どうしても頑張れない人たち―ケーキの切れない非行少年たち2―
836円(税込)
発売日:2021/04/19
- 新書
- 電子書籍あり
67万部ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』2
「怠けているように見える人」の驚くべき真実。
「頑張る人を応援します」。世間ではそんなメッセージがよく流されるが、実は「どうしても頑張れない人たち」が一定数存在していることは、あまり知られていない。彼らはサボっているわけではない。頑張り方がわからず、苦しんでいるのだ。大ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』に続き、困っている人たちを適切な支援につなげるための知識とメソッドを、児童精神科医が説く。
書誌情報
読み仮名 | ドウシテモガンバレナイヒトタチケーキノキレナイヒコウショウネンタチ02 |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610903-4 |
C-CODE | 0236 |
整理番号 | 903 |
ジャンル | 人文・思想・宗教 |
定価 | 836円 |
電子書籍 価格 | 792円 |
電子書籍 配信開始日 | 2021/04/19 |
薀蓄倉庫
スポーツが苦手な子の問題
スポーツを通じて連帯感、一体感、助け合い、リスペクトなど健全な精神を養っていくべき、との意見はよく聞かれますが、これが「スポーツが苦手な子」にも当てはまるかと言えば、微妙です。
著者の宮口さんは中学時代にバスケ部に所属していたそうですが、ほぼ「3軍」に属していて、練習試合にすら参加させて貰えなかったそうです。中三の最後の大会では同級生のチームに勝利が続くことを心から祝えず、負けて引退が決まった瞬間、ホッとしたそうです。中学の部活は、今でも夢に出てくるほどのトラウマ的な体験だそうです。
宮口さんは「今でもスポーツだけで健全な精神が養われるなどとは感じません。私よりさらにスポーツが苦手な子どもや嫌いな子たちは、もっと辛い体験をしているはずです」「スポーツにおいても、苦手な子や嫌いな子は“頑張っていない”ように見えるでしょうが、頑張っていないのではなく頑張れないのです」と記しています。
掲載:2021年4月23日
担当編集者のひとこと
「頑張る人を応援します!」は危うい
「頑張る人を応援します!」。世間では、そんなメッセージがしばしば流されますが、世の中には「どうしても頑張れない人たち」が存在します。
そもそも能力的に「頑張る」ということが理解できない人たち。貧困や虐待などが理由で生活そのものがサバイバルであり、勉強や仕事などに頑張る余裕のない人たち。そうした人たちを「頑張らないから」という理由で切り捨ててしまったらどうなるでしょうか? 社会はますます殺伐としたものになっていくでしょう。
真実を言えば、「頑張れない人」「怠けているように見える人」「関わると面倒くさい人」こそ、応援や支援をしなければなりません。しかし、それは人の自然な感情に反する面もあり(「頑張る人を応援する」方が自然です)、容易なことではありません。本書では、「頑張れない人たち」の真の姿を認識し、彼らを正しく支援していくための方策を詳述しています。
本書は、2020年に新書部門のベストセラー第一位になった『ケーキの切れない非行少年たち』の続編とも言うべき内容です。「どうしても頑張れない人たち」の一部は、「ケーキの切れない非行少年たち」が大人になった姿でもあります。両作品を続けてお読みいただければ、さらに理解が深まるかと思います。
2021/04/23
著者プロフィール
宮口幸治
ミヤグチ・コウジ
立命館大学大学院人間科学研究科教授。京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務の後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務。2016年より現職。一般社団法人日本COG-TR学会代表理事。医学博士、臨床心理士。