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【追悼特集】はじめてであう安野光雅

芸術新潮 2021年9月号

(毎月25日発売)

特別定価1,590円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2021/08/25

発売日 2021/08/25
JANコード 4910033050919
定価 特別定価1,590円(税込)
●目 次

【追悼特集】
はじめてであう安野光雅


安野光雅って どんな人?
What kind of person was Mr. Anno?

作品篇 | その1
ことばのない絵本10選

選・コメント 森田真生

「わかる」と「わからない」のあわいで
文 森田真生



作品篇 | その2
ふしぎな絵本の王国で遊ぶ、見つける、考える


「僕には編集者はいらないんだよ」
童話屋・田中和雄さんに聞く絵本誕生秘話

[付録]ふしぎな「ひずみ絵」で遊ぼう
『魔法使いのあいうえお』より

いくつ読んだ? テーマでめぐる安野光雅の絵本



人生篇
安野光雅 空想と独学に生きる


  • [略年譜]絵とともに94年
  • 空想好きの運動嫌い
  • 教師と絵描き、二足のわらじ
  • 名所旧跡おことわり 旅で出会った絵と風景
  • 仕事のウラに事件あり? 安野先生交遊余録
  • 空想犯、文筆業に進出
  • 古典との対話
  • 本さえあれば

森の中の家 安野光雅館
丹後の森に包まれた「小さな家」の物語

津和野町立安野光雅美術館
安野光雅にであう故郷の館

  • 安野さんとわたし
  • (1)“読む美術館”へようこそ 文・絵 ナカムラクニオ
  • (2)「知らない」ことの自由 談 片桐 仁
  • (3)絵を見る力 談 tupera tupera
  • (4)ずっと探していた本 文 吉田篤弘
  • (5)安野さんの笑顔 文 松岡和子
  • (6)安野光雅展をつくる 談 林 綾野



◆ Art News manga ◆

ぼくたちのお父さん
対談 矢部太郎×つげ正助

◆ Art News book ◆

一週間の芸術
街に映画絵看板があったころ

◆ Art News movie ◆

赤いサーブと「声」のゆくえ
濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』論
文 野崎 歓

◆ Art News exhibition ◆

創造力で人生のハードルを飛び越える
はみだし系情熱アート大集合!

◆ Review ◆

  • 「パビリオン・トウキョウ2021」
  • ブリンキー・パレルモ「ボイス+パレルモ」展より
  • 横田大輔

◆ Global News ◆

  • Firenze「詩の中の木々、ジュゼッペ・ペノーネ」展
  • New York「セザンヌのドローイング」展
  • London「ポーラ・レゴ」展
  • Berlin「リフレクションズ・オン・ペインティング旧国立美術館でのゲルハルト・リヒターの“ビルケナウ”シリーズ」展



◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

国宝クラス仏をさがせ!〈9〉
観音寺 伝千手観音立像

Goods & Shop

時と光の美術館〈53〉
ショパール

◇ 連載 ◇

海外アートStudy最前線〈68〉
文 前橋重二

Around Geijutsu Shincho
『谷内六郎 いつか見た夢』

国宝クラス仏をさがせ!
解説篇〈9〉
選・解説 瀨谷貴之

絵画と写真のあいだ
――アトリエを訪ねて〈3〉
日高理恵子
写真・文 鈴木理策

大人のための印象派講座〈4〉
ヴィクトリーヌ・ムーラン、画家になった女性職業モデル
文 三浦 篤

定形外郵便〈86〉
文 堀江敏幸

新連載
画家・中園孔二を追って。〈1〉
頼もしい混沌
取材・文 村岡俊也

千住博の往復書簡〈38〉
宛先 山口文章 様

千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈82〉

◇ PICK UP ◇

movie 野崎 歓
book 諏訪 敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈15〉小田原のどか
exhibition 全国展覧会情報

次号予告

▼芸術新潮特別企画

新連載 唯一無二の美〈1〉
ヘレニスティック・グラスボウル

作意なき絵を求めた画家
河野扶を再発見する

連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈44〉
法隆寺 金堂《薬師如来坐像》

ART CAFÉ
Gallery's Plaza

「あの人と食器棚」は今月休載します。

最新号PICK UP

ミラーシートを使って魔法の絵で遊ぼう!

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付録「まほうのふくわらい」

特集タイトルの「はじめてであう 安野光雅」は、安野の代表作「はじめてであう すうがくの絵本」シリーズ(全3巻)にちなんだものです。

読めば子どもはそれと知らずに楽しく数学に触れられ、大人は「数学へのこんなアプローチがあったのか」と目を啓かれる思いがする同シリーズ。本特集も同様に、読んでいただければ、「安野光雅ってこんな人だったのか」と新たな発見があるのではと思っています。

数学的思考の持ち主だった安野は、このほかにも『かぞえてみよう』、『壺の中』、『10人のゆかいなひっこし』など、数学をテーマにした絵本を数多く手がけています。安野は数学はもちろん、美術についても専門の教育を受けていませんが、好きという気持ちと学びたいという意欲を糧に、生涯研鑽をつづけた独学の人でした。

本特集内には「ひずみ絵(アナモルフォーシス)」のページを4ページもうけ、これを体験してもらうためのミラーシートを付録としてつけていますが、このアナモルフォーシスを安野が知ったのは、「ライフ」誌の数学特集においてでした。「ライフ」には「描きかたはわからない」とあったので、自分でやってみようと写楽の大首絵で実験、見事成功し、当時担当していた数学雑誌「数理科学」(1970年12月号)の表紙絵として発表しています。

さらに10年ほどのちには、『魔法使いのABC』と『魔法使いのあいうえお』という2冊の絵本に結実しました。描かれているのは、そのままだと何が描かれているかわからない、ひずんだ絵と文字。しかし絵のそばに円筒状のミラーを置くと、あら不思議、正しい像が鏡の中に現れるという仕掛けになっています。当時、海外のブックフェアでも、「アナモルフォーシス」ならぬ「アノモルフォーシス」などといわれ、大いに評判になったといいます。

本特集付録の「ひずみ絵」作品は、いまや入手困難な『魔法使いのあいうえお』より再録しました。「まほうのふくわらい」や自分でひずみ絵を描く方法も掲載しています。ひずみ絵での遊びを通して、安野絵本の醍醐味である発見する喜びや、考える楽しさを味わっていただければ幸いです。

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安野光雅・安野雅一郎『魔法使いのABC』と『魔法使いのあいうえお』(いずれも童話屋)

この号の誌面

編集長から

空想と独学のひと 安野光雅を偲ぶ

 安野光雅の絵本デビュー作『ふしぎなえ』(1968年)には文字がない。それだけに想像力を刺激されるが、刊行当時、文字のない絵本は画期的だった。以後、『ABCの本』『旅の絵本』など数々のベストセラーを世に送り出し、エッセイストとしても人気を博した。彼の絵をつくったものは、幼い頃に知った空想の楽しさと、生涯つづけた独学である。空想好きの少年は長じて教職につき、やがて画家として独立。その作品には、少年のような遊び心と悪戯心をいつまでも忘れない人柄がにじみ出ている。ユーモアを交えながら、自分の頭で考えることを提示しつづけた安野は、昨年12月、94歳で世を去った。今月号の追悼特集では、その作品と生涯をたっぷりお届けする。
 もうひとつ、最新刊『ぼくのお父さん』が話題の矢部太郎と、つげ正助の対談も紹介しておきたい。絵本作家やべみつのり、マンガ家つげ義春という、変わり者の父をもった息子たちならではの抱腹談義だ。

芸術新潮編集長 吉田晃子

【お詫びと訂正】

芸術新潮2021年9月号「全国展覧会情報」141頁に掲載した高崎市美術館(群馬県)の電話番号に誤りがありました。正しくは「027-324-6125」です。読者の皆様、ならびに関係者の皆様にご迷惑をおかけいたしました。訂正してお詫び申し上げます。

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