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[塩野七生『十字軍物語3』刊行記念]

波 2012年1月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2011/12/27

発売日 2011/12/27
JANコード 4910068230126
定価 105円(税込)

[塩野七生『十字軍物語3』刊行記念]
野口悠紀雄/はじめに十字軍ありき

宮本 輝『真夜中の手紙』
角田光代/真夜中に、寄り添う言葉

北 杜夫『巴里茫々』
荒川洋治/目の前のはるかな思い出

岡井 隆『わが告白』
穂村 弘/チーズと悪夢

木村紅美『春待ち海岸カルナヴァル』
川本三郎/幸福の一歩手前

手嶋龍一『ブラック・スワン降臨―9・11-3・11 インテリジェンス十年戦争―』
【刊行記念インタビュー】手嶋龍一/「想定外」が舞い降りた

吉川 潮『待ってました!―花形落語家、たっぷり語る―』
吉川 潮/花形落語家十人が語ったこと

糸井重里・ほぼ日刊イトイ新聞『できることをしよう。―ぼくらが震災後に考えたこと―』
重松 清/「できないこと」を見つめた先に

特集[ジョン・アーヴィング『あの川のほとりで』刊行記念]
【インタビュー】ジョン・アーヴィング/作家として、料理人としての底力を示す最新長篇
都甲幸治/とめどない奔流に浸る喜び

小倉美惠子『オオカミの護符』
成毛 眞/土地の記憶をたぐる

柳沢きみお『なんだかなァ人生』
柳沢きみお/漫画家はなぜ短命なのか

成毛 眞『就活に「日経」はいらない』
東 えりか/才能ある親バカが若者に贈る就活戦略

一乗谷 DISCOVERY PROJECT『一乗谷 DISCOVERY PROJECT』
西澤恵子/なにもないからおもしろい

石川九楊『説き語り 日本書史』(新潮選書)
石川九楊/「朱船」が三度やって来た

竹内 薫『科学嫌いが日本を滅ぼす―「ネイチャー」「サイエンス」に何を学ぶか―』(新潮選書)
村上陽一郎/科学誌から問う日本の科学リテラシー

赤坂治績『江戸歌舞伎役者の〈食乱〉日記』(新潮新書)
赤坂治績/江戸人の主食は?

山田修爾『ザ・ベストテン』(新潮文庫)
【インタビュー】山田修爾/いつまでもあの感動を

第8回新潮エンターテインメント大賞作品募集

コラム
考える人─山シーズンを前にして
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
【新連載】高橋秀実/とかなんとか言語学 第1回
斎藤明美/高峰秀子の言葉 第7回
津村節子/時のなごり 第4回
蓮池 薫/拉致と決断 第21回
中村うさぎ×池谷裕二/オトナのための脳科学 第4回
阿部和重/幼少の帝国 成熟を拒否する日本人 第14回
永田和宏/河野裕子と私 歌と闘病の十年 第8回
片山杜秀/未完のファシズム 第16回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第22回
椎名 誠/ぼくがいま、死について思うこと 第5回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆跡は、宮本輝氏。発売されたばかりの新刊『真夜中の手紙』には、震災への思いや大好きなジャズ、落語の話から、水上勉氏、井上靖氏ら親しかった先輩文士との抱腹絶倒の交流譚などが、これまでの小説やエッセイ作品とはまったく違った文体で書かれています。ユーモア溢れる、知られざる「素顔の宮本輝」の魅力が、本書で初めて公開されます。愛用の万年筆などの写真は、本文中にも収録されているスナップショット。宮本氏自身が写っている場所は、名作『螢川』の舞台である富山県いたち川の橋の上です。また、揮毫していただいた原稿用紙は、本書の挿画を担当した赤井稚佳氏が作製したものです。
◇今月号より、昨年『ご先祖様はどちら様』(小社刊)で第一〇回小林秀雄賞を受賞した高橋秀実氏の新連載「とかなんとか言語学」が始まりました。高橋氏は『素晴らしきラジオ体操』『からくり民主主義』など、軽妙洒脱な文章で事象の本質を衝くルポルタージュに定評がありますが、今回は昨今まかり通る不可思議な日本語に迫ります。「読みようによっては、物議をかもすか、抗議を申し込まれそうなことも多い。それを笑いに包んで、上手に流す。(中略)そういう芸、そういう感性の持ち主がほかにあるだろうか」と小林賞選考委員の養老孟司氏に賞賛された卓抜な文章芸を存分にお愉しみいただきたいと思います。
◇大女優にして名文家。まさに天より二物を授かり多くの名作、名著を遺した高峰秀子さんが逝去されてちょうど一年。いま、静かなブームが起こり、若い世代の心を掴み始めています。弊社でも処女作『巴里ひとりある記』、初期随筆集『まいまいつぶろ』の二冊の単行本を復刊し、文庫版でも人物エッセイ『にんげんのおへそ』、自伝『わたしの渡世日記(上・下)』を刊行しました。いずれの本にも小誌で「高峰秀子の言葉」を連載中の養女・斎藤明美さんの文章が寄せられており、思いがけない高峰さんの素顔や肉声に触れることができます。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。