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昭和の夢は夜ひらく

五木寛之/著

1,056円(税込)

発売日:2025/10/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

戦前・戦中・戦後──。流れゆく時代の片隅で、私は何を見てきたか。『週刊新潮』人気連載から厳選、追憶の36話。

昭和百年とはいうけれど、歴史として語られる数々の出来事と、戦前、戦中、戦後にかけて自身が経験してきた事々は、重なるようでいてどこか重ならない。戦争と引揚げの記憶、貧しかった青春時代、かつての文壇での交友や歌謡曲の世界、そして逝きし人びとの声──連載十二年に及ぶ「週刊新潮」の人気エッセイから三十六話を厳選、忘れ得ぬ時代の原記憶が鮮やかによみがえる。

目次

はじめに

流されゆく日々
流れゆく時代のなかで
ボタ山に紅テントが立った時代
ラジオと共に六十年
黒と白のブルース
一日見ぬ間の桜かな

昭和百年とはいうけれど
昭和百年の原記憶
ぬるめの風呂につかりながら
昭和時代の片隅で
昭和残影あれこれ
『昭和百年』はどう語られるか

忘れ得ぬ記憶
虫のいろいろ
シベリア抑留者の光と闇
七十数年前の難民として
時は流れる 時計が見える
戦後は遠くなりにけり
思い出のなかの昭和残影

歌は世につれ、世は歌につれ
高村光太郎の国民歌
昭和歌謡の罪と罰
昭和の夢は夜ひらく
時代の歌と、歌の時代
昭和は踊る時代だった

文壇つかずはなれず
文壇バーとガールズ・バー
おい、泣くなよ奥野
文士劇のあった時代
原稿用紙と私
あの日の雨はまだ降っている
ハラスメント天国

忘れ得ぬ人の面影
内田裕也という人の片影
平岩弓枝さんのこと
上海ガーデン・ブリッジ
八代亜紀と冠二郎
残る桜も散る桜

私の昭和時代
昭和二十年代の正月
わが青春に悔あり
野球がだんだん遠くなる
私がなくしたモノ

書誌情報

読み仮名 ショウワノユメハヨルヒラク
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
雑誌から生まれた本 週刊新潮から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 256ページ
ISBN 978-4-10-611102-0
C-CODE 0230
整理番号 1102
ジャンル 歴史読み物、歴史・地理・旅行記
定価 1,056円
電子書籍 価格 1,056円
電子書籍 配信開始日 2025/10/17

蘊蓄倉庫

コクヨの原稿用紙

 400字詰めの原稿用紙に向かい、一字一字、文章を綴る。書いては消し、消しては丸めてクズ籠へ──昭和の時代はそれが物書きらしいデ・ファクトな姿で、署名の入った「生原稿」をその場でいただくのは編集者の大切な仕事の一つでした。いま、そうした機会はほぼなくなりましたが、著者は今でも新しいコクヨの原稿用紙に万年筆で書くことが好きなのだといいます。確かに、そこにはデジタルが消してしまったアナログならではの豊かさがあるような気がします。中高年のノスタルジーかもしれませんが。

掲載:2025年10月24日

担当編集者のひとこと

昭和の早稲田で

 今から40年近く前、高田馬場駅から大学までのびる早稲田通りの両側には、たくさんの古本屋が軒を連ねていました。ある日、店前のワゴンに積まれた古書から著者の大河小説『青春の門 筑豊篇』の文庫本を数十円で購入。以来、続編を見つけては次々読んだものでした。その古本屋街も今は多くがラーメン屋などに姿を変えましたが、戦前、戦中、そして戦後80年を生き抜いてきた五木さんは、数多くのベストセラーを刊行しながら、93歳の今なお、日刊紙や週刊誌で連載を続けています。本書は、そんな著者ならではのエッセイ集。時とともにきれいに整理され、やがて歴史からは消えてゆく「昭和」という時代の空気、人びとの息づかいを鮮やかに描き出します。

2025/10/24

著者プロフィール

五木寛之

イツキ・ヒロユキ

1932(昭和7)年福岡県生まれ。作家。早稲田大学露文科中退後、編集者などを経て『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、『青春の門 筑豊篇』他で吉川英治文学賞、『親鸞』で毎日出版文化賞を受賞。『大河の一滴』『忘れ得ぬ人 忘れ得ぬ言葉』『よりそう言葉』など著書多数。

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