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【特集】きものみち――ニッポンのおしゃれ魂の軌跡

芸術新潮 2020年5月号

(毎月25日発売)

1,500円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2020/04/25

発売日 2020/04/25
JANコード 4910033050506
定価 1,500円(税込)
●目 次

【特集】
きものみち――ニッポンのおしゃれ魂の軌跡


[グラフ]
石内都の眼がとらえた絹の肌理きめ
写されたもの達の意志
談 石内都

三人の個性派が語る
私のきものみち
その一 西郷槇子
その二 福井江太郎
その三 通崎睦美

ゆづるは先生、教えてください!
きものの歴史Q&A
答える人 小山弓弦葉

じつは下着だった!? 小袖の誕生
不変のカタチと無限の模様
トップレディたちの装い
養蚕と西陣ブランド
天下人はかぶき者
ゼイタクは敵だ、が生んだゼイタク 友禅と小紋
名画をまとう
雛形本の戦略
近代の着物と銘仙ポップ
これからの着物
MAP 染めと織りの主な産地

着物警察なんか怖くない
漫画 近藤ようこ

[撮り下ろしグラビア]
鈴木拡樹、着流し艶姿あですがた
着物 JOTARO SAITO
写真 TRMN

着物がわかれば10倍愉しい
日本絵画のもうひとつの鑑賞術
文 加門七海

interview(1)黒澤和子
大河ドラマ「麒麟がくる」の衣装ができるまで

interview(2)岩下尚史
着物の作法なんてどうでもいいでしょ(笑)

[現地レポート]
ロンドンでもキモノ大展覧会!

檀ふみがゆく
丹後半島
きもの職人最前線

文 檀ふみ



◆ Art News book ◆

オリンピックと銀座の街と
――伊藤昊いとうこうの写真から

◆ Art News exhibition ◆

「ゼロ」と草間彌生の「無限」

◆ Art News memorial ◆

追悼・奈良原一高
「静止する時間」を撮る写真家との旅
文 石井昂
写真 奈良原一高

◆ Review ◆

「VOCA展2020 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」より
「ふつうの系譜」展/深井隆/原口典之

◆ Global News ◆

  • London「ブリティッシュ・シュルレアリスム」展
  • Paris「マリー・ボヴォ 夜想曲」展
  • Berlin「クリス・レムサル・マローン&キプ・マローン・レムサル ラブソングを一緒に歌おう」展
  • New York「アメリカの生活:メキシコ人壁画家によるアメリカ美術の再生 1925-1945」展



◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

御贔屓 御馳走帖〈5〉
選・文 森川裕之

Goods & Shop

時と光の美術館〈37〉
ブランパン

◇ 連載 ◇

リ・アルティジャーニ
ルネッサンス画家職人伝〈24〉
ヤマザキマリ とり・みき

Around Geijutsu Shincho
『萩尾望都 作画のひみつ』
著 萩尾望都
編 芸術新潮編集部


海外アートStudy最前線〈53〉
文 前橋重二

定形外郵便〈70〉
文 堀江敏幸

あの人と食器棚〈4〉
伊藤まさこ
フローリスト 越智康貴

千住博の往復書簡〈22〉
宛先 サンダラム・タゴール様[後編]

千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈67〉

◇ PICK UP ◇

movie 野崎歓
book 諏訪敦
recommend 編集部のおすすめ!
藤田一人の展声人語〈7〉
exhibition 全国展覧会情報

次号予告

▼芸術新潮特別企画

小冊子付録のお知らせ
特別展「きもの KIMONO」&
「芸術新潮」&「くらげバンチ」コラボ漫画
恋せよキモノ乙女』特別篇

『恋せよキモノ乙女』作者、山崎零さんが初体験!
「花手水&花御朱印」めぐりで愉しむ、新緑の京都

日本人の足を包んで140年
福助足袋の誕生を探る

モネの庭、マティスの部屋
創造された素晴らしき世界

ガラス造形作家、西中千人
「既成概念を叩き壊して前進する。それが僕の哲学」

連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈36〉
観音寺《十一面観音立像》

ART CAFÉ SPECIAL
ART CAFÉ
Gallery's Plaza

最新号PICK UP

ニッポンのおしゃれ魂に勇気をもらう

Image
横浜本牧「隣花苑」の女将・西郷槇子さんが所蔵する御所解(ごしょどき)模様の小袖の裾の一部。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、4月25日現在、開幕日未定となっている東京国立博物館の特別展「きもの KIMONO」は、同館で47年ぶりの大規模な着物展で、800年以上にわたる着物の歴史をたどるものです。同展担当の東京国立博物館工芸室長・小山弓弦葉さんを訪ね、インタビューしたのは2月上旬。もっとも印象的だったのは、江戸時代にたびたび出された奢侈禁止令を逆手にとった呉服商や職人たち、ファッション誌の版元など、けっしておしゃれを諦めなかった日本人のパワーについてでした。外来の文化を換骨奪胎し新しい模様を生み出すのはお手のもの。女性に限らず男性も、襦袢や羽織裏に凝りまくる。皇后や将軍夫人から遊女、若衆、女学生にいたるまで、着物はニッポンの文化を体現してきました。

 2月半ば過ぎの取材で、横浜本牧の「隣花苑」へ向かう途中、車の窓からダイヤモンド・プリンセス号が見えました。「隣花苑」の女将・西郷槇子さんに着物を見せていただき、その由来や日々の着こなしについてうかがう豊かな時間に身をゆだねていると、現実に起きていることの方が非現実的に感じられたものです。
 がらがらの新幹線に乗って京都へ向かい、木琴奏者・通崎睦美さんを訪ねたのは3月初旬。大量の着物を撮影する過程で、やわらかくすべすべした絹に、文字通りたくさん触れる機会をいただきました。それらの着物ひとつひとつに織り込まれた歴史や文化、個人の物語を指先に感じ、思わず「たのしいですね」「ですよね」と言葉を交わしあっていました。

「官」のていたらくにはもういいかげんうんざりな日々ですが、豊かな着物文化を築いてきた「民」のパワーからは勇気をもらえます。その果てしなき底力に、誌面を通してぜひ触れてみてください。

この号の誌面

編集長から

800年余におよぶ着物の歴史と今

 信長、秀吉、家康所用と伝わる陣羽織や胴服、尾形光琳ふうの小袖、若衆用と伝わる華やかな友禅、14代将軍徳川家茂に降下した和宮内親王所用の振袖、ベルサイユ宮殿を思わせる昭和期の派手な小袖――。「着物の原形」が誕生したのは平安時代。以来、現在に至るまでその形はほぼ変わらないが、模様は激しく変遷しており、そこにニッポンのおしゃれ魂の軌跡が見える。今月号は、その800年余の歴史に迫った。さらに、檀ふみによる丹後半島の職人探訪や、大河ドラマ「麒麟がくる」の衣装担当・黒澤和子のインタビュー、人気俳優・鈴木拡樹の撮り下ろし着物グラビアなど、着物をめぐる現代の姿にも注目。そして着物が分かると、日本画の楽しみ方の幅も広がる。なかでも鏑木清方かぶらききよかたの表現力は突出しており、柄のひとつも疎かにしない描写、生地の素材までわかる質感に、作家・加門七海かもんななみが舌を巻く。
 外出がままならない今、この国の豊かな文化を見つめ直す時間を作ってはどうだろう。

芸術新潮編集長 吉田晃子

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