【特集】あなたをケアする物語
一穂ミチ(直木賞受賞第一作)/石田夏穂/寺地はるな/南 杏子/前川ほまれ/鈴木大介/仲谷実織/広瀬りんご/千早 茜
小説新潮 2024年9月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2024/08/22 |
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JANコード | 4910047010947 |
定価 | 1,000円(税込) |
【特集】あなたをケアする物語
◆一穂ミチ/エンパイアライン
――僕はたまに透明人間に話しかけるおじさんを見かける
◆石田夏穂/シャイニー
――絶対に出社しなければ! 若手社員が抱える秘密の仕事とは
◆寺地はるな/くま
――最近妙にイライラするし、めまいもひどい。これって……
◆南 杏子/おなかの窓
――胃瘻はかわいそう? 介護医療院で日々を過ごすうちに
◆前川ほまれ/曝す手、踏む足
――あかぎれから血を滲ませて、今日も健太は洗面所に立つ
◆鈴木大介/ペル子、フルスイング
――同じクラスの4年生、ガチヤバい女子。なのにあいつは
◆仲谷実織/宿雨のあとで
――「お嬢さん」と呼ばれる彼女が、母娘を誘い向かうのは
◆広瀬りんご/百年後の予祝
――ダウン症の娘が結婚する。力となってくれるのはいつ
◆千早 茜/黄色い夢
――半分だけの視界を埋めるのは、いつも同じ強い色で――
〈特別エッセイ〉
心を動かす、手を動かす
――小説家、映画監督、獣医師。多彩な経歴の書き手が綴る、三者三様の「ケア」論とは
◆小川 糸/森の中の小掃除
◆呉 美保/祖母がしんどい
◆北澤 功/犬にしつけられてる?
【『たぶん私たち一生最強』刊行記念対談】
◆柚木麻子×小林早代子/ずっと「おもしれー女」でいるために
――「女だけで最高に幸せになる」なんてこと、本当にできる? ドラマ「フレンズ」を愛する2人のマシンガントークが人生の悩みをぶっ飛ばす!
【バラエティコラム】
〈そのとき(わたしの)歴史が動いた〉前田隆弘
〈わたしの相棒〉八潮久道
【連載エッセイ・ノンフィクション・マンガ】
◆いしいひさいち/剽窃新潮
◆川上和人/鳥類学者の半分は、鳥類学ではできてない
◆くどうれいん/くどうのいどう
◆西原理恵子/ねこいぬ漫画かき
◆東村アキコ/おんな追分
◆堀元 見/読むだけでグングン頭が良くなる下ネタ大全
◆ワクサカソウヘイ/現実クエスト攻略記
【新作映画紹介】
◆紙の上の映画館
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈歴史・時代〉田口幹人
〈ホラー・ミステリ〉村上貴史
〈恋愛・青春〉高頭佐和子
【好評連載小説】
◆朝井まかて/少女時代
◆岩井圭也/沸点
◆伊吹有喜/灯りの島
◆恩田 陸/追憶の五重奏
◆川越宗一/満腔の熱血
◆桐野夏生/ダークネス
◆白尾 悠/羽根は、青
◆中島京子/水は動かず芹の中
◆長浦 京/ソリスタ
◆早見和真/ハンセイ
◆原田マハ/晴れの日の木馬たち
◆柚木麻子/フリーデリーケの長い夏
◆吉川トリコ/裸足でかけてくおかしな妻さん
第十二回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告
この号の誌面
編集長から
あなたをケアする九つの物語
「つまり、ケアは、思わずそこに注意を向けてしまうような、心の動きを表している」。岡野八代『ケアの倫理』の一文に触れたとき、今号の方向性が見えた気がしました。医療でも介護でも子育てでも、誰かが誰かを気にかけるとき、そこには必ず物語が生まれるはず。特集「あなたをケアする物語」には、千早茜さん、寺地はるなさん、そして新直木賞作家の一穂ミチさんなど九人による短編が並びました。見えない猫を可愛がる女性、強迫性障害に苦しむ男子高校生、結婚を控えたダウン症の娘、仕事がまったくデキないサラリーマン――世代や立場が全く違っても、あなたが誰かを思って行動するなら、それはケアの最初の一歩だと思うのです。
女四人のシェアハウス生活を小気味よく描いた、小林早代子さんの新刊『たぶん私たち一生最強』。本作に惚れ込んだという柚木麻子さんとの対談(饒舌!)を読めば、夏バテなどどこかに吹き飛び、元気が出ること間違いなしです。
小説新潮編集長 西麻沙子
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バックナンバー
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?
小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。