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発売直後からノンストップ大重版中!『うちの子が結婚しないので』

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垣谷美雨/著 『うちの子が結婚しないので』
発売直後からノンストップ大重版中! 話題の新刊をご紹介します。
その名も、垣谷美雨著『うちの子が結婚しないので』。


 昨年、野村周平さん主演でドラマ化した『結婚相手は抽選で』や、23万部突破(今年1月時点)の『老後の資金がありません』、それに続きヒット中の『夫の墓には入りません』など、社会派エンターテイメント小説の旗手である、垣谷さんの文庫オリジナル最新刊です。

 本作のテーマは「親婚活」。
 それは、親同士が未婚の子供の身上書を持ち寄り、代理でお見合いをするもの。昨今話題のこの婚活に家族一丸となって挑む様を、アラサーの娘を持つ母・千賀子の視点から描きます。

 60代目前の千賀子が自分たち夫婦の老後の準備を考えた時、まず不安になったのが娘の将来でした。28歳独身、彼氏がいた気配もありません。女性向けアパレル会社に勤務し疲労困憊で帰宅する毎日で、出会いの機会もなかなかないようです。
 千賀子と夫のフクちゃんが娘に結婚を望むのは、世間体などではなく、「自分たちが亡くなった後に不安で孤独な人生を送らないでほしい」という一心から。娘を説得し、千賀子一家は親婚活を始めます。
 しかし、そこで待ち受けていたのは想像を超える衝撃でした。
 外見や年齢、学歴、職業、年収など、容赦なく「条件」で値踏みされ、時に娘の全人格が否定されるようなサバイバル婚活に、一喜一憂しながら挑みます。

 果たして、娘の良縁は見つかるのか――。結婚とは、家族とは、今の世の幸せとは、親が子供のためにできることとは。現代に問いかける小説です!
 




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 日本のロックの確立者にして最高峰。音楽シーンにおいて常に斬新でスィート、そしてスキャンダラスな存在であり続けた忌野清志郎が、この世界を去って今年で10年。いまなお同時代と後世に巨大な影響をあたえ続ける偉大なバンドマンは、また言葉の天才でもありました。

 今月、新潮文庫から同時刊行された『忌野旅日記 新装版』と『ロックで独立する方法』は、そんな清志郎のプロミュージシャンとしての鋭い言語感覚と思考の軌跡を知るのにもってこいの2冊です。

『忌野旅日記 新装版』は、終わりなきライブツアーと多くのミュージシャンとの交友の日々を描く爆笑エッセイ。〈すすきののディスコで踊りまくる坂本龍一〉や〈こまやかな気配りを欠かさぬ桑田佳祐〉など、エネルギッシュにあふれだす饒舌体と絶妙に特徴をとらえたイラストで、愛情たっぷりに仲間のミュージシャンをイジり倒す、清志郎のノーティな筆致はすみずみまで冴えわたり、書かれた当事者は苦笑もの。でも、ファンにはたまらないレジェンドたちのバックヤードのエピソードの数々に、RCサクセションもまたその中心となって牽引した、音楽業界の黄金期である80年代後半の活気も生き生きと描き出されます。

 一方、『ロックで独立する方法』は都立高校在学中にRCサクセションを結成した清志郎が、途中で何度かのきびしい停滞期をはさみながら、それでも30年間のプロミュージシャン生活で第一線に立ち続けた、そのモチベーションの核心を自ら明かした人生論。どうしても書き残しておきたいと、信頼するライター・山崎浩一氏に自ら働きかけ、長期インタビューによって完成させた本書のポイントは、タイトルにもある〈独立〉の一語です。

「自分の両腕だけで食べていこうって人が、そう簡単に反省しちゃいけない」。意思を貫こうとすると、その才能をかすめ取ろうとするものや、評価を安易に数字に置き換えて軌道修正したがるものが必ず現れる。そこで妥協しないことがどんなに大切か。自身のキャリアを振り返り静かに語る清志郎もまた、ロック版「君が代」の発表や、原発反対をうたい発売中止となった「カバーズ」事件など、ときに社会通念と衝突し、大きな議論を呼ぶ当事者でもありました。その行為を支えた信念と決意を知るほどに、それぞれの持場で自分の居場所を求め奮闘するひとたちの胸の奥の炎を燃やしてくれるはずです。

 2冊の文庫には、清志郎ととくに深い信頼で結ばれ、多くの写真を撮り続けた、おおくぼひさこさん(『忌野旅日記 新装版』)、と佐内正史さん(『ロックで独立する方法』)の魅力的なオリジナル写真が、カバーをはじめ本文にも随所に収録されました。また、角田光代さん、尾崎世界観さん(『忌野旅日記 新装版』)、津村記久子さん(『ロックで独立する方法』)など、清志郎をこよなく愛する若い書き手の方々が寄せた解説文も必読の素晴らしさ。尽きることのないボス清志郎の新しい魅力に、ぜひ触れてください。

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2019年04月15日   今月の1冊
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