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【特集】九州 世界一のやきもの王国へ

芸術新潮 2019年10月号

(毎月25日発売)

1,466円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2019/09/25

発売日 2019/09/25
JANコード 4910033051091
定価 1,466円(税込)
●目 次

【特集】
九州 世界一のやきもの王国へ


グラフ

九州やきものMAP

九州の陶磁器の主な産地

15分でわかる、九州のやきもの基礎知識
講師 鈴田由紀夫

注目の陶芸家6人の工房を訪ねる
唐津 矢野直人
唐津 浜野まゆみ
天草 余宮 隆
小代 井上尚之
福岡 鹿児島 睦
龍門司 川原史郎

よりみちコラム
波佐見ストーリー
新しいうつわファンを魅了する窯業の町

これを見ずして九州のやきものを語るなかれ
三大コレクター物語
その1
田中丸 善八
デパート王の秋の宴
文 久保山 炎
その2
出光佐三
「海賊と呼ばれた男」と
身近で遥かなコレクション

文 柏木麻里
その3
柳 宗悦
民芸の創始者が愛した
意外な伊万里

文 白土慎太郎
拝見! みんなのお気に入り
私たちKYFC九州やきものファン・クラブのメンバーです。
バーナード・リーチ/青山二郎/白洲正子/向田邦子/ロバート キャンベル/猿山修/通崎睦美/川内倫子/冷水希三子/千 宗屋/渥美創太/伊熊泰子

ふかぼりコラム
日本の磁器誕生秘話
文 村上伸之

やきもの、おいしいもの
牧野伊三夫の豊前・肥前ぶらぶら紀行
文・スケッチ 牧野伊三夫

Visit, Buy...and Enjoy!
九州のやきものに親しむには



◆ Art News exhibition ◆

進化する美意識とともに歩む
カルティエの永続性
文 本間恵子

100年ぶりの「少女」と関根正二をめぐる謎

◆ Art News festival ◆

あいち、瀬戸内、岡山へ!
とに~の3泊4日 芸術祭トライアスロン 計画篇
文 とに~

◆ Review ◆

「夢みる力――未来への飛翔 ロシア現代アートの世界」展
千葉和成
「くらしの造形20 手のかたち 手のちから」展より

◆ Global News ◆

  • Kiel「ロッテ・ラーザーシュタイン フェイス・トゥ・フェイス」展
  • Paris「私たち、木」展
  • Roma「ルカ・シニョレッリとローマ 忘却と再発見」展
  • New York「美術家のライセンス:収蔵品をめぐる6人の声」展

◆ 短期集中連載 ◆

レオナルド・ダ・ヴィンチ500年目の真実
万能の天才が探究していたのは何だったのか
[最終回]数学の難問へ、ルネサンス画家たちの挑戦
文 前橋重二



◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

ちょっといいで書?〈30〉
ストリートで見つけた気になる字
選・文 中澤希水

Goods & Shop

時と光の美術館〈30〉
タサキ

◇ 連載 ◇

定形外郵便〈64〉
文 堀江敏幸

原田マハ、美のパイオニアに会いに行く〈26〉
谷川俊太郎

中野京子が読み解く画家とモデル〈18〉最終回
ベルト・モリゾと《夢見るジュリー》

千住博の往復書簡〈15〉
宛先 山下裕二様

千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈61〉

◇ PICK UP ◇

movie 野崎歓
book 諏訪敦
recommend 編集部のおすすめ!
成相肇の やっかい もっかい てんらんかい〈42〉最終回
exhibition 全国展覧会情報

次号予告

▼芸術新潮特別企画

雨晴とKURO AMAHARE for g で見つける
日常を豊かにする相棒と特別を装う、色とりどりの黒

[日本初上陸]
ロイヤル コペンハーゲン×ピア・アンダーセン
現代作家による珠玉の一点ものがやってくる!

20世紀絵画の森を通って21世紀美術の扉を拓く

「絵巻切断」から100年
《佐竹本三十六歌仙絵》
31作品が奇跡の再会!

秋のアートスポット
福田美術館/たばこと塩の博物館/町田市民文学館ことばらんど/箱根ガラスの森美術館

戦乱期の古代中国の名品が集結!
繭山龍泉堂で知る「魏晋南北朝の美術」

画家として、教育者として、手塚雄二が伝えていきたい“画品”

フジタ、ピカソ、ヴァン・ドンゲン
共に歩んだ国際形象展の画家たち

『ホイッスラーと私 描かれた道筋』刊行記念 第2回
フォルチュニ的な装い
文 ウィンザー・イニス

日本を代表する102軒の美術商が集結!
「2019東美アートフェア」
見どころ案内

Gallery's Plaza
ART CAFÉ

最新号PICK UP

九州のたくましい人たち

 6~7月、豪雨や台風にみまわれることの多かった九州で、そのあいまを縫ってやきものの取材を行いました。窯元や博物館、やきもの店――たいへんな思いをされた方も多いはずなのに、みなさんあたたかい笑顔で迎えてくださいました。なんてたくましい人たちなんだろう、と思っていたのですが、特集を編集するうちにそのたくましさの秘密が見えてきたような気がします。

 九州がやきもの王国になったのは、かならずしも土や木や水といった原料に恵まれたことに拠るものではありません。登窯を築くのに適した斜面のある土地は、基本的には山がちなので、田畑を作るのには適していません。そんな土地で「たべもの」ではなく「やきもの」を生産する事業は、各藩の大名たちが推し進めた産業政策だったのです。朝鮮の技術や中国のテイストを取り入れたやきものは、しだいに各産地の個性を帯びるようになり、世界中から高く評価されるようになりました。今回、奇跡の再興を遂げつつある波佐見の町を取材した時は、他所者よそもののアイディアをおもしろがって受容し、発展させてゆく風土を感じました。

 一方で、古いものを大切にする人たちも多いのです。今から90年近く前に、民芸運動の創始者・柳宗悦らが九州の窯場を巡り、無名の陶工たちによるやきものの無垢なる力に魅せられて、絶賛しました。窯元の人たちは今もそのことを忘れていません。柳の言葉が彼らに与えた自信が、世代を越えて継承されているのです。古いものに学び、誠実な仕事を続け、新しいことに挑戦してゆく人たち。そんな彼らの魅力が本特集の誌面から伝われば、嬉しいです。

Image
唐津・矢野直人さんの登窯
撮影:菅野健児(本誌)

この号の誌面

編集長から

九州のやきものがこの1冊で分かる

 デパート王・田中丸善八、出光興産創業者・出光佐三、民藝運動の創始者・柳宗悦。彼らの共通点は、九州のやきもののコレクターだったこと。確かに、唐津、有田、伊万里、波佐見、小鹿田、薩摩――当地はやきもの王国。すでに弥生時代には朝鮮系の陶工が渡っていたと考えられ、秀吉の文禄・慶長の役(1592~98年)をきっかけに、急速にやきもの文化が発達。今月号の特集では肥前から薩摩まで全域を網羅し、その魅力に迫る。歴史的名品の紹介はもちろん、矢野直人、浜野まゆみなど、注目の現代作家の工房も訪ねた。白洲正子ら物故者をはじめ、千宗屋ロバート キャンベルほか全12名によるお気に入りのうつわ披露は、買い物の参考にしたい。画家・牧野伊三夫のやきものを巡る旅も発見が多い。さらにより作品を楽しめるよう、「15分でわかる、九州のやきもの基礎知識」も。
 大人気連載「中野京子が読み解く画家とモデル」は最終回。こちらもお見逃しなく!

芸術新潮編集長 吉田晃子

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