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歪んだ幸せを求める人たち―ケーキの切れない非行少年たち3―
836円(税込)
発売日:2024/07/18
- 新書
- 電子書籍あり
「幸せを求めて不幸を招く人」の戦慄のロジック。シリーズ累計170万部突破!
「おばあちゃんを悲しませたくないので殺そうと思いました」。非行少年の中には、時にとてつもない歪んだ考え方に基づいて行動してしまう者がいる。しかし、そうした少年でも「幸せになりたい」という思いは共通している。問題はその「幸せ」を求める方法が極めて歪んでいることであり、それは非行少年に限らないのだ。彼らの戦慄のロジック、そしてその歪みから脱却する方法を、豊富な臨床例と共に詳述する。
書誌情報
読み仮名 | ユガンダシアワセヲモトメルヒトタチケーキノキレナイヒコウショウネンタチ03 |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-611050-4 |
C-CODE | 0236 |
整理番号 | 1050 |
ジャンル | 政治・社会 |
定価 | 836円 |
電子書籍 価格 | 836円 |
電子書籍 配信開始日 | 2024/07/18 |
蘊蓄倉庫
「人生は幸せであるべき」という固定観念
「人生は幸せであるべき」と考えている人は多いですが、ナチスの収容所を生き抜いた体験を持つ精神科医のV・フランクルは、著書『それでも人生にイエスと言う』の中で、「しあわせは、けっして目標ではないし、目標であってもならないし、さらに目標であることもできません。それは結果にすぎないのです」と述べています。固定観念はしばしば歪みを生む原因となりますが、「人生は幸せでなければならない」というのも立派な固定観念です。
かといって、「人生は幸せでなくそもそも辛いものである」と考えると、さらに歪んだ幸せを求めることに繋がってしまう可能性が生じます。このパラドックスから逃れるため、著者の宮口さんは、「マイナスの出来事も人生のバランスを取るために生まれた現象である」との捉え方を提示しています。
掲載:2024年7月25日
担当編集者のひとこと
とてつもなく歪んだ考え方
本書は、同じ著者による『ケーキの切れない非行少年たち』『どうしても頑張れない人たち―ケーキの切れない非行少年たち2―』に続く、「ケーキ」シリーズの第三弾の論考になります。
非行少年の中には、時にとてつもない歪んだ考え方に基づいて行動してしまう子がいます。例えば本書には、「おばあちゃんを悲しませたくないので殺そうと思いました」と語る少年が出てきます。彼は、将来を悲観して自殺しようと考えたのですが、自分が自殺すると大好きな祖母が悲しむことになる。祖母は悲しませたくない。だったら、自分の自殺を知って悲しまなくてもいいように、祖母を先に死なせてあげよう、と考えたのです。「祖母を悲しませたくないから自殺をやめよう」とはならないのです。
この少年は極めて歪んだ考え方をしていますが、それでも「幸せになりたい」「誰かを幸せにすることで自分も幸せになりたい」という考え方は、普通の人と共通しています。だとしたら、どうやって「歪み」を解消していけばいいのか。著者は歪みを生む原因として5つの理由を挙げ、丁寧に腑分けを試みています。
本書では、歪んだ幸せを求める人たちの戦慄のロジック、そしてその歪みから脱却する方法を、豊富な臨床例と共に詳述しています。自分のことでも他人のことでも、「これは思い当たるフシがある」と感じたら、ぜひ手に取ってみてください。
2024/07/25
著者プロフィール
宮口幸治
ミヤグチ・コウジ
立命館大学大学院人間科学研究科教授。医学博士、臨床心理士。京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院等に勤務、2016年より現職。一般社団法人日本COG-TR学会代表理事。