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【特集】時代小説 春の陣 春や春、春爛漫の江戸の色 北原亞以子/諸田玲子/田牧大和/藤原緋沙子/矢野 隆/青山文平/梶よう子

小説新潮 2012年3月号

(毎月22日発売)

特別定価1,047円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/02/22

発売日 2012/02/22
JANコード 4910047010329
定価 特別定価1,047円(税込)

【特集】時代小説 春の陣 春や春、春爛漫の江戸の色

 冬来たりなば春遠からじ。
 四季のはっきりした、日本にぴったりの言葉だと思う。決して過ごしやすい季節とは言えない冬だが、その後には必ず暖かい春が来る。厳しい時期だけが長く続くわけではないということを、日本人は体感として知っているのだ。
 だから大抵のことは我慢できるし、辛い時期を何とか乗り切れば、いつか必ず事態は好転すると信じて前に進むことができる。
 春を待つどこか胸の高鳴る心持ちは、何か新しい出来事が待っているのではないかと期待する気持ちにも似て、春、と聞くだけで、何だか嬉しい気分になってくる。
 今回の特集には、春を舞台にした作品がいくつもある。寒い日がいくら続こうと、作中の春を感じるだけで、不思議と心が弾む。
 今月は、一足先に春のときめきをお届けする。

◆北原亞以子/はなかつみ 慶次郎縁側日記
──江戸に舞い戻ってきた女は、恨みを晴らしに向かう。幼馴染みの夫婦の家へ

◆諸田玲子/社の森の殺人 お鳥見女房
──鬼子母神の森で女が殺された。手がかりのない中、二人目の犠牲者が……

◆田牧大和/終に吹く風
──要を失って傾き始めたえびす屋。少年僧は消えた男の影を振り払えず

◆藤原緋沙子/蒲生の桜
──盗賊の目には見覚えがあった。同郷の伊助でないことを願う新兵衛だが

◆矢野 隆/莫迦と鋏
──女にたかり生きてきた十三郎。でも凛に対してはちょっと勝手が違って……

◆青山文平/春山入り
──俺は親友に刃を向けられるのか――逡巡する大輔の背を押したものとは

◆梶よう子/ご破算で願いましては みとや・お瑛仕入帖
──「江戸時代の100均」三十八文店を営むお瑛は、ある日浪人の子を雇うが

【好評読み切り連作】
◆奥田英朗/檀家の女
──寺が多額の寄進を要求してきた。憤る檀家たち、まずは総代に会おうと

◆さだまさし/崎陽神龍石 空蝉風土記 最終話
──発掘された稀覯本。長崎には、天が授けた秘玉が存在したという

◆朱川湊人/レイラの研究
──憧れの彼女の謎を追え! 探偵志望の少年が探り出した切ない事情とは

◆畠中 恵/ひなこまち しゃばけ
──巷で話題をさらう美人番付の行方。けれどその裏で事件が起きて……

【連載エッセイ】
阿刀田 高/源氏物語を知っていますか
北村 薫/うた合わせ
柴門ふみ/大人の恋力
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
高山なおみ/今日もいち日、ぶじ日記
嶽本野ばら/地嶽八景亡者戯
山田詠美/熱血ポンちゃんから騒ぎ

【新連載スタート】
◆今野 敏/宰領 隠蔽捜査5
──本庁の伊丹から知らされた衆院議員の失踪。竜崎は密かに足取りを追うが

◆新城カズマ/島津戦記
──荒波を超えて日本を目指すポルトガル人フェルナン。鉄砲伝来の真相とは?

◆ペリー荻野/ちょんまげ・ザ・バトル
──歴史上の有名人を勝手にマッチングさせた独断バトル。勝者はどっちだ!

【連載第二回】
◆佐々木 譲/獅子の城塞
──西南蛮への途上、マカオに上陸した次郎左。日の本からの急報が運命を変えて

◆乙川優三郎/脊梁山脈
──戦後すぐ、皆と等しく信幸も貧しかった。そこへ思いもよらぬ遺産が……

【連載ノンフィクション】
大崎善生/赦しの鬼 団鬼六の生涯

【好評連載小説】
赤川次郎/月光の誘惑
浅田次郎/赤猫異聞
飯嶋和一/星夜航行
井上荒野/ほろびぬ姫
熊谷達也/海峡の絆
近藤史恵/キアズマ
柴田よしき/貯められない小銭VI 名前のない古道具屋の夜
白川 道/神様が降りてくる
田口ランディ/サンカーラ――この世の断片をたぐり寄せて
葉室 麟/春風伝――高杉晋作・萩花の詩
坂東眞砂子/Hidden times
藤田宜永/風屋敷の告白 還暦探偵
本多孝好/魔術師の視線
真山 仁/沈黙の代償
山本一力/べんけい飛脚
米澤穂信/リカーシブル

第四回 新潮文庫感動大賞受賞作発表 選考委員:小川洋子
第八回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
第二四回「日本ファンタジーノベル大賞」募集要項
次号予告/編集後記

編集長から

春を待つ季節
 時代小説には、季節の移り変わりや、その時々の風景が色濃く投影された作品が多い。中でも、春、という季節は、桜の時期でもあるため、とりわけ頻繁に描かれている気がする。
 よく眼にするから飽きるかというとまったく逆で、春の場面が出て来ると心が和むし、厳しい状況に出くわすと、春の到来を待ち望んだりもする。
 日本人にとって、春とは単なる季節の呼称ではなく、厳しい時期を抜けることの象徴であり、冬の時代は必ず終わりが来るという心の支えのようなものなのだろう。
 春を待つ胸の高鳴りは、何か新しい事が待っているのではと期待する気持ちにも似て、春と聞くだけで、嬉しい気分になる。
 特に春を舞台にとお願いしたわけではないけれど、今回の特集には、季節の春や気分的な春がいくつも描かれている。まだ寒い日が続いているが、作品に触れている間だけでも、暖かな季節を感じていただければと思う。


小説新潮編集長 新井久幸

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小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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