【春の歴史時代小説特集】
佐藤賢一/梶よう子/松下隆一/佐藤 雫/千葉ともこ/高瀬乃一/花房観音/天羽 恵
小説新潮 2024年3月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2024/02/22 |
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JANコード | 4910047010343 |
定価 | 1,000円(税込) |
【春の歴史時代小説特集】
◆佐藤賢一/釣り侍
――朝まずめ、三里の道を経て海へ。狙うは黒鯛、それとも――
◆梶よう子/玉手箱 みとや・お瑛仕入帖
――お瑛を訪ねてきたのは、何やら怪しげな武家の中間で……
◆松下隆一/かげま
――まだ十二歳の若衆が、陰間茶屋のあたしの部屋で啜り泣く
◆佐藤 雫/花影の皇子
――大津宮から連れ出す。姉上と呼びたくないあなたを
◆千葉ともこ/五斗、はじめて卓然 飲中八仙歌
――阿倍仲麻呂に暇を出され、家族と暮らす焦遂を訪ねたのは
◆高瀬乃一/千鳥啼く
――友人の密命で、売れっ子芸者のなじみとなった淳之介は
◆花房観音/母たちの大奥
――妹のように可愛がっていた部屋子、玉。なのに彼女は
◆天羽 恵/緋の契り
――殺された深川の女郎。朋輩を悼むおゆうの前に男が現れ
〈『夜露がたり』刊行記念対談〉
◆酒井順子×砂原浩太朗/「裏ごのみ」な私たち
――歴史時代小説家と、「女性」を見つめてきたエッセイスト。人の暗部に心惹かれる二人の関係とは
〈『のち更に咲く』刊行記念ルポ〉
◆澤田瞳子、平安京を歩く
――平安期最大の葬送地から、今や人気観光地の仁和寺まで。確かに残る王朝時代の足跡をめぐって
【傑作短編】
◆西條奈加/牧谿の猿 善人長屋
――加助の昔なじみが深手を負って帰ってきた。一体、なぜ?
◆清水裕貴/藻屑のためのクルーズ
――生活の全てを船に委ねていた店長。街を揺蕩い思うのは
◆相川英輔/大釜とアルコン
――実家の和菓子屋を継いだ僕。腕をふるうのは、最新AI!?
【連載第2回】
◆岩井圭也/沸点
――ボクシングは、会話だよ。高矢の言葉を胸に、遼馬は遂にプロ初戦を迎える
【バラエティコラム】
〈うれしい買い物〉北沢 陶
〈わたしの東京〉大石トロンボ
【連載エッセイ・ノンフィクション・マンガ】
◆いしいひさいち/剽窃新潮
◆角幡唯介/地図なき山―日高山脈48日漂泊行―
◆川上和人/鳥類学者の半分は、鳥類学ではできてない
◆くどうれいん/くどうのいどう
◆こいしゆうか/くらべて、けみして 校閲部の九重さん
◆酒井順子/松本清張の女たち 最終回
◆堀元 見/読むだけでグングン頭が良くなる下ネタ大全
【新作映画紹介】
◆紙の上の映画館
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈歴史・時代〉田口幹人
〈ホラー・ミステリ〉村上貴史
〈恋愛・青春〉高頭佐和子
【好評連載小説】
◆伊吹有喜/灯りの島
◆恩田 陸/追憶の五重奏
◆川越宗一/満腔の熱血
◆桐野夏生/ダークネス
◆佐々木譲/遥かな夏
◆中島京子/水は動かず芹の中
◆長浦 京/ソリスタ
◆畠中 恵/こいぬくる しゃばけシリーズ
◆原田マハ/晴れの日の木馬たち
◆はらだみずき/されどめぐる季節のなかで
◆宮城谷昌光/公孫龍
◆吉川トリコ/裸足でかけてくおかしな妻さん
「日本ファンタジーノベル大賞2025」募集要項
第十一回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告
この号の誌面
編集長から
歴史時代小説で時間旅行に出かける
AIが小説を書くこの世の中で、どうして時代小説を読みたくなるんでしょう。本号掲載の酒井順子さんと砂原浩太朗さんの対談に、その答えのかけらを見つけました。「自分とかけ離れたことが読みたいし、書きたい」という砂原さんに対し、酒井さんは「私は若い頃、どうして年をとると人は時代小説を読むようになるのだろう、と思っていました。(中略)自分も年をとるにつれて、その傾向が見られるようになってきたのが面白くて……」。砂原さんは恩師から「時代小説は理想郷小説である」とまで言われたそう。
実際には決して出会えない遠い時代の人たちの物語を読むと、心がふっと自由になる。歴史時代小説は、使いたいときにいつでも使える時間旅行の切符なのだと思います。本号では江戸時代から飛鳥時代、そして唐の時代の中国まで、いろんな場所に旅立てる短編を八作ご用意しました。現実から少し離れて心を遊ばせたい時、きっとお気に入りの行き先が見つかります。
小説新潮編集長 西麻沙子
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バックナンバー
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?
小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。