ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:小説新潮 > 雑誌詳細:小説新潮 2009年1月号

【城山三郎 新発見140枚一挙掲載】どうせ、あちらへは手ぶらで行く

小説新潮 2009年1月号

(毎月22日発売)

特別定価901円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/12/22

発売日 2008/12/22
JANコード 4910047010190
定価 特別定価901円(税込)

【新発見140枚一挙掲載】
◆城山三郎/どうせ、あちらへは手ぶらで行く
「そうか、もう君はいないのか」日録
――亡妻への思慕、老いの影、諦念と軽み、作家最期の肉声がここにある

【特別寄稿】
井上紀子(城山三郎次女)/鈍々楽 どん・どん・らく
――仕事部屋に遺された黒い手帳。父の没後もそれを開くのは恐かった
【再録エッセイ】
城山三郎/勲章について
――読者と家族こそおれの勲章だ…授章を拒否した作家が妻と語る一夜
◆ドラマ「そうか、もう君はいないのか」放映決定

【特集:新春短編グランプリ】
◆曽野綾子/ミント・ティの匂い
――遠い海峡の街で再会した二人。過去と現在は決して交わらない
◆小池真理子/歳月
――傷つき、苦しんだ長い年月にも変らず生き続けたあの日の想い
◆北村 薫/飲めば都
――昼は理性的な都さん。お酒が入れば「伝説」の紡ぎ手となる
◆角田光代/月が笑う
――なんでこんなひどい仕打ちを。その時聞こえた、幼い自分の声
◆藤田宜永/ミスター・ロンリー
――辞表を胸にさまよう街で出会った、怪しい男の意外な身の上話
◆諸田玲子/ミートボール
――三世代で訪れたハワイ。若く無謀だった頃とは何もかも違う…
◆小手鞠るい/別れのあと
――人とは離れられても、自分の過去とは、別れることができない
◆吉川 潮/師匠の恋人
――二十五歳の美人が俺のファンだって!? 浮かれる落語家の運命は
◆赤川次郎/落ちた妖精
――リンクを華麗に舞う十七歳の天才少女アヤを捕えた一幕の悪夢
◆恩田 陸/少女界曼荼羅
――この世界に君臨する「彼女」に接触する、唯一の方法とは……
◆薬丸 岳/アイデンティティー
――渋谷署の生活安全課・鮎川紗織。走れ、デザイナードラッグを追え
◆仁木英之/職業兇徒
――異相の暗殺者・劉欣が狙う的は……。「僕僕先生」シリーズ最新作
◆江上 剛/バブルの足音
――商社の倒産、天井知らずの地価。その時、銀行が果たすべき役割は
◆石田衣良/スイート・セクシー・シックスティーン 6TEEN
――気になる「エログ」の女の子と、偶然出会ってしまったテツロー
◆北原亞以子/そばにいて 慶次郎縁側日記
――魚売りが慣れない紅を買いに師走の町へ。艶な贈り物の相手は
◆山本一力/仲町のひいらぎ 八つ花ごよみ
――大雪の日、夫が逝く。過ぎし日を振り返り、妻の不満はただ一つ

【特集:2009年の「食」を占う】
不景気にこそ食す価値のある、4つの“味”をご提案
◆野瀬泰申/「B級ご当地グルメ」の時代でしょう
――新たな町おこしのモデルケース。一過性のブームか、地域資源として定着するか
◆水野仁輔/日本のカレーの行方
――おふくろカレーは不変の味。新しいカレーのトレンドには「法則」がある
◆佐藤和歌子/ホルモンのススメ
――ホルモンヌって知ってますか? 女子ウケナンバー1食材の楽しみ方を伝授します
◆太田和彦/居酒屋百名山 特別篇
――冬の庄内は、魚も野菜も本当の旬を待って食す。美しい一品で今宵も一献
◆垂涎カラーグラビア
――幻のホルモン、富士宮やきそば、カニカレー、ハタハタの湯あげ…

【あの「知っていますか」「楽しむために」シリーズ最新作 待望の新連載開始!】
◆阿刀田 高/イソップを楽しむために
――小学生でも知ってるイソップ物語。でもちゃんと説明できますか? 古典文学の名作を軽妙洒脱に説き明かす現代人の教養「虎の巻」

【短期集中連載 第二回】
◆蓮見圭一/永遠の女性

【好評連載小説】
佐々木 譲/暴雪圏 最終回
北森 鴻/鏡連殺
重松 清/ゼツメツ少年
高橋克彦/鬼哭鬼九郎
宮部みゆき/ソロモンの偽証
黒柳徹子/小さいときから考えてきたこと

【連載エッセイ】
嵐山光三郎/文士の舌
柴門ふみ/恋のタネ
佐藤 優/功利主義者の読書術
山本益博/マスヒロのあくび指南
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
フジモトマサル/終電車ならとっくに行ってしまった

第二十一回「日本ファンタジーノベル大賞」募集要項
第五回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

城山三郎が遺した数冊の手帳
 数々の硬派の作品を世に問うた城山三郎氏が、仕事場に書き残していた「そうか、もう君はいないのか」。愛妻容子さんとの出会いから死別までが描かれたこのメモワールは、大きな感動と反響を呼んだ。この一月にはTVドラマも放映される。
 晩年の多くを過ごした同じ仕事場から、数冊の手帳が新たに発見された。愛用の「文化手帳」。容子さんが病を得る前年から城山氏急逝の直前まで、九年間の思いがそこに綴られていた(一年分のみ雑誌校了時点で未発見)。
 半身を削がれたように暮らす日々、それでも自らを奮い立たせる創作への意志、忍び寄る老い、時代への憂い。「そうか、もう君はいないのか」と背中合わせともいえる日録、「どうせ、あちらへは手ぶらで行く」百四十枚を今月一挙掲載する。
 小説特集は「新春短編グランプリ」。名手気鋭が腕を競う十六編の大特集。お楽しみ特集「2009年の『食』を占う」と併せて、初春のお伴にどうぞ。


小説新潮編集長 高澤恒夫

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞