アマゾン創業者ジェフ・ベソスが薫陶を受けたリクルート創業者・江副浩正の光と影
未だくすぶり続けている自民党裏金問題ですが、この問題が発覚したとき「令和のリクルート事件」と盛んに報道されました。
「元祖」リクルート事件を引き起こしたのは、リクルートの創業者である江副浩正。35年前の1989年、東京地検特捜部に逮捕されました。江副は政財界の重要人物に、未公開となっていた関連会社のリクルートコスモス株をばらまき、公開後に高値で売り抜けさせるという贈収賄事件を引き起こしました。
ところがリクルート社の勢いは止まりませんでした。事件の大打撃を乗り越え1兆8000億円の負債を自力で完済、現在は時価総額17兆円と日本を代表する企業であり続けています。この礎を築いたのが、江副浩正その人なのです。
江副が描いていたのはインターネット社会です。パソコンなどない時代に「情報と人を直接結ぶ」世界が来ることを予見し、「紙のグーグル」を作ろうとしたのです。その一環でファイテルという株取引の会社を買収しました。ファイテルに新入社員として働いていたのが後にアマゾンを創業するジェフ・ベソスです。江副とベソスは同じ会社で、同じ未来を描いていたことになります。
ピーター・ドラッカーを「書中の師」と仰ぎ、「紙のグーグル」を創った男はなぜ日本経済からその存在を消されたか。ダークサイドに墜ちた天才を追う傑作評伝です。
2024年11月15日 今月の1冊