【第38回山本周五郎賞決定発表】
小説新潮 2025年7月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2025/06/20 |
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JANコード | 4910047010756 |
定価 | 1,000円(税込) |
【第38回山本周五郎賞決定発表】
[受賞作]新川帆立/女の国会(抄)
――政界を舞台に女たちは叫び、立ち上がる。三時間半に亘る議論の末に選ばれた、至高のエンタメ小説!
[受賞記念エッセイ]ホタテカップ開催録
[受賞記念グラビア]
[選評]伊坂幸太郎/江國香織/小川 哲/今野 敏/三浦しをん
[歴代受賞作家競作]
◆青崎有吾/酒戦
――酒闘士、女仙、奇跡の子。三酒豪による宴がいま始まる
◆荻原 浩/お化け坂の高速ババ
――この坂に何が出るかって? 口にするのも恐ろしいあれだよ
◆窪 美澄/芍薬の星月夜
――私が死んだあの日から、私はずっとみんなを見ていた――
◆永井沙耶子/長崎こんぷら万華鏡 第6回
――出島遊女の琴音が牢に――光太はその疑いを晴らそうと
【大型新連載】
◆奥田英朗/府中某重大事件
――府中署管内で頻発する悪戯電話。一体誰が、なぜ。圧巻の犯罪群像劇、いざ開幕!
〈新連載記念対談〉
◆川本三郎×奥田英朗/これだけは話しておきたかった昭和×映画×小説のこと
――狂騒の1968年、あの時何が起きたのか。その熱源に触れる
【本誌初登場! 新連載】
◆こうの史代/かぐやサン
――今は昔……いや、現代。この世界のどこかに一人の使者、降臨。
【短期集中連載】
◆石井光太/「奇跡の保育園」のつくりかた 熊本・やまなみこども園 後編
――重大事故、後継者の迷走……試練を乗り越えた秘訣とは
【特集】真夏の時代小説
◆佐藤賢一/黒鯛 釣り侍
――藩の跡目を賭けた釣り勝負。尺越えの獲物はどちらの手に
◆武内 涼/東国大乱 四 駿河問答
――大乱に喘ぐ民を思いながら、新九郎は姉らを救うために
◆天羽 恵/黒い穴
――花火を楽しむおゆうが見つけたのは土から覗く真白い指
◆梶よう子/風に吹かれて みとや・お瑛仕入帖
――このままじゃ右足が腐っちゃう!? お瑛の運命は――
【『救われてんじゃねえよ』刊行記念対談】
◆ジェーン・スー×上村裕香/救われねえよと思いながら喜劇の中を生きていく
――ままならない現実をサバイブするには? 介護経験を持つ二人が語る「親と子の関係性」
【連載エッセイ・ノンフィクション・マンガ】
◆彬子女王×池辺 葵/赤と青のガウン
◆ガク(真空ジェシカ)/饅頭以外ぜんぶこわい
◆西原理恵子/ねこいぬ漫画かき
◆酒井順子/ヒノエウマってどんな馬?
◆東村アキコ/おんな追分
◆群ようこ/じじばばは生きている
◆山脇りこ/ソロソロ、ひとり 私のためのひとりじかん
【バラエティコラム】
〈そのとき(わたしの)歴史が動いた〉阿部大樹
〈もういちど会いたい〉大木芙沙子
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈歴史・時代〉田口幹人
〈ホラー・ミステリ〉村上貴史
〈恋愛・青春〉高頭佐和子
【好評連載小説】
◆朝井まかて/少女時代
◆あさのあつこ/シクヌノ
◆恩田 陸/追憶の五重奏
◆小林早代子/よう言わんわ
◆今野 敏/分水 隠蔽捜査11
◆白尾 悠/羽根は、青
◆早見和真/ハンセイ
◆宮城谷昌光/掌中小説 ことばの力
◆結城真一郎/ある夏の日のABC
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この号の誌面
編集長から
三つの本当、七つの嘘
日本犯罪史において最も有名な未解決事件の一つ、三億円事件。白バイ警官姿のモンタージュ写真を思い出す方も多いのではないでしょうか。奥田英朗さんの新連載「府中某重大事件」は昭和四〇年代の東京多摩地区を舞台に、悪事の周りで蠢く人々を鮮やかに描き出します。連載記念対談では、当時学生だった川本三郎さんに時代の空気を詳しく聞き込む奥田さんの姿が。「三つ本当のことを書けば、あとの七つは嘘を書いても読者は信じてくれる」という言葉の通り、ディテールを追求する作家の姿勢に感服しました。
もう一つの対談は、『救われてんじゃねえよ』で親の介護を描いた上村裕香さんと、同じく両親の介護を経験したジェーン・スーさんによるもの。親との適切な距離を取るためにスーさんが挙げた三か条には、確かな実体験の裏打ちを感じます。
今年度の山本周五郎賞は新川帆立さんの『女の国会』に。受賞記念エッセイでは、初めての「待ち会」を活写します!
小説新潮編集長 西麻沙子
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バックナンバー
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?

小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。