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今月の編集長便り 毎月10日のメルマガで配信さている「編集長から」を「今月の編集長便り」として再録しました。こんなことを考えながら日々仕事しています。

「場当たり的」の話

 大ヒットしている映画『ボヘミアン・ラプソディ』については、いろんな人がいろんな分析をなさっています。私が感じたのは、ドラマチックな作品は、制作過程も往々にしてドラマチックで、その手の裏話には多くの人を惹きつける力がある、ということでした。自分がいい年をこいて、いまだに子供の頃と同じように音楽雑誌を一所懸命読んでいるのも、そういう話を知りたいからなのだろうと思います。

 2月の新刊『ドラマへの遺言』(倉本聰碓井広義・著)では、ドラマ界の生きる伝説である倉本さんが、自作やテレビ界の裏話をたっぷりと語っています。倉本さんの有名な逸話の一つがNHKの大河ドラマ「勝海舟」を途中降板した、というものです。そこで何があったのか、といった話もフランクに明かしていて、実にドラマチックです。「前略おふくろ様」「北の国から」から、最新作「やすらぎの刻~道」まで、本人しか語れない秘話満載。
 ファンが多いだけに、ゲラの時点で「読みたい」という声が社内各部署から上がり、読んだ人がみな「めちゃくちゃ面白かった」と言っています。

 他の新刊3点をご紹介します。
2019/03

裏話の話

 大ヒットしている映画「ボヘミアン・ラプソディ」については、いろんな人がいろんな分析をなさっています。私が感じたのは、ドラマチックな作品は、制作過程も往々にしてドラマチックで、その手の裏話には多くの人を惹きつける力がある、ということでした。自分がいい年をこいて、いまだに子供の頃と同じように音楽雑誌を一所懸命読んでいるのも、そういう話を知りたいからなのだろうと思います。

 2月の新刊『ドラマへの遺言』(倉本聰碓井広義・著)では、ドラマ界の生きる伝説である倉本さんが、自作やテレビ界の裏話をたっぷりと語っています。倉本さんの有名な逸話の一つがNHKの大河ドラマ「勝海舟」を途中降板した、というものです。そこで何があったのか、といった話もフランクに明かしていて、実にドラマチックです。「前略おふくろ様」「北の国から」から、最新作「やすらぎの刻~道」まで、本人しか語れない秘話満載。
 ファンが多いだけに、ゲラの時点で「読みたい」という声が社内各部署から上がり、読んだ人がみな「めちゃくちゃ面白かった」と言っています。

 他の新刊3点をご紹介します。
2019/02

マウンティングの話

 流行の言葉や新しい言葉はあまり使わないほうなので、当然「マジ卍」などと口にしたことはありません。しかしながら、なるほどこれは便利だ、と思ってつい使う言葉も時々出てきます。私にとっては「マウンティング」というのがそれでした。簡単に言えば、相手より自分を高い位置に置こうとする行為、ということになるのでしょうが、日本語で一言で言うのはわりと難しい気がします。
 これが便利だなと思うのは、そういう感じの言動を見る機会が結構あるからかもしれません。出版業界などというものは、半可通や調子に乗りたい人がわりと多いところです。また、その中でも、自分の所属している小さなムラやサークルのようなところでのポジションをとても重視する人がいます。
 そういう人は、機会を見つけては「俺のほうが知っている」「僕のほうが正しい」と示そうとする。「マウンティング」をするわけです。はたから見ているといささか滑稽で、「そのムラで偉いからといっても世間とは関係ないのにね」などと思いますが、余計な波風を立てたくないのでなるべく黙っています。
 ただ、自分自身、そういう言動をとってしまう面もあるのかもしれません。お笑い好きとか洋楽好きの若い人と話している時に、つい「俺は生で見たことがあるぞ」とか言ってしまいます。気をつけたいと思っています。

 1月新刊『ちょいバカ戦略―意識低い系マーケティングのすすめ―』(小口覺・著)は、「マウンティング」と密接な関係がある「上から目線」の危険性を説いた異色のビジネス書です。実は多くのヒット商品は「意識高い系」の上から目線ではなく、もっと下からの目線、「意識低い系」の視点を取り入れたものだ、ということがx鮮やかに示されていきます。アップルも、ワークマンもみんな「ちょいバカ戦略」の賜物だ、というのはかなり新しい指摘だと思いました。

 他の新刊3点もご紹介します。
2019/01

大衆文化の話

 少し前にはポール・マッカートニーが来日し、最近はクイーンの映画が大ヒットし、と昔からのファンにとっては楽しい話題が続いています。ただ、昔を知る人間としてちょっと違和感を抱いてしまうのは、「みんなそんなに好きでしたっけ?」ということです。
 もちろんどちらもずっと人気はありました。しかしいわゆるインテリ受けは決して良くなかったのです。「ミュージックライフ」のようなタイプの音楽雑誌は両者にも優しい眼差しを送っていましたが、もう少し小難しいことが書いてある雑誌や評論家は基本的にこういう大衆受けのするロックには冷淡でした。代わりにもっと新しいもの、過激なもの、実験的なものを絶賛していたのです。70年代後半~80年代でいえば、明らかにパンク・ニューウェイブのほうが高く評価されていました。
 簡単にいえば、ポールもクイーンも賢い人にバカにされがちでした。
 一般受けするもの、わかりやすいもの、娯楽的要素が強いものを軽視する傾向はいまなお存在しています。小説などでも難解なものをやたらと誉める人がいます。
 でも実は、みんなわかりやすいもの、ポップなものが好きなのだ、ということをポールやクイーンの根強い人気は示しているのではないでしょうか。

 12月新刊『国家と教養』(藤原正彦・著)は、2005年に刊行され、270万部突破のベストセラーとなった『国家の品格』の続編的作品です。
 本書で藤原氏は、教養がなぜ必要なのかを丁寧に人類の歴史を踏まえながら説いていきます。国民に教養がないと、国家が滅びる、ということがよくわかります。読むと向学心がわいてきます。
 嬉しいのは「西洋の古典よりも日本の大衆文化を」といったメッセージも含まれている点でした。教養うんぬんというとどうしても「古典を読むべし」という話に落ちつきがちなのですが、藤原氏は「大衆文化は日本人の情緒や形を学ぶための最高の教材です」と述べ、マンガやアニメ、落語、講談、流行歌等々を侮ってはいけない、と説くのです。わかりやすいものをバカにしてはいけない、ということだと思います。

 他の新刊3点をご紹介します。
2018/12