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特集:乾坤一擲 時代小説

小説新潮 2009年2月号

(毎月22日発売)

特別定価859円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/01/22

発売日 2009/01/22
JANコード 4910047010299
定価 特別定価859円(税込)

【特集:乾坤一擲 時代小説】
◆乙川優三郎/三冬三春
――思いのままに描きたい、許されなくても。芸に揺れる女絵師の心
◆畠中 恵/ほねぬすびと しゃばけ
――若だんなの御身に異変だってぇ!? 怒濤の新シリーズ開始だよ

【好評連作第三幕スタート】銀座開花おもかげ草紙
◆松井今朝子/西南の風
――明治に生き残った武士(もののふ)宗八郎が対峙するのは、また戦争か

◆北 重人/与力
――元は武士、いま吉原の用心棒が火盗捕縛の助太刀を頼まれ…
◆西條奈加/冬の蝉
――おなじみ千七長屋、実は泥棒長屋に、赤ん坊の捨て子が
◆蜂谷 涼/舞燈籠
――幕末の上七軒。新撰組の志士への思いを胸に、小梅はお座敷へ
◆仁木英之/双流相思 僕僕先生
――恋する妖・薄妃が出会ったのは、石碑から顔を出す川の女神
◆藤原緋沙子/夜明けの雨 坂物語
――愛した女が女郎に。大店の婿は迷った末、再会を決意するが
◆北原亞以子/風光る 慶次郎縁側日記
――心触れ合わぬ冬から淡い光射す春へ。人の季節も移ろっていく

◆出久根達郎 評者、山本タカト 絵師/作者は風流好事の学者
――手すさびに、娘の結婚費用に、碩学たちが物した春本の中身は

【読切シリーズ】
◆三浦しをん/君は夜
――夢では江戸で「小平」と幸せだった。現世でも小平と会いたい
◆柴田よしき/闇の集会
――犯した罪を知るために、俺はこの団地で小さき者を追い続ける
◆真山 仁/暴言大臣
――国を滅ぼすのは団塊世代だ! 就任直後の爆弾は失言か確信犯か

【連載第二回】
◆阿刀田 高/イソップを楽しむために
――古代の賢者が書き残した永遠不変の人間真理、ここにあり

【新シーズン開始】
◆山田詠美/ライ麦畑で熱血ポンちゃん
――すごいことがありそで無さそな、ポンちゃんの1年がスタート!

【鉄道艱難辛苦旅シリーズ第9弾】
◆酒井順子/スイッチバックの女
――信州「スイッチバック銀座」に息づくXの美学を体感せよ!

【特集:時代小説温故知新】
【名編再録】末國善己・編
◆海音寺潮五郎/阿波の屋形
――妻を奪われた御家人が、兄弟の確執続く名家に波乱を呼ぶ
◆五味康祐/剣術 陽炎
――名道場の跡目と目された善右衛門が、御前で直面した試練
◆子母澤 寛/厚田日記
――アイヌとともに北の大地で生きた、箱館戦争の敗残者たち
◆中山義秀/贋金づくり
――贋金の噂を聞いた岡っ引は目を付けた男に弟子入りするが
◆南條範夫/被虐の受太刀
――美しき者に身を傷つけられる喜び…。奇癖を持つ侍の運命

◆末國善己/時代小説の系譜

◆北上次郎/時代小説 ヒーロー七変化

【座談会】中野 翠×安住洋子×ペリー荻野/女が惚れた時代劇
――市川雷蔵様命! 紋次郎は新鮮だった、忠臣蔵も…
見巧者三人が、生涯のベスト作品を大プッシュ!

【短期集中連載】
蓮見圭一/永遠の女性

【好評連載小説】
北森 鴻/鏡連殺
重松 清/ゼツメツ少年
高橋克彦/鬼哭鬼九郎
宮部みゆき/ソロモンの偽証
平岩弓枝/聖徳太子の密使
櫻井よしこ/母と過ごす至福の日々

【連載エッセイ】
嵐山光三郎/文士の舌
柴門ふみ/恋のタネ
佐藤 優/功利主義者の読書術
山本益博/マスヒロのあくび指南
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
フジモトマサル/終電車ならとっくに行ってしまった
太田和彦/居酒屋百名山

第二十一回「日本ファンタジーノベル大賞」募集要項
第五回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

時代小説の今昔
 新たな書き手が続々と登場し、今また時代小説が活況を呈している。そこに描かれる「時代」は、いずれにしても百年以上前のことである。それがどうして新たな生命を保ちつづけるのだろう。なぜ我々の心を捉えつづけるのだろう。今月の特集「時代小説温故知新」は、そんな素朴な疑問から始まった。
 海音寺潮五郎、五味康祐、子母澤寛、中山義秀、南條範夫――いずれも時代小説の歴史に名高いが、現在、作品にじかに触れる機会が多いとはいえない。文芸評論家・末國善己氏の選により、名編五編を再録した。その「新鮮さ」に驚かれると思う。北上次郎氏「時代小説 ヒーロー七変化」、中野翠・安住洋子・ペリー荻野の諸氏による座談会「女が惚れた時代劇」とともに、お楽しみいただきたい。
 小説特集は「乾坤一擲 時代小説」。乙川優三郎氏、畠中恵氏、松井今朝子氏を始めとする全九編。故きを温ね、そして時代小説の最新型がここにある。


小説新潮編集長 高澤恒夫

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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