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今月の表紙の筆蹟は、小野不由美さん。絵は、山田章博さん。

波 2026年9月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2026/08/27

発売日 2026/08/27
JANコード 4912068230960
定価 100円(税込)
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さくらももこ『ふじさん』
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【難波優輝『本とは何か』(新潮新書)刊行記念】
[座談会]難波優輝×紀伊國屋書店新宿本店/「書店の読み方」を考える
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山内マリコ/圧巻の更年期小説
岸本佐知子/中年期と女性性をめぐる“移動しない”ロードノヴェル

トンミ・キンヌネン、古市真由美 訳『樹皮の下で』
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ただいま翻訳中!
【エッセイ】
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【宇野千代 新潮文庫二作連続刊行記念】
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【連載】
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千葉雄大/家賃を払わない同居人 第6回
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シリ・ハストヴェット、柴田元幸 訳/ゴースト・ストーリーズ 第8回
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高木 徹/東京裁判 11人の判事たち 第10回
編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟は、小野不由美さん。絵は、山田章博さん。

◎ラジオで村上春樹さんがバルザック『ラブイユーズ』を〈無類に面白い〉、〈小林信彦さんに教わった〉と紹介していました。教わったというのは小林さんがあの小説を論じた『小説世界のロビンソン』のこと。これは十九世紀からの小説の展開と実作者ならではの物語論を縦横に語った名著です。中でも熱く推したのが『吾輩は猫である』『ラブイユーズ』『瘋癲老人日記』の三作。
◎小林さんが「〈物語〉とはここまで徹底するのだ」と驚嘆した『ラブイユーズ』、バルザックらしく舞台はパリと地方を行き来しつつ、田舎医者の遺産をめぐって悪党や美女や寡婦や芸術家や軍人たちが右往左往して、やがてフランス革命からナポレオン、王政復古、七月革命に至る半世紀が浮び上がってくるスケールが凄まじい。読んでみると(積ん読でした)、小林さんが「退屈」という第一部からえげつない人間博覧会が展開されて滅法な楽しさ。
◎國分俊宏氏の訳(光文社古典新訳文庫)は巧く、時代背景を説明するまえがきも大助かりですが、驚いたのはあとがき。曰くこの小説の初訳は小西茂也訳で、その「手水ちょうずが済んだ」「しんにゅうをかけた大の呑ん平」「いかついあらえびす」等を引用して「文人訳とでもいうか」「捨てがたい味」。
◎実は小西、荷風関係の重要人物(川本三郎『荷風の昭和』参照)。戦後すぐ(超住宅難の時代)、悶着を起し従弟の家を飛び出た荷風を自宅に住まわせたのが小西で、やがて文豪の我儘ぶりに辟易しますが、荷風への敬意は続き、マラルメの翻訳などを語り合った由。『ラブイユーズ』(初訳題は『川揉み女』)は正に荷風同居時の訳業、小西の「文人訳」も読みたくなりますねえ。
◎小西の回想「同居人荷風」も面白く、荷風は〈作家は覗き趣味を持つべし〉と覗きの苦心談を語ったとか、バルザックの登場人物なみにアクが強く抱腹ものの逸話多数(青空文庫で読めます)。
▽次号の刊行は九月二十八日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。