婚、転居......、人生の新しい局面で必ず助けとなる言葉に出会えます。是非、ご一読を。
お笑い芸人インパルスとして人気の板倉俊之さんは、2009年、『トリガー』で小説デビューを果たしました。本書は、文庫化にあたり、サブタイトルを加え『トリガー―国家認定殺人者―』と改題しての登場です。
世に蔓延る日常の不満や不快から、闇に巣くう凶悪や極悪に至るまで、容赦なく弾丸を撃ち込むノンストップ・エンタテインメント。読んだ者の心に詰まったものがスカッと吐き出されるのは、板倉さんが発信するシュールなコントにも通じるものがあります。
さて、その衝撃的な物語とは――。
近未来の「日本国」国王によって、「射殺許可法」が制定されました。犯罪ゼロの国を目指し、各都道府県に1名ずつ配置され、拳銃の使用許可を与えられた者を「トリガー」と呼ぶことに。彼らは、己の信念に従い、悪と見なせば射殺することが認められている。
例えば、通勤ラッシュでマナーを守れぬ男に、自然を破壊する無法者にも容赦なく銃弾を撃ち込む。ある時は生真面目な教師がトリガーに豹変し、愛する妻の命を弄ぶ医師に復讐の弾を放つ! トリガーがどのように銃を使っても、その行為は法的に処罰されない。だが、はたしてそれは、正義か悪か。
コミックとしても大注目、小説+コミック累計45万部突破の人気作品です。今回、原作の文庫化とタイミングを揃え、【新装完全版】として全3巻絶賛発売中です!
本書には、コミック版に収めたエピソード3話を小説に、文庫化のために書き下ろされた1話を収録した完全版です。
「正義」と「悪」の神髄を問う、近未来ハードアクションです。板倉ワールドを存分にお楽しみください。
1968年9月8日、日本全国の少年が固唾を飲んでテレビを観ていました。「ウルトラセブン」最終回が放送されたのです。毎週日曜日夕方7時から30分の枠で、平均視聴率は26.5パーセントというお化け番組、日本列島の子供がみんなテレビの前に釘付けになっていたと言っても過言ではないでしょう。
その中に、7歳の青山通少年もいました。東京の世田谷区に住む小学2年生でした。
番組も終わりに近づき、身も心もボロボロになったモロボシダンは、ついに自分がウルトラセブンであることをアンヌ隊員に明かします。クライマックス、ラストの8分です。
「僕は......僕はね、人間じゃないんだよ。M78星雲から来たウルトラセブンなんだ!」
その告白の瞬間、映像は反転、二人はシルエットとなり、背景は銀の光が煌めきます。
と、そのとき、オーケストラとピアノ・ソロの衝撃的な音楽がかかります。
ジャン! ダダーンダダンダダンダダンダダンダダン~
なんだ、このすごい曲は!! その演奏に少年はすっかり打ちのめされてしまいます。この時から、少年は、クラシックに詳しい大人に聞いたり、友達のお兄さんのレコードのコレクションを聴かせてもらったり、いろいろな方法で、この曲はなにかを突き止めようとします。今なら、「即検索」......なのかもしれませんが、当時はインターネットはありません。思想史家で音楽評論家の片山杜秀氏が本書の解説で、そのありようをこう評しています。
《本書は、20世紀のひとりの子供がクラシック音楽の名曲とここまで見事に出会い、そのあとの長い人生にこれまた見事につなげてゆく、貴重なドキュメントである》
おりしも、番組が放映されていたのは「昭和元禄」の頃。終戦から20年経た日本は、戦争の記憶から抜け出し、高度成長のピークにありました。ミニスカートやサイケ、ゴーゴーといった風俗と70年安保とベトナム反戦などの熱い闘争が同居する時代でした。
《1960年前後に生まれた世代のテレビや音楽やレコードへの接し方についての大切な記録であることはもちろん、クラシック音楽を好きになるとはどういうことなのかを考えるためのひとつの入門書でもあり、青山少年の成長物語でもあるだろう》
ひとりの男の子がオトナになっていく姿と、そのころ、世界第2の経済大国に躍り出た昭和日本の息吹きがオーバーラップして、今60代から50代までの元「男の子」だけでなく、全世代の男女に、こころよい懐かしさを感じさせる「ビルティングス・ロマン」ノンフィクションであるといってもいいでしょう。