ホーム > 新潮文庫 > 新潮文庫メール アーカイブス > 警官の血沸騰! 刊行直後から大反響の『女副署長』に続く、待望の最新作!
新潮文庫メールマガジン アーカイブス
警官の血沸騰! 刊行直後から大反響の『女副署長』に続く、待望の最新作!


 元女性白バイ隊員だった著者が、本格的な警察小説に挑んだのが昨年刊行した『女副署長』(新潮文庫)でした。発売直後から、目利きのミステリー評論家に高く評価され、たちまち増刷。一つの警察署がまるごと「事件現場」になるという異例の設定で、主人公の田添杏美(たぞえあずみ)副署長の捜査魂が冴えるストーリーでした。この田添杏美は、捜査畑育ちのエリートではない、というところがミソ。捜査一課の刑事が警察の花形としたら、杏美はいわば組織の傍系から女性としてナンバー2になった警察官です。そんな非主流出身だからこそ、見えてくるものがある。黙々と働く部下の心を見抜く目がある。第二弾『女副署長 緊急配備』も、活躍するのは杏美の部下である一般の署員で、刑事ですらありません。
 30歳の木崎亜津子は、交通課の巡査部長でシングルマザー。夕方の退庁時刻には、娘を迎えに保育園に駆けつける日々だが、誰にも言えない秘密を抱えている。43歳の巡査部長甲斐祥吾は、プライベートでは父の介護を一人抱えている。たとえ事件が起きても、ヘルパーの終了時刻には帰宅しなければならないのだ。そして地域課駐在員の伴藤弘敏。定年を目前に控えた巡査部長だが、息子のことで頭を悩ませ、しかも杏美とは過去の因縁がある......。
 警察官もごく普通の人と同じ、屈託と葛藤を抱えて働いている――。そんな名もなき警官たちが、前代未聞の凶悪事件が発生したとき、どう動くのか。危機を前に、彼らがとった行動とは。上司と部下の絆が目頭を熱くさせてやまない傑作です。どうぞ読み逃しなく!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2021年06月15日   今月の1冊
  •    
  •