【特集】応挙にはじまる。「日本画」誕生!
芸術新潮 2019年9月号
(毎月25日発売)
発売日 | 2019/08/24 |
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JANコード | 4910033050995 |
定価 | 1,466円(税込) |
【特集】応挙にはじまる。
「日本画」誕生!
解説 平井啓修/古田亮
グラフ
円山・四条派クロニクル
イントロダクション
「日本画」とは何か
誰がそれを生み出したのか
絵師略系図
円山・四条派の流れ
第一章 大乗寺
応挙スクール大展示場
第二章 四条派
うるわし、のどけし、おめでたし
第三章 森派・原派・岸派
並走するくせものたち
第四章
平安四名家がつむいだ泰平の夢
第五章
激動を越えて
京絵師たちの明治維新
第六章
そして「日本画」の時代へ
竹内栖鳳と仲間たち
ヌエ派栖鳳、呉春に挑む
- ◆コラム
- 1 美人画も応挙から!?
- 2 大繁殖! 孔雀でグッドラック
- 3 鵜飼でくらべる近代と近代以前
そのとき、江戸/東京では まんが:伊野孝行
(1)18世紀後半 谷文晁ほか
(2)19世紀前半 渡辺崋山ほか
(3)19世紀半ば 河鍋暁斎ほか
(4)19世紀後半 狩野芳崖ほか
京都夏紀行
祇園祭 円山・四条派めぐり
展覧会案内
◆ 第2特集 ◆
We Love Basquiat
なにが世界を夢中にさせるのか?
◆ Art News exhibition ◆
大竹さんの風景 SHINRO OHTAKE 2019
文 いしいしんじ
リアル三国志の戦場へ、カレー沢薫といざ出陣!
◆ 特別紀行 ◆
ガーンジー島の五姓田義松
文 角田拓朗
◆ 短期集中連載 ◆
レオナルド・ダ・ヴィンチ500年目の真実
万能の天才が探究していたのは何だったのか
[第4回]デューラーとレオナルドの宇宙観
文 前橋重二
◆ Review ◆
平福百穂/セブ・ジャニアック/伊庭靖子/永田友治
◆ Global News ◆
- München「カナダと印象派 新たな地平線」展
- Paris「サリー・マン 千の通り道」展
- London 石上純也による「サーペンタイン・パヴィリオン 2019」
- New York「アポロの女神:写真エイジのお月さま」展
◆ Regular Features ◆
◇ 巻頭 ◇
ちょっといいで書?〈29〉
ストリートで見つけた気になる字
選・文 中澤希水
Goods & Shop
時と光の美術館〈29〉
ジャケ・ドロ ー
リ・アルティジャーニ
ルネッサンス画家職人伝〈20〉
ヤマザキマリ とり・みき
◇ 連載 ◇
定形外郵便〈63〉
文 堀江敏幸
中野京子が読み解く画家とモデル〈17〉
クノップフと《愛撫》
千住博の往復書簡〈14〉
宛先 ロバート キャンベル様
千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈60〉
◇ PICK UP ◇
movie 野崎歓
book 諏訪敦
recommend 編集部のおすすめ!
成相肇の やっかい もっかい てんらんかい〈41〉
exhibition 全国展覧会情報
次号予告
▼芸術新潮特別企画
エコール・ド・パリを日本へ
パイオニアとして歩んだギャルリーためながの半世紀
『ホイッスラーと私 描かれた道筋』刊行記念 第1回
美が無垢なるものであるとき
文 ウィンザー・イニス
異界を見つめる写真家、朝左拉
高木公史の“呼吸する細密画”
箱根の森から聴こえてくる巨匠たちと現代アートの12のデュオ
ますますパワーアップ!
ART FAIR
ASIA FUKUOKA 2019
連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈32〉
東大寺戒壇堂の四天王像
ART CAFÉ SPECIAL
ART CAFÉ
Gallery's Plaza
最新号PICK UP
“正統派”というバクダン
円山・四条派が熱い!
雄大な山岳を描き出した六曲一双屏風。雪舟の《山水長巻》から切り取ってきたかのような図像でありつつ、モダンでシャープな感覚の冴えを見せる。作者は円山・四条派の系譜につらなる今尾景年にまなんだ木島櫻谷だ。櫻谷といえば第6回文展で夏目漱石の酷評をあびたことで有名な《寒月》がそうであるように動物画の名手として知られるが(《寒月》が描いているのは雪の積もった竹林を歩むキツネ)、じつは山水を描かせてもこれほどの腕の持ち主だったとは知らなかった。
現在、東京藝術大学大学美術館で開催中の「円山応挙から近代京都画壇へ」は、驚きに満ちた展覧会だ。円山応挙と呉春を祖とする円山・四条派の流れを昭和のはじめまでたどる展観なのだが、絵師たちの実力が半端ないのである。応挙および竹内栖鳳、上村松園など出品作家の一部については、これまでも単独の回顧展がくりかえし開催されており、作品を見る機会には恵まれているが、大部分の画家は回顧展皆無かあっても少なく、まして円山・四条派の全容を通観できる展示となると、特に東京ではこれが初めてだという。展覧会は必然的に、上記の櫻谷の場合のように、こんなすごい人だったのか(!)の連続となった。櫻谷以外ではとりわけ塩川文麟と山元春挙にしびれました。
本誌9月号では、応挙以来の京都の絵師たちがいかにして近代日本画の成立に寄与したかを焦点に大特集を組んだ。過去30年、日本美術史の世界では若冲・蕭白らいわゆる“奇想派”が大いに注目を集めてきたわけだが、円山・四条派のみならず、その蔭にかくれるようになっていた忘れられた“正統派”たちが脚光を浴びる時がいよいよやってきたのだ。
円山応挙から近代京都画壇へ
東京藝術大学大学美術館 前期:8月3日~9月1日 後期:9月3日~29日
京都国立近代美術館 前期:11月2日~24日 後期:11月26日~12月15日
この号の誌面
編集長から
京都が育てた正統派がスゴイ
伊藤若冲、曾我蕭白、長沢芦雪――これら“奇想派”の人気に昨今は押され気味だが、彼らが生きた時代、同じ京都の画壇を席巻していた第一人者は、円山応挙だった。その応挙こそ、「日本画」誕生のキーマンである。「日本画」とは日本絵画の伝統と西洋美術のハイブリッドであり、明治中期に確立された新たなる日本絵画のこと。フェノロサの来日、東京美術学校の開校、横山大観の登場などの諸要因から、日本画=東京発祥というイメージが強いが、出発点は18世紀後半の京都にあったのだ。応挙は、日本では重視されてこなかった「写生」に徹底してこだわった。そこには西洋文化の流入が大きく影響している。やがてその世界観は、応挙に学んだ呉春や原在中、岸駒たちを経て、竹内栖鳳、上村松園、木島櫻谷ら京都画壇の後進に受け継がれてゆく。写生、つまり奇をてらわず、見えたままに描く。そこに自分流の表現を加える。見ていて心地よい、正統派による快感を味わってほしい。
芸術新潮編集長 吉田晃子
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