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【森見登美彦『四畳半王国見聞録』刊行記念対談】萩尾望都×森見登美彦/わがままに書く、その先に――

波 2011年2月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2011/01/27

発売日 2011/01/27
JANコード 4910068230218
定価 105円(税込)

【森見登美彦『四畳半王国見聞録』刊行記念対談】
萩尾望都×森見登美彦/わがままに書く、その先に――

西村賢太『苦役列車』
清水良典/リアル貧困と八〇年代「フリーター」

村上春樹『村上春樹 雑文集』
高橋秀実/村上さんってどんな人?

多和田葉子『雪の練習生』
豊崎由美/シロクマ三代のクロニクル
【『百万遍 流転旋転』刊行記念インタビュー】
花村萬月/百万遍、この人を見よ。

高樹のぶ子『トモスイ』
村田沙耶香/世界が、言葉に浸っていく

神田 茜『女子芸人』
柳家喬太郎/男子芸人を代表して

【インタビュー】神田 茜/「笑い」というチョコレート

田辺聖子『田辺聖子の古典まんだら(上・下)』
俵 万智/田辺マジックの素晴らしさ

マリオ・バルガス=リョサ『都会と犬ども』『世界終末戦争』『若い小説家に宛てた手紙』
木村榮一/文明と野蛮の共存する小説空間

宮崎正弘『オレ様国家・中国の常識』
高山正之/冷静な観察者の視点

西原理恵子・佐藤 優『週刊とりあたまニュース―最強コンビ結成!編―』
池上 彰/最強コンビならぬ最凶コンビ

川村蘭太『しづ子―娼婦と呼ばれた俳人を追って―』
川村蘭太/俳句の「魔」を武器にした女

大井 玄『人間の往生―看取りの医師が考える―』(新潮新書)
大井 玄/人生を降る道程にて

今野 浩『工学部ヒラノ教授』
井上章一/ふるさとを、遠きにありてふりかえる

岩田健太郎『「患者様」が医療を壊す』(新潮選書)
内田 樹/「現場の人」の共通点

ラグラム・ラジャン『フォールト・ラインズ―「大断層」が金融危機を再び招く―』
滝田洋一/暖かで穏健な懐疑の眼

[佐伯泰英◎新シリーズ「新・古着屋総兵衛」刊行開始記念]
【特別対談】児玉 清×佐伯泰英/古着屋総兵衛は、なんとも贅沢な時代小説だ。

第23回日本ファンタジーノベル大賞作品募集

コラム
とんぼの本編集部通信
「考える人」─都心のパワースポット
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
阿部和重/幼少の帝国 成熟を拒否する日本人 第3回
吉川 潮/【対談】寿限無の言い分 桂あやめ(後篇)
片山杜秀/未完のファシズム 第5回
三田 完/モーニングサービス 第6回
小林朋道/ヒト、動物に会う 第9回
蓮池 薫/拉致と決断 第10回
山折哲雄/長谷川伸と日本人 第14回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第11回
佐木隆三/わたしが出会った殺人者たち 第9回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、この一月二十八日に、新シリーズ「新・古着屋総兵衛」の第一巻『血に非ず』が発売になる、文庫書下ろし時代小説の第一人者佐伯泰英氏。佐伯氏にとって新シリーズのスタートは五年ぶり。氏自身も、「この作品が、おそらく私の最後のシリーズになるだろう」と語っています。今月号掲載の児玉清氏との対談にもあるように、闘病生活の中での、新シリーズ執筆となりました。
 第一巻のタイトルである「血に非ず」。大黒屋という古着問屋の大店の主人にして、影の旗本である鳶沢総兵衛の九代目が死の床にあって、跡継ぎ不在に慌てふためく番頭たちにつぶやくのが、この「血に非ず」という言葉です。直系の血が途絶え、傍系の血縁者は、放蕩無頼のやくざ者、このままでは神君家康公の密命による影の武闘集団鳶沢一族の血が途絶えてしまう……。本シリーズの主人公となるであろう十代目総兵衛は、誰がどのように受け継ぐのか。血湧き肉躍る時代小説になっています。また、佐伯氏によれば、この「血に非ず」は、シリーズ全体を貫くキーワードになっていくだろうとのことです。
 本シリーズの時代設定は、享和二(一八〇二)年ですが、この百年ほど前、元禄・宝永期の六代目総兵衛の活躍を描いているのが「古着屋総兵衛影始末」シリーズ(全十一巻)です。大幅に加筆修正し、決定版として新潮文庫で順次刊行していく予定です。「古着屋総兵衛影始末」シリーズの第一巻『死闘』、第二巻『異心』は、『血に非ず』と同じく一月二十八日発売です。
◇第一四四回芥川賞(主催・日本文学振興会)が、朝吹真理子氏「きことわ」、西村賢太氏「苦役列車」の両作に決定しました。単行本『きことわ』、『苦役列車』は、それぞれ、小社より発売中です。(『苦役列車』の定価は一五七五円から一二六〇円に、発売日は一月二十六日に変更になりました)

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。