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特集[大江健三郎『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』刊行記念]

波 2007年12月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2007/11/27

発売日 2007/11/27
JANコード 4910068231277
定価 105円(税込)

特集[大江健三郎『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』刊行記念]
【インタビュー】大江健三郎/「成熟」を引っくり返す大冒険
特集[玉岡かおる『お家さん』刊行記念]
【対談】児玉 清×玉岡かおる/今こそ日本人が読みたい小説

古川日出男『ゴッドスター』
岸本佐知子/出口に向かってレッツ疾走

伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』
杉江松恋/走り続けたいい子は天国に行ける

[日本ファンタジーノベル大賞特集]
弘也英明『厭犬伝』
米光一成/異世界の速度、進化した少年

久保寺健彦『ブラック・ジャック・キッド』
吉田伸子/“団地”を背景に語られる昭和の香りのする物語

米村圭伍『おたから蜜姫』
末國善己/知られざる真相が明かされる“竹取物語コード”

渡辺 靖『アメリカン・コミュニティ―国家と個人が交差する場所―』
中島岳志/アメリカの「根拠」を問う力作

阿川弘之『大人の見識』(新潮新書)
藤原正彦/軽躁なる日本人への遺言

渡部潤一『新書で入門 新しい太陽系』(新潮新書)
渡部潤一/冥王星騒動――常識が覆されるとき

よしもとばなな『愛しの陽子さん―yoshimotobanana.com 2006―』(新潮文庫)
松家仁之/ふつうの女の子と小説家だましい

ジョナサン・コット『転生―古代エジプトから甦った女考古学者―』
高橋 巖/魂の故郷

特集[養老孟司『養老訓』刊行記念]
【白髪対談】宮崎 駿×養老孟司/こんなじいさんになりたい
特集[河合隼雄『泣き虫ハァちゃん』刊行記念]
小川洋子/苦しみに寄り添う、ハァちゃんの涙
河合雅雄/泣き虫ハーチャンの想い出
河合隼雄略年譜

コラム
柳美里『柳美里不幸全記録』
編集部(K・I)/柳美里さんに書いた手紙
とんぼの本編集部通信
新潮文庫の海外エンターテインメント

連載
北原亞以子/父の戦地 最終回
東 直子/薬屋のタバサ 第4回
大平 健/治療するとカワイクなります。 最終回
花村萬月/百万遍 流転旋転 第12回
池谷伊佐夫/古本つれづれ草 第6回
日高敏隆/猫の目草―イリオモテヤマネコの「日常」を見たい
松久 淳+田中 渉/あの夏を泳ぐ 天国の本屋 第3回
佐野洋子/シズコさん 最終回
保阪正康/即位と崩御 第12回
西村 淳/身近な物で生き残れ! 第4回
宮城谷昌光/古城の風景 第54回 諏訪原城
佐藤寛子/グラビアアイドルのヨムヨム生活(4)
秋山 駿/忠臣蔵 第3回
安住洋子/日無坂 第12回

・編集室だより ・新潮社の新刊案内

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は阿川弘之氏。阿川氏が、自らの体験と作家生活六十年の見聞を振り返り、人生の智恵とは何かを語る『大人の見識』(新潮新書)が、今月発売されました。
 表紙の筆蹟は、論語(為政篇)にある有名な言葉、「温故知新」を書下したものです。色紙に添えられた写真は、かつて日米両軍の交戦地となったキスカ島を望む大海原。阿川さんの自宅の居間に飾られているものを拝借しました。撮影は写真家・東康生氏。
 また阿川氏は、「『阿川弘之全集』全二十巻に結実した六十年に及ぶ端正で格調高い文業と、今なお旺盛な執筆活動に対して」、第五十五回菊池寛賞の受賞が決定しました。『阿川弘之全集』全二十巻は新潮社から好評発売中です。
◇北原亞以子氏「父の戦地」、佐野洋子氏「シズコさん」、大平健氏「治療するとカワイクなります。」の連載が、今月号をもって終了致します。ご愛読ありがとうございました。
◇第十七回の大賞受賞作『金春屋ゴメス』(西條奈加)、第十八回の大賞受賞作『僕僕先生』(仁木英之)が、ポーランド語に翻訳されるなど、海外でも高い評価をうけている日本ファンタジーノベル大賞(主催/読売新聞社・清水建設、後援/新潮社)。
 第十九回の大賞、優秀賞の受賞作がそれぞれ刊行されました。大賞受賞作の『厭犬伝』(弘也英明)は、格闘ゲームのわくわく感と民俗学的世界観を融合させた新種のファンタジー。一方、優秀賞の『ブラック・ジャック・キッド』(久保寺健彦)は、ブラックでキュートでどこかセンチメンタルな青春小説。ヴァラエティに富んだ、日本ファンタジーノベル大賞の成果をぜひとも読み比べてみてください。
◇第二十九回「野間文芸新人賞」を西村賢太氏の『暗渠の宿』が、第六十一回「毎日出版文化賞〈自然科学部門〉」を松井孝典氏『地球システムの崩壊』が、受賞しました。それぞれ、新潮社より発売中です。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。