【大特集】猥褻とは何か
芸術新潮 2020年9月号
(毎月25日発売)
発売日 | 2020/08/25 |
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JANコード | 4910033050902 |
定価 | 1,500円(税込) |
【大特集】猥褻とは何か
巻頭グラフ
禁じられた名作
introduction
猥褻の誕生
文 木下直之
part1
猥本出版の王・梅原北明と昭和エロ・グロ・ナンセンス
文 足立元
part2
「チャタレイ事件」狂想曲
文 武藤康史
part3
春画研究の闘士ありき 林美一と「国貞裁判」
文 石上阿希
part4
『愛のコリーダ』――猥褻代理戦争
文 樋口尚文
part5
実録! ヘアヌード解禁前夜の攻防
文 宮本和英
part6
21世紀のわいせつガチンコ裁判 コミック篇
文 長岡義幸
part7
春画ルネサンス 無修正解禁から展覧会への道
文 浅野秀剛
爆笑! ハダカ談義 猥褻篇
みうらじゅん×辛酸なめ子
「エロの決め手は“ギャップ”にあり!」
interview
荒木経惟
「写真という“事”自体がワイセツなんだ」
聞き手・文 宮本和英
ニッポン「猥褻」関連年表
◆ Art News memories ◆
追悼
写真家・倉田精二のヌードはこんなに凄かった!
文 タカザワケンジ
◆ Art News project ◆
新宿東口駅前広場に出現!
松山智一のパブリック・アート
◆ Art News report ◆
NY現地レポート
「黒人の命も大切」抗議デモ
アート界も揺れる
文 藤森愛実
◆ 特別読物 ◆
やきものと悪
文 柏木麻里
◆ Review ◆
内藤礼/リー・ベー/東山詩織
池田晃将「和巧絶佳展――令和時代の超工芸」より
◆ Global News ◆
- London「輝く星たち:サイリーン(1940-1947)の若手画家たちが見たジンバブエ」展
- Venezia「ピラネージ ローマ バジリコ」展
- Paris「クリストとジャンヌ=クロード パリ!」展
- Berlin「ファストファッション ファッションのダークサイド」展
◆ Regular Features ◆
◇ 巻頭 ◇
御贔屓 御馳走帖〈9〉
選・文 森川裕之
Goods & Shop
時と光の美術館〈41〉
アンデルセン・ジュネーブ
◇ 連載 ◇
リ・アルティジャーニ
ルネッサンス画家職人伝〈26〉
ヤマザキマリ とり・みき
海外アートStudy最前線〈57〉
文 前橋重二
図書館を建てる、図書館で暮らす〈4〉
〈森の図書館〉を設計することになった
文 三井嶺
定形外郵便〈74〉
文 堀江敏幸
あの人と食器棚〈8〉
伊藤まさこ
ギャラリーオーナー
引田かおり
引田ターセン
千住博の往復書簡〈26〉
宛先 森村泰昌様
千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈71〉
◇ PICK UP ◇
movie 野崎歓
book 諏訪敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記 小田原のどか〈3〉
exhibition 全国展覧会情報
次号予告
▼芸術新潮特別企画
各ギャラリーイチオシの
旬の作品を誌上購入できる!
GEISHINアートフェア
日本画家、宮北千織の高潔なる「色彩」
連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈38〉
東大寺 法華堂
《金剛力士立像 阿形像・吽形像》
Gallery's Plaza
ART CAFÉ
最新号PICK UP
誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくい
猥褻のすべてについて教えましょう
ここしばらく、猥褻なことばかり考えていました。
いや、正しくは、猥褻の、ことばかりですが。
昨年春、東大を定年退職された木下直之さんの最終講義が「猥褻論」でした。
学生さんに交じって聴講したところ、子供の頃からなにかにつけて気になっていた「猥褻」への興味が、あらためてムクムクと膨らんできたのです。
調べてみると、戦後の猥褻裁判の元祖というべき『チャタレイ夫人の恋人』事件が起こったのが1950(昭和25)年、今年はちょうど70年目の節目の年ではないですか!
これを機に、明治以来、おカミから「風俗壊乱」とか「猥褻」とか決めつけられ、断罪されてきた様々な表現をたどる特集を組み、読者の方々に「一体どこが猥褻なのか?」を、いまの眼で見てもらおうと考えた次第です。
当方の頭を「猥褻」でいっぱいにした責任のある(?)木下さんには、特集全体のイントロダクションとなる論考を寄せていただき、以下、裸体画・猥本から、ヘアヌード・無修正春画解禁まで、世間を騒がせたあれやこれやを、ど~んと開チンいたします。
86頁にわたる大特集を通じて、「猥褻」の実態がまざまざと見えてくるのか、それとも「猥褻」というレッテルのバカバカしさにあきれることになるのか。
書店での立ち読みは、さすがにはばかられると思いますので、各自お買い上げのうえ、ご自宅でじっくりとご覧ください。
この号の誌面
編集長から
禁断の表現を総ざらい
猥褻とは何か
明治13年に公布された刑法に、「猥褻」の2文字が載った。記録によれば、草案をつくるにあたり、「風俗ヲ害スル所行」では漠然としているから「猥褻ノ所行」にしようとのやり取りも。そしてこの刑法公布以来、裸体画、文学、春画、ヘアヌード写真などなど、さまざまな作品が「猥褻」のレッテルを貼られた。今月号の特集では、社会のタブーとなったそれらの表現を振り返る。黒田清輝による裸婦画が問題視されたり、朝倉文夫による彫像の男性器が切断されたり。チャタレイ事件や「愛のコリーダ」裁判はご存知の方も少なくないだろう。春画や成人向けマンガをめぐる裁判もあった。関連年表も載せているのだが、ほぼ毎年のようになんらかの騒動が起きている。騒動の渦中の人となった荒木経惟のインタビューや、みうらじゅん×辛酸なめ子の対談もお楽しみに。
また追悼企画として、今年2月に亡くなった倉田精二の作品を紹介。前衛的なヌード写真の数々に、表現への挑戦が見える。
芸術新潮編集長 吉田晃子
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
芸術新潮とは?
「暮らし」はアートであるをキャッチフレーズにあらゆる事象を「芸術」という観点から検証し、表現する「芸術新潮」。1950年に創刊され、歴史と文化を見続けてきたハイクオリティなアートマガジン。歴史的な芸術作品から、建築、古美術、現代アートまで、あらゆる「美しきもの」を独自の切り口で紹介しています。