【粘膜特集】ねばねば、とろり
千早 茜/一穂ミチ/小田雅久仁/佐川恭一/斜線堂有紀/酉島伝法/中山祐次郎/飴村 行
小説新潮 2025年3月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2025/02/20 |
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JANコード | 4910047010350 |
定価 | 1,000円(税込) |
【粘膜特集】ねばねば、とろり
◆千早 茜/桃色粘膜
――「天然」のわたしが研究所で見かけたのは肥満の男で
◆飴村 行/天使の蹂躙
――「悪魔の踏み絵」を踏まないムッチャン。もしや、彼女は
◆一穂ミチ/あなた
――家族で囲む食卓。この人、前からこんな目してたっけ?
◆中山祐次郎/命の天秤
――病院勤務の管理栄養士、篠田を蝕む原因不明の腹痛は……
◆酉島伝法/ながらえ
――粘膜は、裏切らない。口語なき世で、私は今日も膚を重ねて
◆斜線堂有紀/涸渇
――ツートンが死んだ。金払いの良い“客”だったのに……
◆佐川恭一/ある唾液フェチの半生
――筋金入りの唾液フェチである僕が、京大で出会ったのは
◆小田雅久仁/禊
――じゅるるるしゅぼっ。“書けない”作家の前に現れた救世主とは
〈短歌と散文〉
◆伊藤 紺
――話題の歌人が小誌に再登場。「粘膜」から連想したのは
〈特別エッセイ〉
◆鈴木涼美/潤いの不具合
◆マキタスポーツ/「私」と粘膜
◆イガリシノブ/色気が宿る場所
【『天使は見えないから、描かない』刊行記念対談】
◆いくえみ綾×島本理生/時が満ちて紡ぐもの
――長い道のりを歩いてきた二人の創作者、それぞれの軌跡
【新連載エッセイ】
◆群ようこ/じじばばは生きている
――あの大人気連載がパワーアップして再登場! ユーモラスで不可解なじじばば達の生態とは?
◆ガク(真空ジェシカ)/饅頭以外ぜんぶこわい
――なにもかもがこわくて、人生前に進めない。ビビリによるビビリのためのビビリエッセイ
【特選読み切り】
◆荻原 浩/星の下でまた会おう
――街コンで出会ったのは、オッドアイの瞳をもつ女の子で
【大好評! 「しゃばけ」シリーズ】
◆畠中 恵/鬼之助の日
――長崎屋に幽霊出現。獏の場久が、悪夢を喰らい忘れた!?
【連載第二回】
◆山脇りこ/ソロソロ、ひとり 私のためのひとりじかん
――50代の先にある愉しみを見つけに、「お能」に行ってみた
【連載エッセイ・ノンフィクション・マンガ】
◆彬子女王×池辺 葵/赤と青のガウン
◆いしいひさいち/剽窃新潮
◆角幡唯介/43歳頂点論
◆くどうれいん/くどうのいどう
◆西原理恵子/ねこいぬ漫画かき
◆酒井順子/ヒノエウマってどんな馬?
◆東村アキコ/おんな追分
【新作映画紹介】
◆紙の上の映画館
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈歴史・時代〉田口幹人
〈ホラー・ミステリ〉村上貴史
〈恋愛・青春〉高頭佐和子
【好評連載小説】
◆朝井まかて/少女時代
◆あさのあつこ/シクヌノ
◆恩田 陸/追憶の五重奏
◆今野 敏/分水 隠蔽捜査11
◆白尾 悠/羽根は、青
◆結城真一郎/ある夏の日のABC
【バラエティコラム】
〈わたしの東京〉田中有芽子
〈もういちど会いたい〉浅野皓生
「日本ファンタジーノベル大賞2026」募集要項
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この号の誌面
編集長から
謎の「粘膜小説」 その全貌がここに
まさかこんなことになるとは、としか言いようがありません。3月号の「粘膜特集 ねばねば、とろり」。特集企画はいつも編集部会議で決まるのですが、この企画に関しては部員の誰が言いだしたのか、まったく記憶にありません。「粘膜って、必ず体の大事なところにあるよね」「しかも弱い場所に」などと雑談だけで終わるはずが面白がってくれる作家さんが続々登場、一二人もの書き手が参加することに。初めてSFを書いたという千早茜さん、アラカン夫婦の違和感を丁寧に描く一穂ミチさん。書けない作家のボヤキからとんでもない場所に連れて行く小田雅久仁さんの力業には圧倒されます。ラブストーリーにホラー、手に汗握る医療小説まで、粘膜にはこんな可能性があったのか! と目が覚めるようなラインナップです。
新連載はエッセイ二作品。昨年のM-1グランプリファイナリストである真空ジェシカのガクさん、そして名手・群ようこさんの新旧揃い踏みです。
小説新潮編集長 西麻沙子
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小説新潮とは?

小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。