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Mystery Seller 2012 ミステリは挑戦する 麻耶雄嵩/伊与原 新/里見 蘭/薬丸 岳/竹本健治

小説新潮 2012年2月号

(毎月22日発売)

943円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/01/21

発売日 2012/01/21
JANコード 4910047010220
定価 943円(税込)

Mystery Seller 2012 ミステリは挑戦する

ミステリの進化の過程は、
挑戦の歴史と言ってもいいだろう。
最初期は、犯人から捜査陣への宣戦布告、
つまりは犯人vs読者とほぼイコールだった。
それから徐々に犯人捜し外の方向へもフィールドが広がり、
不可解な状況を合理的に解決するという、
広い意味での謎解きが増えてくる。
中には、事件らしい事件が起きない話もあるし、
対峙の構造が作中を飛び出して、
作者vs読者となって発展している形式もある。
今日隆盛を極める、いわゆる〈ミステリ的〉な物語は、
この挑戦の申し子なのではないか。
「Mystery Seller 2012」は、
様々な〈挑戦〉であなたをお迎えする。

◆麻耶雄嵩/転校生と放火魔
――彼女が町に戻って来てから、やたらと火事が起こるんだ

◆伊与原 新/ミモザの霞んだ日
――花粉症に悩む「デイトレ探偵」に奇妙な依頼が舞い込んだ

◆里見 蘭/絆のふたり
――あの女から栄輔を守る! 固く決意した萌絵美だが……

◆薬丸 岳/wannabe(ワナビー)
――持込まれた使い古しの時計。大金を貸せる代物ではないが

◆竹本健治/零点透視の誘拐
――芸人の娘が誘拐された。身代金を運ぶのは付き人の女だが

【連載エッセイ】
阿刀田 高/源氏物語を知っていますか
北村 薫/うた合わせ
柴門ふみ/大人の恋力
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
高山なおみ/今日もいち日、ぶじ日記
嶽本野ばら/地嶽八景亡者戯
山田詠美/熱血ポンちゃんから騒ぎ

【連載ノンフィクション】
大崎善生/赦しの鬼 団鬼六の生涯

【新連載スタート】
◆佐々木 譲/獅子の城塞
――安土桃山の時代、城造りで名を馳せた穴太衆と呼ばれる職人がいた。棟梁の息子、次郎左は信長から命を受け、築城を学ぶため西南蛮へ旅立つことに

【好評読み切り連作】
◆大崎 梢/青い星の夜 ふたつめの庭
――母親の大事な指輪をなくしてしまった園児。気を揉む美南は何とか探し出そうとするが、思いがけずヒントをくれたのは、またあの人で――

【力作読み切り中編】
◆小笠原 慧/Yの憂鬱
――ボクには「本当のママ」が二人いる。話はちょっと長くなるけど、聞いてくれるかい。何かに操られ螺旋階段を上っていくようなボクの半生を

【連載第二回】
◆畠中 恵/ばくのふだ しゃばけ
――妖たちと一緒に寄席を訪ねた若だんな。お題は身の毛もよだつ怪談だった。ところが、噺が佳境を迎えると、突然、お客の一人が刀を抜いて……

【好評連載小説】
赤川次郎/月光の誘惑
浅田次郎/赤猫異聞
飯嶋和一/星夜航行
井上荒野/ほろびぬ姫
大沢在昌/冬芽の人 最終回
熊谷達也/海峡の絆
近藤史恵/キアズマ
柴田よしき/貯められない小銭V 名前のない古道具屋の夜
白川 道/神様が降りてくる
田口ランディ/サンカーラ――この世の断片をたぐり寄せて
葉室 麟/春風伝――高杉晋作・萩花の詩
坂東眞砂子/Hidden times
藤田宜永/風屋敷の告白 還暦探偵
本多孝好/魔術師の視線
真山 仁/沈黙の代償
山本一力/べんけい飛脚
米澤穂信/リカーシブル

第八回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
第二四回「日本ファンタジーノベル大賞」募集要項
次号予告/編集後記

編集長から

ミステリ「的」な物語
 ミステリーという言葉が一般的に使われるようになったのは、いつ頃からだろうか。少し前までは、推理小説、という言い方が一般的だったように思うし、もうちょっと遡ると、それが探偵小説になる。おそらく、扱うテーマやフィールドの広がりと共に、呼び名も変わっていったのだろう。犯人や不可解な状況について推理していく、という言い方では説明し切れない物語が増えてきたのだ。
 もっとも、どんなエンターテインメントも、多かれ少なかれミステリの要素はあり、何かしらの「謎」が物語を牽引する力になっている。恋愛小説だって、人の心のミステリアスな部分についての物語と言うこともできる。
 乱暴を承知で言えば、「なぜ?」と思うような要素が少しでも入っていれば、それは広義の「ミステリ的」な小説とは言えないだろうか。
 今回の特集では、広義なものから狭義なものまで、様々な形のミステリをお届けする。


小説新潮編集長 新井久幸

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小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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