【特集 神楽坂怪談】
【夏目漱石没後100年記念企画 吾輩も猫である】
小説新潮 2016年8月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2016/07/22 |
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JANコード | 4910047010862 |
定価 | 947円(税込) |
暑さを吹っ飛ばす一冊は……コレダ。
■目次
【特集 神楽坂怪談】
喪った人と再会できるという坂の下、入り組んだ石畳の小路、雨に濡れた寺社の影――異界へ続く扉は、そこかしこに現れる
◆芦沢 央/染み
――怪談は難しいので断ろうとした。でも「神楽坂」と聞き……
◆宇月原晴明/猫十夢(ねことゆめ) もう一つの神楽坂
――在りし日、この街を行き交った人、猫――そして、夢
◆織守きょうや/とわの家の女
――繰り返し注意される、ある禁忌。掟破りの恋の行く先は
◆小嶋陽太郎/沼
――幼馴染との素晴らしき友情。まあ、計算ずくなんだけど
◆山下紘加/体温
――いつも一緒に。ずっと彼のぬくもりを感じていたくて
◆中脇初枝/怪談実録 神楽坂物語
――怖い話、ありませんか? 街に眠る実話怪談を探ってみると
◆東 雅夫/地霊は囁く ――土地にまつわる新潮文庫の名作怪談十選
【夏目漱石没後100年記念企画 吾輩も猫である(前編)】
日本近代文学史上、もっとも親しまれたアイコンと言ってよい、漱石先生の「猫」。当代を代表する作家が腕をふるってトリビュートする、二か月連続の競作劇場――。
◆赤川次郎/いつか、猫になった日
――懐かしい家、見覚えのある人。でも私はなぜか猫。どうした私!?
◆新井素子/妾は、猫で御座います
――なぜ、ひとは猫を飼うのか? 陽子さんの飼い猫・ファーの考察は
◆石田衣良/ココアとスミレ
――イヌ族はもちろん人間よりも優れている、ネコたちの優雅な日常
◆乃南アサ/すずの爪あと
――おらっちが暮らす多絵ちゃん家では、家族がある事で大喧嘩中
【特別対談】
◆河合祥一郎×若村麻由美/シェイクスピアって誰だ!?
――シェイクスピアは七人いた!? 四百年の論争に決着は着くのか
【新連載スタート】
◆阿刀田高/漱石を知っていますか
――視点を変えたらもっと面白くなる、並びなき文豪を徹底喝破!
◆乾 緑郎/杉山検校
――鍼医として盲人の頂点を極めた男。その隠された生涯とは――
【特選読み切り】
◆井上荒野/ペルー 〈新シリーズ〉
――小学校のときからいつも一緒だった三人、その一角が崩れたのは
◆雪舟えま/愛たいとれいん
――朝別れたばかりの恋人に会いたくてたまらない。楯はバスに乗り
【連載第二回】
◆乙川優三郎/R.S.ヴィラセニョール
◆葉室 麟/玄鳥さりて
【連載コラム】
◆本の森
――新刊文芸書の中から、選りすぐりのお薦めを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助/〈ホラー・ミステリ〉村上貴史/〈医療・介護〉東えりか
【好評連載小説】
相場英雄/不発弾
朝香 式/パンゲア5
小島慶子/陽だまりの宴
西條奈加/八人のゴメス
高杉 良/小説・めぐみ園の夏
西村京太郎/琴電殺人事件
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
増田俊也/北海タイムス物語
山本文緒/自転しながら公転する
柚木麻子/BUTTER 最終回
【連載エッセイ・マンガ】
黒田龍之助/物語を忘れた外国語
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
椎名 誠/銀河系の針の穴
西きょうじ/そもそも
矢部太郎/大家さんと僕
Oka-Chang/へそのお
第三回「新潮ミステリー大賞」候補作発表
第四回「新潮ミステリー大賞」募集要項
「日本ファンタジーノベル大賞」再スタートのお知らせ
次号予告/編集後記
最新号PICK UP
【没後400年記念特別対談】シェイクスピアって誰だ!?
河合祥一郎×若村麻由美
イギリスの文豪シェイクスピアに7人の異説⁉
演劇史上最大の謎に挑むのは、東大教授・河合祥一郎さんと女優・若村麻由美さん。
河合さんがシェイクスピア研究の第一人者として時代や背景を解説すれば、
若村さんは役の魅力や現代で演じる面白さを縦横無尽に語る。
白熱議論の末に辿り着いた、シェイクスピアの正体とは――。
この号の誌面
編集長から
神楽坂と猫
新潮社といえば神楽坂、と業界では知られていますが、正確に言えば「神楽坂の隣」ぐらいの立地です。とはいえ馴染み深いこの街に、あまたの怪異が潜んでいたとは、在社三十年を超える私も驚きました。大学で民俗学を専攻した中脇初枝さんが、その知識を活かし、料亭や寺院、土地の古老に取材して書き上げたのが怪談実録「神楽坂物語」です。そう、柳田国男の『遠野物語』を、平成の神楽坂に甦らせる野心作と言えましょう。加えて、この街を舞台にした気鋭作家の小説五作と怪談ブックガイドで構成する特集「神楽坂怪談」は、巷に溢れる怪談特集とは、ひと味違った充実度です。
また、夏目漱石没後百年に当たる今年、二か月連続で掲載するのが、特集「吾輩も猫である」。前編の今月は赤川次郎、新井素子、石田衣良、乃南アサの四氏が、日本近代文学史上最も親しまれたアイコンであろう「猫」を、腕を振るってトリビュートします。神楽坂と猫――絶妙な取り合わせに思えてきました。
小説新潮編集長 江木裕計
編集部から
8月号山下紘加「体温」の本文中に誤りがありました。
P.106 上段7~8行目
誤「ドアを開けると、ついさっきまで快晴だったはずの外の風景は、雨で濡れていた。」
正「ドアを開けると、外の風景は雨で濡れていた。」
訂正してお詫び致します。
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?
小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。