ホーム > 書籍詳細:うらやましいボケかた

うらやましいボケかた

五木寛之/著

880円(税込)

発売日:2023/03/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

無理をしないでボチボチと下を向いて歩こう。90歳を超えなお軽やかに。

「人生百年時代」とはいうけれど、心身の衰えや経済的不安など、長生きするほどに心配のタネもまた尽きないものだ。文筆を通して世の移り変わりを見つめて半世紀余、著者も70代から80代を通り過ぎ、90代へと突入した。ボケる思考、ガタつく体を日々実感しながらも、ひとり軽やかに「老年の荒野」をゆく――人の生き方と考え方、日本も世界も目まぐるしく変わる時代に、ユーモアをまじえて綴った卒寿の本音。

目次
うらやましいボケかた
九十歳の壁を回りこむ
間違いだらけの人生だ
寒さ暑さも還暦まで
下を向いて歩こう
ゆっくりしたボケかた
加齢は各所バラバラに進む
人間の体は奥深くて面白い
こども庁より「ひざ・こし庁」
運転できるけどしない
人はどんな事態にも慣れる
「はい、はい、お先にどうぞ」
無理をしないでボチボチと
言葉の渦に流されながら
ながら養生法のすすめ
マスクの捨てがたい効用
男たちに覚悟はあるか
明日どうなるかはわからない
きたるべき超インフレ時代
単身社会の幸福とは
一瞬の出会い、忘れえぬ記憶
変る時代と変らぬ意識
思いがけない不意の涙
百年人生の荒野をゆく
「死」は思索から現実へ
記憶の海に漕ぎだせば
ようやく「禿」の仲間入り
あす死ぬとわかっていても
体は枯れても、心は枯れない
もはや、こわいものなしですな
出口はどこかにあるものだ
卆寿にして知ること
風雨強かるべしと覚悟する
明鏡止水いまだ遠し
極楽浄土という世界

書誌情報

読み仮名 ウラヤマシイボケカタ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
雑誌から生まれた本 週刊新潮から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-610990-4
C-CODE 0290
整理番号 990
ジャンル エッセー・随筆、ノンフィクション
定価 880円
電子書籍 価格 880円
電子書籍 配信開始日 2023/03/17

蘊蓄倉庫

同じ「ボケ」でも症状が真逆の理由

「痴呆老人」は何を見ているか』(大井玄・新潮新書・2008年)のなかにこんな話が出てきます。東京・杉並区と沖縄県佐敷村の老人の調査で、認知症の有病率は変わらないのに、うつや妄想、幻覚、せん妄など周辺症状があらわれる割合は、杉並区のほうが断然高い。器質的には同じくらい「ボケ」ているはずなのに、片や平穏に日々を送り、もう一方は“困った人”として扱われてしまう。そのちがいは老人への敬意とやさしさなど周囲との人間関係、不安という精神的葛藤の有無によるものだというのです。当時、五木さんはこの本の帯に「絶賛」を寄せています。「うらやましいボケかた」と聞いて思いだされるエピソードです。

掲載:2023年3月24日

著者プロフィール

五木寛之

イツキ・ヒロユキ

1932(昭和7)年福岡県生まれ。作家、作詞家。早稲田大学露文科中退後、編集者などを経て『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、『青春の門 筑豊篇』他で吉川英治文学賞を受賞。『大河の一滴』『人間の覚悟』『孤独のすすめ』『私の親鸞』『捨てない生きかた』など著書多数。

関連書籍

この本へのご意見・ご感想をお待ちしております。

感想を送る

新刊お知らせメール

五木寛之
登録
エッセー・随筆
登録

書籍の分類