消えた海洋王国 吉備物部一族の正体―古代史謎解き紀行―
605円(税込)
発売日:2016/11/29
- 文庫
歴史の闇に葬られた謎の王国・吉備。その正体は、物部氏だった! スリリングな知的紀行。
日本で四番目に大きい、全長約350メートルの造山古墳。ヤマト大王家の巨大前方後円墳に匹敵する古墳を構築するほどの力を持ち、ヤマト建国に中心的役割を果たした吉備。瀬戸内海を制し、九州からヤマトに通じる流通を支配した古代吉備王国の存在は、なぜ歴史の闇に抹殺されてしまったのか。大胆な推理と綿密な分析で、古代史の常識を覆す知的紀行。『古代史謎解き紀行IV瀬戸内編』改題。
目次
はじめに
第一章 日本史を変えた関門海峡
下関に行く前に香椎宮/隠れた穴場の博多住吉神社/西鉄宮地岳線のおんぼろ電車/香椎宮がそこにあったわけ/どこから見ても川にしか見えない関門海峡/ヤマトの発展を恐れた北部九州/鉄の流通を止めた北部九州/神功皇后の九州征伐と忌宮/忌宮の戦略的意味/忌宮から見えてくるヤマトの戦略/鉄を組み込むと見えてくる関門海峡を巡る争い/古びた長府の街並み/忌宮をくまなく探索してみた/壇ノ浦の紙芝居/下関とワカメの意外なつながり
第二章 ヤマト建国と吉備の活躍
吉備の空は天邪鬼/その大きさに圧倒される鬼ノ城/ややこしい鬼ノ城への道のり/鬼ノ城と桃太郎伝説/吉備津彦命の温羅退治/いよいよ吉備の謎に分け入る/前方後円墳とは何か/なぜ前方後円墳の前方部は造られたのか/非常識な大きさの特殊器台形土器/前方後円墳とヤマト建国のつながり/神話によって抹殺されたヤマト建国/なぜ吉備はヤマト建国の歴史に登場しないのか/吉備発展の理由/吉備の前方後円墳は五世紀に巨大化した/吉備の古墳時代の変遷/五世紀のヤマトの変化/古代の画期をつくった雄略天皇/吉備の反乱伝説/朝鮮半島を巻き込んだ吉備の乱/切り崩される吉備/いくつにも分かれていく吉備
第三章 しまなみ海道と水軍の話
邪馬台国東遷を吉備が助けた?/日本の地理の特殊事情/古代海人たちの気位の高さ/どうやら御先祖様は海賊だったらしい/侮れない古代人の航海技術/島だらけの瀬戸内海/しまなみ海道にチャレンジ/いよいよしまなみ海道に……/しまなみ海道のいやな予感/おそろしやしまなみ海道/瀬戸内海の蛸は格別な味/大山祇神は海賊の親分/大山祇神は何者なのか/大山祇神社の甲冑の妖気/ウサギとカメの教訓が生きたのか?/悲しきかな呉線の絶景/P.S.……勇気をもって初めての告白?/追伸……これだけは書き残さねば、死ぬに死にきれない……?/さらに追伸……
第四章 吉備の謎 物部の正体
山陽道の複雑な地形/海人の楽園・呉/過去の日本はすべて悪なのか/「ヤマト」の不思議/戦艦大和は薩長のトラウマが作り上げた?/キリスト教文明に否定されたアジアの文明/追いつめられた日本人/日比谷焼打事件の原因/日本人の三つ子の魂/歴史から抹殺された吉備の正体/物部はどこからやってきたのか/瀬戸内海を支配する物部氏/時代遅れとなった物部東遷説/物部氏は吉備からやってきた/吉備で祀られていた物部の神宝/物部が河内を重視した理由/出雲いじめに走った吉備と物部/出雲を封じ込めた物部/吉備と物部とヤマトタケルのつながり
第五章 没落する瀬戸内海・吉備
突然お好み焼きが食べたくなって/お好み焼きは広島に限る?/出雲と吉備それぞれの思惑/神功皇后を裏切ったのは「ヤマトの吉備」/大田田根子と日向御子/北部九州と朝鮮半島のつながりを恐れた吉備/日向御子の正体/神武東征の道のり/なぜ物部はヤマトから河内に移動したのか/吉備のしたたかな戦略/忘れてはならない播磨の古代史/巨大な石の宝殿/大避神社に残された伝承/秦河勝が都を追われた本当の理由/なぜ雄略は特別視されるのか/瀬戸内海を旅して雄略天皇の正体がようやくわかった/クーデターを後押ししているのは東国?/雄略と東国と瀬戸内海
おわりに
文庫版あとがき
参考文献
文庫版あとがき
参考文献
書誌情報
読み仮名 | キエタカイヨウオウコクキビモノノベイチゾクノショウタイコダイシナゾトキキコウ |
---|---|
シリーズ名 | 新潮文庫 |
発行形態 | 文庫 |
判型 | 新潮文庫 |
頁数 | 304ページ |
ISBN | 978-4-10-136480-3 |
C-CODE | 0121 |
整理番号 | せ-13-10 |
ジャンル | 日本史 |
定価 | 605円 |
著者プロフィール
関裕二
セキ・ユウジ
1959(昭和34)年、千葉県柏市生まれ。歴史作家、武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。仏教美術に魅了されて奈良に通いつめ、独学で古代史を学ぶ。『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『神武天皇vs.卑弥呼』『スサノヲの正体』など著書多数。
関連書籍
この本へのご意見・ご感想をお待ちしております。
感想を送る